呟きログ。

2011-06-15

mixi 足あと機能改修は改悪か?mixiとユーザーの都合(第2稿)

数人のマイミクがこのネタで盛り上がっていた。

賛成・反対のロジックを考えていくのが好きなので、自分なりにここに書き残そうと思う。なるべく、どちらの立場を取ることなく客観的に今回の改修を捉えていきたい。


(この記事は相当長いので時間が無い方は要約版をどうぞ)

mixi 足あと機能改修は改悪か?《ポイント要約版》 - 呟きログ。



さて、まずは状況を整理しなければごちゃごちゃになるのでmixi運営からのお知らせ、友人に紹介された反対派のコミュニティの内容を書き記しておこう。

(整理しようが毎回ごちゃごちゃになるけど… ^^;)


まずは運営側、mixiの発表から見ていこう。


(mixi 新機能リリースのお知らせ)

足あと」機能改修のお知らせ より引用

本日、6月6日(月)に事前お知らせいたしました「足あと」の機能改修を実施したことを、お知らせいたします。


自分のホームでよりわかりやすく簡単に、訪れた友人や同級生などを確認いただけます。

また、1週間分の訪問者をまとめて表示することで足あとがより気軽な存在になるようにいたしました。


【主な変更予定内容】

・訪問者を「友人」と「その他」で分けて表示

 -「友人」は、訪れた友人(マイミクシィ)を表示

 -「その他」は友人の友人やmixi同級生、同僚ネットワーク経由の訪問者を表示

・1週間に訪れた人を、翌週ホームの「新着お知らせ」枠で表示※1

・表示件数を60件から1000件に変更(「友人」と「その他」それぞれ)

・表示名称を「足あと」から「先週の訪問者」へ変更

・「自分の足あと」は「自分が訪問した人」に名称のみ変更※2


※1 リアルタイムの訪問者の履歴表示はなくなります。

※1 前週分の「先週の訪問者」はユーザー毎に更新の曜日(月曜〜日曜)が異なります。

※2 自分の足あとを削除できる機能は、引き続きご利用いただけます。

※2 自分の足あとを削除する場合は「先週の訪問者」ページの下部リンクよりアクセスいただけます


では次に、足あと改修は改悪だ!という主張を見てみよう。


mixiコミュニティmixi 足あと機能改悪反対!のトップページ より引用

●この改修の利点欠点


★利点

なし


★欠点

「リアルタイムでない訪問履歴では意味がない」

コミュニケーションにはタイミングとスピードが重要。1週間ものタイムラグを置いて、訪問者の履歴をお知らせしてもらっても意味がない。


「すべての足あとが表示されないのはセキュリティ上不安」

新しい『先週の訪問者』では、「友人」「友人の友人」「mixi同級生」「同僚ネットワーク」 しか表示されない。これでは、何らかの悪意を持つ誰かが「ログイン時間のチェック」を繰り返すなどのストーカー行為を繰り返していても対処ができくなる。また、誰が日記を読みにきたかもわからない。


足あとからの交流がなくなる」

見に来てくれた人がわかるからこそ、日記を書くモチベーションもあがるというもの。また、「『足あと』を見てお礼に“訪問返し”をする」という交流もできなくなってしまう。


▼しかもまったく関係の無い赤の他人や第三者は一週遅れでも表示されないように改悪されます!

(誤解なきように書いておくが、本来の“第三者”とは“友人の友人”を指す。)


両者を簡単にまとめると以下のようになる。


mixi運営】

  1. リアルタイムで表示をするのをやめました
  2. コミュニティ、同級生、同僚など自分のページを見に来た経緯を表示します
  3. 何のかかわりも無い人からの足あとは見れなくしました

⇒ 足あとがより気軽な存在になるようにいたしました!


【反対派コミュニティ

  1. 日記を書いたら誰が見たのか、すぐ知りたい!
  2. 足あとがあることで交流が広がる
  3. ストーカーや粘着ユーザーのブロックしにくくなる

⇒ 交流しづらくなったし、誰が見てるかわからないじゃないか!


運営側は気軽に(使いやすく?)なったと言っているのに、ユーザーはそう捉えていないのである。

このズレどういうことなのだろうか?


 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 


mixi側の事情を考えてみよう。



今回、mixi側がこのような改修を行った狙いは 「知人・友人との交流の重視」 だろう。

その背景は改修内容、運営からのコメントにわかりやすく現れている。


  1. 友人・友人の友人まで表示を絞り込んだこと
  2. 同級生・同僚ネットワーク経由の訪問者履歴の表示(コミュニティ経由など表示予定)
  3. (運営コメント)よりわかりやすく簡単に訪れた友人や同級生などを確認いただけます。

また、プレスリリースにはこうも書かれている。

「足あと」を改善し、「先週の訪問者」として提供開始 « 株式会社ミクシィ

また、昨年からは「足あと」機能が担っていたフィードバック要素を網羅した「イイネ!」が導入され、より簡単にマイミクフィードバックを返すこともできるようになりました。

足あとの網羅性には劣るが、イイネ!ボタンは自分の何に対して興味を持ってくれたのかハッキリし、日記を書く直接的なモチベーションや全くの他人が“あなたに興味があります”という意思表示を明確に出来る手段になりうるのではないか?


「いいソーシャルグラフの会」というのをご存知だろうか?多くの人がmixiの利用者ならチラッと見たことがあるだろう。内容を簡単に言えばmixiが現在行っている利用法の啓蒙活動である。このサイトを見れば今回のあしあと改修で何がしたいのか一目瞭然だ。

[mixi] 「いいソーシャルグラフ」が「いい」理由


また、“自分のホームでよりわかりやすく簡単に、訪れた友人や同級生などを確認いただけます。”という運営コメントに注目したい。最近行われてきた数度の大規模な改修で、つぶやきやフォト、チェックなどマイミクが何をしたか(しているか)が自分のホームに表示されるようになっている。推測にはなるが、日常的に利用するコンテンツをホームに集中させたいという思惑があり、足あともそれに適したフォーマットに変更したのではないだろうか。




mixi を取り巻く環境もその変化の要因だ。利用者数の伸びは鈍く、ページビューは2006年7月〜2006年10月の段階で横ばいに推移しており、この2つの傾向は続いていると考えられる。


[参考]mixiの利用者数、他サイトは圧倒するも伸び悩み傾向

利用者数の推移

(2006〜2007年)700万人 増

(2007〜2008年)500万人 増

(2008〜2009年)350万人 増

(2009〜2010年)150万人 増


またGREEなど他のSNSの展開、特にtwitterの登場によってその傾向は顕著になっているはずだ。今回の改修でmixiが捨てた不特定多数とのコミュニケーションや、従来の足あとにあった即時性はTwitterの得意分野である。


(ここでfacebookに特に言及しないのは匿名性を持つmixiから実名公表が基本であるfacebookにアクティブユーザーが移行するインセンティブは今のところ無いと判断したためである。余談だが、facebookの躍進についてのインタビューでmixiは特に匿名を意識したものではなく自然とそういう使われ方になった、とmixi側が言っていたのを覚えている。



[参考]ITmedia News:「mixi疲れ」を心理学から考える

2006年前後に話題となったワード「mixi疲れ」を覚えているだろうか?ページビューが横ばいになった時期にクローズアップされた問題であるのも注目したい点だ。反対コミュの人数は約20万人(6/15日現在)、会員総数は2000万人以上。アクティブに改悪を主張するのは20万人と、一見多いように見えるが特に関心を持たない層がいることも留意すべき点だろう。



mixi の強みは現実の友達関係をブログに持ち込んだ点と匿名性にある。今回の改修は中途半端だと批判されることもあるが見方を変えればその強みを活かした方へ舵を切ったとも言える。

つまり、今回の足あと改修はSNSの変容によってもたらされたユーザーの利用スタイルの変化に合わせ、“mixiは友人や趣味が合う人との交流をより重視し支援する”という方針表明だと解釈することができる。


 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 



次にユーザー側について考えてみよう。



従来のmixiに慣れ親しんだユーザーには当然、その方針に馴染めない・違和感を覚える人もいる。

誰だって使い慣れたモノのほうが良いに決まっている。

新着コメントが〜」の表示廃止で物議をかもしたのだから、mixiの特徴足あとのリアルタイム表示”の廃止は当然これだけ大きな話題になる。レイアウトの変更だけではなく、使い方そのものが変わるかもしれないからだ。


では、足あとがリアルタイムではないことや全く関係の無い他人が表示されないことで本当に使い方が大きく変わってしまうのだろうか?ここからは私の1人mixiユーザーとしての意見も交えつつ反対派の主張について考えていきたい。


【反対派コミュニティの主張】

  1. 日記を書いたら誰が見たのか、すぐ知りたい!
  2. 足あとがあることで交流が広がる
  3. ストーカーや粘着ユーザー判断がしにくくなる


※ここで論拠にしている統計データは2006年次の以下の資料を参考にします。

早稲田大学IT戦略研究所 mixi参加者の属性と行動 → no title (PDFデータ)


1、日記を書いたら誰が見たのかすぐ知りたい

  • 確かに、日記を書いたあとは誰が見てくれたかな…?と足あとが気になるものだ。mixiの性質上、見られることを意識して書く日記なので当たり前である。しかしながら、先ほど述べたようにイイネ!による通知機能もあり代用も一応可能。
  • しかし、あの新着コメントの一件と同じように足あとを見ること自体を純粋な楽しみにしていた人にとってはそれを奪われたといえる。

2、足あとがあることで交流が広がる

  • マイミクシィ以外(見知らぬ訪問者)からの足あとの割合は約65%。それに対してどう思うかという統計までは見つからなかったのが残念。
  • しかし、交流の広がりという点で見れば改修後の同僚、同級生、コミュニティなど何を経由してきたのかわかる方が「足あと返し」に比べて実の有る広がりが期待できる。(それが今まで通り、リアルタイムで出来たらなお良いよねという話になるのかもしれないが…)

[追記]

「足あと」機能のリニューアルと今後について | THINK SOCIAL

ここを見ればわかるけど足あと更新期間は調整中する可能性もですね。リアルタイム更新に戻すこともありうるのだろうか?


私の場合の話になるが、「あれ?アイツ何書いてたっけ?」と友人の日記を読みなおしに行くとき、自分の訪問が頻繁すぎやないか?と気にしてしまいあまり訪問しない。そのような消極的なユーザーも少なくないようだ。どちらかと言えば今回の改修はそういったユーザー向けに行われている印象がある。また、珍しくニュースに対して日記を書いた時にはそこから飛んできた訪問者で足あとが埋まっていた経験もあって、全く関係ない人が表示されないというのは大きなメリットに感じる。(変なアカウントわざわざ踏むことも無いし。)


3、ストーカーや粘着ユーザーの判断がしにくくなる

  • 足あとに見知らぬユーザー名があることをどのように受け取るかが大きな問題となる。2で述べたように足あとの約65%は見知らぬ他人であるとすれば、その全員をストーカー認定するのは自意識過剰すぎる。

それはちょっとした冗談として、もう1つ注目したいデータがある。

  • 実際に知らない人のマイミクシィ登録の約80%は受身がちである。何度も足あとが残っているのは「ちょっと気になるけどどうやって声をかければ…?相手から来てくれないかな…」といった悩みも含まれているのかもしれないし、逆に相手はそれを気持ち悪がるかもしれない。また、そこで交流が生まれるかもしれない。(今回の改修“来訪経緯の表示”はそういった足あと曖昧さを改善し交流を促したい意図があるのだろう。)

(見たらコメント必須!だとかお礼に足あと返し!は受身を打破したいけど個人では難しいとかストーカー判別という集団的無意識から自然発生した文化では…と言ったら言い過ぎか^^;)

と、まぁ交流したがっている人とストーカーをどう見分けるかは個人的主観に左右されるという上記の2の内容と若干の葛藤を孕む主張ではあるが問題点に変わりは無い。本当にストーカーがいた場合の問題だ。


  • mixiでの実名公開は約55%、日記の公開範囲は約68%が“全体に公開”となっている(実名公開に関しては現在減少しているかもしれない)。一時期に比べ、mixiでのナンパ(出会い厨)は影を潜めているが、それでも少なからずネットストーカーや出会い厨は存在するだろう。(現在では男女比が縮まっている可能性もあるが)男性会員が約70%いる中に本格的なストーカーがいないとも限らないし、ましてそんなヤツに個人情報を知られ日記を見られるのは非常に厄介であり、その確認が出来なくなるのも困るというのもうなずける。

でも、少し考えて欲しい。


  • ユーザーが他のユーザーに公開する情報は有る程度絞ることが可能だ。プロフィールがほとんど見れなければ他の人と交流できない!という意見もあるかと思うが、それは今まで足あとを残していた出会い厨やストーカーも同じで情報は見れない(特に出会い厨は足あと残すのが手口だ。)もっと他のユーザーと交流したいならコミュニティ、メッセージなど活用してマイミクになればいい。おそらく今回の改修には全く知らないユーザと交流する際、一手間増やすことで慎重さをもたらす意味もある。もっとも、そうやってマイミクになった人がストーカーや出会い厨だったら…というケースが一番性質が悪いのだが。こうやって色々なケース考え出すとホント、キリが無い。


結局のところweb上のコミュニケーションでは自衛が大前提であり、ストーカー・粘着の問題は足あと云々でどうにかなる問題ではない。

mixiだけに限った話ではなく、自身の情報をどこまで出すかという線引き、公開範囲の設定をきちんと行うことがSNSを利用する上で大切だ。

(web上の個人情報を全公開に設定するということは「どうぞ誰でも見てください」と言っているのと同じだ。)




※ 改修による被害報告で 「変なメッセージ届いた、コメント付いた」というのが散見されるが…それブロックしたらいいよ。多分今回の改修であぶりだされてきただけだろうから。でもそれが続くようならmixi側の見通しは甘かったし、改修は改悪だった。平謝りして対策も講じるはずだ。



結論として、反対派の理論の中でで今回の改修が改悪だ!といえるのは

純粋に日記を書いた後に足あとを眺める楽しみをなくしたことだけではないだろうか。


 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 


おわりに

今回の足あと改修のメリット・デメリットを上げると以下のようになる。

[メリット]

  1. 来訪者がどういう繋がりで来たかわかるようになり、共通の話題などでコンタクトがとりやすく。
  2. 出会い目的のユーザー排除 →「いいソーシャルグラフ」への取組み
  3. 足あとが残るのを気にする消極的ユーザーの再取り込み:mixi側のメリット
  4. 匿名状態を保ったままで共通点がある人との交流がしやすいSNS

⇒ 実生活のつながりを重視したメリットをmixiが設定している。


[デメリット]

  1. 日記を書いた後、足あとを眺める楽しみが無くなる。
  2. コミュニケーションを求める人にとっては1週間という期間は長い(調整中?)


と、まぁ長々と書いてきたけれど、従来していたmixiの使い方は変えなくてはならない人が出てくるのも事実。それは確実に起こることだし物議をかもしている点である。

だが、今回の改修でこのような反発が起きるのをmixiだって予想した上で、実施したはずだ。足あと改修を実施したことでどのようなメリットが我々にあるのか、その具体的なビジョンを示さなかったことが失策だった。


果たして何人が「いいソーシャルグラフの会」という取組みを知っているのか。どれくらいのコンセンサスがあると判断しての実施だったのか。「気軽に使えます!」 といわれても、「いやいや、今までより使いづらいじゃん…」 という反応が目に見えているはずなのに。


そんな反対するユーザーの中にも各方面に突撃する人や疑心暗鬼になっている人もいる様子。あまりよくない傾向だ。

(「facebookにみんなで移行しよう!」なんて言い出したら終わりですね。反対を表明するために自分たちが危険だと主張する状況にわざわざ身を投じるわけですから。改修後のmixiの方がまだ安全で使いやすい。)


何はともあれ、mixiもユーザーも転換期といったところ。


消極的ユーザーのページビューを増加してサイトを活性化させようとした結果、積極的ユーザーの反感を買ったというオチです。今回の騒動はmixiを頻繁に利用する人が盛り上がってる印象もありますし。



ではここら辺で一旦、〆。


(どんどん加筆訂正中)

ひろしひろし 2011/06/16 17:15 早い話が「意識改革を行わないお前らが悪い」ということですか。
そして、意識改革できないヤツは他の自分に合うSNSを探せと。
確かに社会ってそういうもんですから、そうなんでしょうな。
まるで会社のトップがすげ変わったら、専務派が幅を利かせて
頑なに常務の味方をしていたら左遷されて、仕事しづらくなって、
とうとう会社辞めちゃった、みたいな。世の中は世知辛いですわ。

cocoRococoRo 2011/06/18 01:30 面白い例えですね。問題は“会社を辞めた後に次の仕事が見つかるか”でしょうか。
あてが無ければ見つかるまでそこに残るでしょうし。
どこを落としどころにするにせよmixiのビジョンがユーザーに伝わらなければ、
おっしゃっるように「お前らが悪い」という印象をユーザーが持ったままになってしまいますね。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証