東京電力の原子力発電所事故に関連し、賠償支援の組織新設などを盛った「原発賠償支援法案」が14日に閣議決定され、国会に提出された。まずは正式な賠償の支払いを待つ被災者の視点に立ち、法案の審議を急いでほしい。
それだけでなく、東電の原発事故をきっかけに、事故の損害賠償手続きを定めた「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)に関する議論も深めたい。賠償支援の法案審議とあわせて、原賠法の見直しを検討することも考えられる。
今回の事故を起こした東電は安全面の対応に問題があった。しかし、どんな策も事故の可能性をゼロにできるわけではない。原発で事故が起きれば賠償額が民間企業だけでは負いきれないほど大きくなることを、今回の事故は示している。事業リスクへの備えとして、賠償制度のあり方を再検討すべき時ではないか。
日本の原発事業は、国が推進政策を打ち出し、それを株式を上場している民間企業が遂行する。こうした「国策民営」の形を今後も続けるという前提に立つならば、電力会社に無限責任を負わせる原賠法の考え方には無理が出てきた。
現在の株式市場は欧米投資家の影響力が強まっており、東電の株主も2割近くは外国人が占める。
国際的に見て電力会社が無限の賠償責任を負うのは、日本やドイツ、スイスなど少数にとどまる。被害が一定額を超えた場合は国の直接補償とするといった規定にした方が、賠償を巡る市場の不透明感を和らげることができる。
原賠法は電力事業者に事故の責任を集中させている。一方で「異常に巨大な天災地変」による事故の場合は電力会社は完全に免責とする。地震や津波が「異常に巨大」かどうかの判定しだいで電力会社への影響は「全か無か」に分かれるが、判定の基準などははっきりしていない。
そうした法律の不備が、事故が起きた当初の政府関係者の混乱を招いた。責任の所在に関する議論に時間が費やされ、実際の支援策は東電が企業としての展望を描きにくい内容になってしまった。今後の原発政策を考えるうえで、東電事故の教訓を十分に生かしたい。
東京電力、事故、原発事故
日経平均(円) | 9,351.40 | -59.88 | 17日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 12,004.36 | +42.84 | 17日 16:30 |
英FTSE100 | 5,714.94 | +16.13 | 17日 16:35 |
ドル/円 | 80.00 - .02 | -0.48円高 | 18日 5:48 |
ユーロ/円 | 114.44 - .50 | +0.66円安 | 18日 5:48 |
長期金利(%) | 1.115 | ±0.000 | 17日 16:32 |
NY原油(ドル) | 93.01 | -1.94 | 17日 終値 |
使用率:78.0%3214/4120万kW
予想最大電力:3160万kW19時~20時
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載
詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)