政府は東日本大震災の被災地支援策として、20日から東北などの高速道路を利用する被災者とトラックやバスの通行料を無料にする。さらに、今年度の第2次補正予算で財源を確保したうえで、普通車も含む全車種に無料化を広げる方針だ。
対象となる道路は白河インターチェンジ以北の東北道や水戸インターチェンジ以北の常磐道などだ。対象区間のインターチェンジで乗るか、降りるかすれば無料になる。
今回の震災で今も約9万人が避難生活を強いられ、その4分の1は岩手、宮城、福島の3県以外で暮らしている。こうした被災者が元々の居住地と行き来しやすくするように、証明書を提示するだけで高速の通行料を無料にするのは理解できる。
しかし、中・大型車まで無料にする点には疑問がある。復旧・復興に向けた物資輸送が目的といっても、食料や燃料などを緊急輸送する時期は終えている。しかも、秋田や山形などに向かう震災復興と直接関係のない車まで対象にしている。
救急車や消防車などの緊急車両は無料だ。今回、中・大型車を同じような扱いにするのは無理がある。
普通車の無料化も功罪の両面があるだろう。確かに東北の観光などを立て直す必要はあるし、無料化はこの点で一定の効果を見込める。
一方、現在でも「休日1000円」割引で週末は高速道路が混雑しやすい。無料化で渋滞がさらに深刻になれば、利便性は低下する。バス業界はこの点を理由に反対している。
政府は今回の対策に先立ち、19日で首都高速と阪神高速を除いた高速道路の約2割で実施している無料化の社会実験と、「休日1000円」割引をやめる。これらで約3500億円のお金を捻出して復興財源に回す。にもかかわらず、新たな無料化に乗り出すのはおかしい。
民主党の高速無料化を「バラマキだ」と批判している自民、公明のなかにも今回の対策を支持する声がある。これもよくわからない。
今回、全車種を無料にするために必要な費用は年間約1200億円。被災地を支援するならば、住宅再建や雇用創出などほかに優先すべき課題はいくらでもある。高速の無料化は被災者に限定すべきではないか。
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使用率:78.0%3214/4120万kW
予想最大電力:3160万kW19時~20時
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