長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる「平和宣言文」の起草委員会(委員長・田上富久市長)の第2回会合が18日、同市の長崎原爆資料館であり、市側は福島第1原発事故に言及する素案を提示した。
素案は「(原発)事故による放射線汚染が一国だけではなく、地球全体にかかわってくる問題であることを実感させられた」と指摘。その上で「科学技術で生み出されたものは、もし制御できないならば、時間をかけてでも手放さなければならない。謙虚に目をそらさずにその危険性を見つめることが、未来に対する責任」としたが、「脱原発」の言葉を盛り込むことは避けた。また「原発事故と核兵器による攻撃は違う」ともした。
委員の被爆者や学識経験者からは「エネルギーも核依存から脱却すべきだと踏み込んでほしい」などの意見が出た。
市はこの日の意見を基に文案を練り直し、7月2日の次回会合で新たな案を示す。宣言文は7月下旬にまとまる見込み。
=2011/06/18付 西日本新聞夕刊=