トヨタ自動車の株主総会に出席する株主ら=17日午前、愛知県豊田市で
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トヨタ自動車が17日、愛知県豊田市の本社で株主総会を開き、豊田章男社長ら経営陣が東日本大震災からの復旧状況を説明したほか、円高で失われつつある国際競争力について言及。諸外国に比べ高い法人税率や自由貿易協定(FTA)交渉の遅れとともに「新政権による(温室効果ガス排出量など)環境目標引き上げ」なども要因に挙げ、民主党政権の産業政策にいらだちを示す場面も見られた。
豊田社長は、全般的な生産台数について7月以降は国内外とも年初の計画レベルまで回復する見込みと報告。5月に発売したワゴン型のハイブリッド車「プリウスα」など人気車種も7月から増産に入る方針を明らかにした。
ただ「プリウスα」は大量受注を抱え、納車まで10カ月待ちの状態が続いている。生産担当の新美篤志副社長は「部品調達のめどは立ち、増産態勢を敷ける。納期を短縮するため増産準備を進めている」と説明した。
一方、海外販売面では、今年の世界新車市場規模が7800万台となり、そのうち中国、インドなど新興国が半分以上の4000万台超を占めると予測。豊田社長は「新興国でも主力モデルでハイブリッド車を展開する」と明言した。
このほか、佐々木真一副社長が米メディアで大きく報道され、最終的に米政府が否定したトヨタ車の「電子制御欠陥疑惑」について厳しく批判。ただ「疑惑」の裏付け実験をした米国の教授の責任は「既に(教授は)信用を失っている」として不問に付すと述べた。
◆取締役削減を決定
トヨタ自動車は17日開いた定時株主総会で、取締役を27人から11人に削減することを正式決定した。総会後の取締役会で決めた役員人事では、社長経験者の渡辺捷昭副会長が相談役に就いた。
退任した取締役では、岡本一雄副会長が相談役、一丸陽一郎副社長が常勤監査役に。岡部聡氏と稲葉良●氏が特命業務を担当する新設のエグゼクティブアドバイザーに就任し、二橋岩雄氏と林南八氏が技監に就いた。
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