東京電力/async/async.do/ae=P_LK_ILCORP;bg=0002021;dv=pc;sv=NXは18日、福島第１原子力発電所の汚染水浄化装置を未明に停止したと発表した。放射性物質のセシウムを除去する装置の放射線量が想定よりも早く高まり、交換基準に達したため。水漏れなどの警報は出ていないが、東電は「再開の見通しは立っていない」と説明している。最優先に取り組む汚染水対策が17日午後８時の処理開始から早くも滞り、事故収束が遠のく懸念が出てきた。

　米キュリオン社製のセシウム吸着装置で、１時間当たり４ミリシーベルトの放射線量を計測。18日午前０時54分に運転を停止した。当初は１カ月に一度の交換を想定していた。東電は18日、「想定よりも早いタイミングで交換基準に達した。近くの配管の（放射線の）影響も考えられる」としている。

　浄化装置は米社や仏アレバ社製の装置で放射性物質を取り除く。油分や塩分を除く機器もつなげ、真水に近づけてタンクにためる。１日に1200トンの汚染水を処理できる能力がある。

　ただ試運転時に水漏れやポンプの故障が相次いだ。本格稼働後は汚染水の濃度が高いことから、確実に動き続けるかどうか不安もあった。修理で作業員が近付くためには稼働を中断して汚染水の濃度を薄める必要がある。

　東電の計画では、18日にも処理水を原子炉の冷却水に再利用する「循環注水冷却」の準備に入る予定だった。この冷却方式は東電が事故収束の時期を示す工程表で対策の柱に位置付ける。放射性物質を高濃度に含む汚染水をこれ以上増やさず、原子炉を安定させるためだ。

　１～３号機の原子炉では現在、１日に真水を約500トン注いで燃料を冷やしている。この水が破損した炉から漏れ出し、高濃度汚染水として建屋などにたまり続けている。燃料を早く冷やしたいが、注水を増やせない状況だ。

　汚染水を一時的にためる移送先は満杯になりつつある。処理が停滞すれば、原子炉から漏れ続ける汚染水が再び敷地や海洋へあふれ出す危険にさらされる。

　循環注水冷却は、処理水を原子炉につながる配管を通じて圧力容器に入れ、炉内の燃料を冷やす。循環注水で注水量を増やせれば、原子炉を安定した状態に持ち込む冷温停止に近づくと期待されている。