2011年6月18日 15時0分
日本政府は18日、国連安全保障理事国入りを目指して、ドイツ、インド、ブラジルと組んだ「G4」(4カ国グループ)の枠組みで準備してきた安保理改革案の国連総会提出を断念する方向で最終調整に入った。G4は05年にも安保理入りのための改革案を提出したが失敗。今回は「再挑戦」と位置付けたが、決議案採択の条件となる国連加盟国192カ国の3分の2(128カ国)以上の賛成が依然見込めず、可決は無理と判断した。【犬飼直幸】
G4は3月に▽常任・非常任理事国双方の議席増▽安保理の情報共有の改善--と、簡潔に方向性だけを示す改革案を作成した。05年に▽常任6カ国増(G4以外にアフリカ2カ国)▽非常任4カ国増▽新常任理事国の拒否権を15年間凍結--との具体的な改革案で失敗したのとは対照的に、最低限の内容で反対を和らげる作戦で、各国への打診を始めていた。
これに対し、G4の常任理事国入りによる安保理での影響力増大を警戒し、非常任理事国のみの拡大を主張するイタリアや韓国、パキスタンなどの「コンセンサス(総意)グループ」は5月16日にローマで事実上の「反G4」会議を開催し、約120カ国が参加した。G4で支持を取り付けたアフリカ諸国も中国に切り崩され、現時点の支持は70~80カ国にすぎない。
G4内での温度差も目立ち始めた。G4は6月6日、インドのニューデリーで局長級会合を開催。「次のステップを考えたほうがいい」と提案した日独に対し、インド・ブラジルは現行案での働きかけ継続を主張した。複数の日本政府高官は「G4の枠組みにとらわれず新たな方策を判断したい」と述べ、G4による活動を見直す考えを示した。