2011年05月22日

デマ:蓮舫の子供が海外に留学

 先日の「ちきゅう」陰謀説もそうだが、今回の東日本大震災では、ものすごい数のデマが飛び交っている。
 幸い、そのデマを検証し、火消しに回っているサイトもいくつもある。そのおかげで、早めに終息したデマも多い。ありがたいことである。

ず's デマの検証サイト一覧
http://wiliki.zukeran.org/index.cgi?%a5%c7%a5%de%a4%ce%b8%a1%be%da%a5%b5%a5%a4%a5%c8%b0%ec%cd%f7

 中でも秀逸なのはアンサイクロペディアの「東日本大震災」の項。なんと、デマだけを集めて記事を作ってしまった! どれほどバカバカしいデマが出回っていたかが一目で分かる仕掛け。

東日本大震災
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD

 さて、そんな震災関連デマに、また新しいものが加わったらしい。マイミクさんの日記で知ったのだが、こういうやつである。

蓮舫さんが国民から「ご子息の留学は放射能汚染のせいですよね?」と質問攻めに / デマ拡散の危険性アリ
http://rocketnews24.com/?p=96826

民主党・東京都総支部連合会副会長の蓮舫さん(本名: 村田蓮舫)がインターネット上で国民から質問攻めにあっている。蓮舫さんのご子息が、この時期に海外に留学したという情報がインターネット上に出回っており、「放射能汚染のせいですよね? きちんと答えて下さい」と疑われているのである。
この件がインターネット上で広まったのは5月17日のことで、インターネットコミュニケーションサービスTwitterで蓮舫さんに質問攻めをする人たちが続出。ご子息を安全な海外に逃がしたのではないかという声も出ているが、蓮舫さんは無言のままその質問に返答はしていない(5月18日午前4時現在)。以下は、国民から蓮舫さんへの質問をまとめたものである。
 
・この件に関する蓮舫さんへの質問
「お忙しいところすみません。最近、蓮舫さんのご子息が留学されたという情報が出回ってますが、これは本当ですか? もし本当なら意図は別にあるとしてもとってもまずいことに様な気が・・」
「お子さんが留学したって本当ですか?このタイミングはやはり、放射能汚染のせいですよね?きちんと答えて下さいね」
「お子さんの留学、いいと思います。逆に予定されていた事を自粛するのは理不尽です。むしろ、疎開を検討する被災地の人たちへのいいメッセージになります。批判に負けず、お子さんの夢をかなえてください」
「お子さんが留学という書き込みを見たのですが本当ですか?」(引用ここまで)
 
なかには「蓮舫さんがお子さんを留学という名目で海外に脱出させる、というツイートが出始めました。くだらないデマは大嫌いです。お子さん達のためにも事実かそうでないかを発言していただけませんか?」と語っている人もおり、事実を知りたがっている人が多くいることがわかる。
ほかにも、「蓮舫の子供が留学とかなんとか…そろそろ政治家や官僚、経済界の大物たちのご子息ご令嬢の動向をみんなでチェックしていった方がいいのかな…逃げ遅れないように…まったくいやな世の中になってしまった…」とコメントしている人もいた。
真相は不明だが、「蓮舫の息子さんは2010年末(原発事故前)に北京大学に留学しました」という情報がインターネット上にあることから、もし誤解であれば蓮舫さんの公式なコメントを待ちたいところである。
とにかく、Twitterで重大なことにつながるデマを流すのだけはやめておこう。書き込むにしても、未確認の情報は「未確認」であることを明記して書き込むべきであり、蓮舫さんの件についても真実がわかるまで確定的なことを書くのは絶対にやめよう。

 このロケットニュースの記事がどれほどマヌケかというと、記事中に引用されている蓮舫のツイッターのプロフィールに「14歳の男女の双子の母でもあります」とはっきり書いてあることなのだ。
 彼女の公式サイトで見ると、出産は1997年4月だったと分かる。つまり、昨年末の時点では13歳である。

http://www.renho.jp/profile/profile3.html

 どうやって13歳で北京大学に留学できるんだよ!?(笑)よほどの超天才児なのか?
 まあ、中学生でも海外留学は不可能ではないが、5月12日のツイートには、彼女が2人の子供のためにお弁当を作っていることも書かれていて、子供たちが日本にいることは明白なのだ。

http://twitter.com/#!/renho_sha/status/68436638346387456
http://twitter.com/#!/renho_sha/status/68439590893142016

 だいたい、質問者の全員が「お子さん」「ご子息」と単数形で書いているところを見ると、彼らはみんな、蓮舫に子供が2人いることさえ知らないようである。
 何で質問に答えないって? そりゃあ、こんなアホな質問にいちいち答える義理なんかないだろ。
 このニュースの記者、「蓮舫さんの件についても真実がわかるまで確定的なことを書くのは絶対にやめよう」と文を結んでいるが、その記者自身が、蓮舫のプロフィールも見ず、ちょっと検索するだけで分かる基本的な事実関係を調べずに記事を書いたのがモロバレなのである。
 まるっきり素人じゃん!
 しかしまあ、何でこういう話をホイホイ信じちゃうかねえ。

 こういうことを書くと必ず現われるのが、「じゃあ何を信じればいいの?」とか「だって政府や東電だって嘘ばっかり言ってるじゃん」とか言う奴。それは論点のすりかえというものだ。
 誰かが間違ったことをしているからといって、自分も間違ったことをしていいという理屈にはならない。
 確かに原発事故のことなどは素人にはなかなか検証できないものである。しかし、この件は違う。サーチエンジンというものさえ知っていれば、誰でも簡単に検証できて、「怪しい話だ」と気づくはずだ。調べても裏が取れなければ、信じなければいいだけのことである。
「ちきゅう」陰謀説もそうだったが、ちょっとした確認も怠ってデマを信じこみ、誰かを中傷するのは、間違った行為、悪しき行為である。

 断っておくが、僕は蓮舫の味方ではない。例の「2位じゃダメなんでしょうか?」の件以来、彼女のことは好きではない。
 しかし、だからと言ってデマを流していいことにはならない。前にも書いたが、「奴らを貶めるためならウソをついてもいい」という考え方は、断じて正義ではない。悪である。
 デマに騙されるだけなら被害者だが、デマを流せば加害者、つまり悪になるのだということを自覚していただきたいものである。

【余談】
 アンサイクロペディアでは「ノストラダムス」の項も同じ手法が使われている。ノストラダムス本に書いてある嘘だけを集めて記事にしてあるのだ(「ミシェル・ド・ノートルダム」の項はちゃんと別にある)。これは凝っていて笑った。一読をおすすめする

ミッシェル・ド・ノストラダムス
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%80%E3%83%A0%E3%82%B9


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http://hirorin.otaden.jp/t179800
この記事へのコメント
ちょうど、こういうのも出たみたいです。参考までに。
http://synodos.livedoor.biz/archives/1763822.html
Posted by gallery at 2011年05月22日 20:24
YAHOO知恵袋が酷いですね。
低年齢層の利用が多いからかもしれませんが、震災関連だけでも「地震雲」「地震予言」「陰謀論・HAARP」の質問と解答の、デマや事実誤認の多いこと。
単語をGoogleで検索すると、YAHOO知恵袋の質問内容が上位に表示されることが多いので、新たにデマに騙される人が出てこないか心配です。
Posted by 666 at 2011年05月22日 23:54
『ず's デマの検証サイト・・・』
これ異常に左に偏った内容のサイトです。^^;

しかもその検証の結果が・・・。

>善光寺が発した静かな怒り
>捏造と思われる。
>アインシュタインの予言
>捏造だと思う。
>在日の生活保護
>真実味は薄いと思われる。
>在日特権
>デタラメだと思われる。

・・・ほとんどの検証結果が、自分にご都合的に解釈した後『思われる』の仮定で示す。
いい加減にしろと言いたくなりますね^^
要は事実を認めなくないってことでは?
{警告}
皆さん!真に受けてはだめですよ。
Posted by みなみけ好き at 2011年05月23日 16:12
>蓮舫さんの件についても真実がわかるまで確定的なことを書くのは絶対にやめよう。

まさに私はそうですね…
以前、「花見をやろうよ!」の記事でのコメントでやってしまいましたから…更に59630さんから質問の回答いただいていませんし(どうでもいいですね)
Posted by toorisugari at 2011年05月23日 20:05
あー、蓮舫議員ネタまた出たんですか。辻元議員の時もそうでしたが、デマにはキリがないですね。
どこで調べたのかさえさっぱり分からないような話を真に受けたりして、一体何がしたいのかと。中には誹謗中傷目的の悪質な輩もいますが。

デマならデマで発覚したなら、素直に訂正するなり謝罪するなりすれば騙されただけの人で終わりますが、中には必ずといっていいほど山本さんが今回書いたようなことを言ったり「デマを流されるようなことをしているから悪いんだ」「でもそういうことをしていてもおかしくないでしょ?」とか見苦しい言い訳に終始する輩も珍しくないのです。

騙されないようにするには単純にクロスチェック、つまり複数のソースを照らし合わせて検証することが大事です。皆さんも騙されないよう注意してください。似たようなデマとして枝野官房長官の家族がシンガポールに避難していた、というものもあります(デマの疑い濃厚です)。
Posted by 59630 at 2011年05月23日 21:08
裏を取らずに記事を書いたのならマヌケだし、確信犯で書いたのなら悪質ですね。
それは別にしても、仮にこのタイミングで本当に蓮舫氏が子供を留学させたとして、それのどこに問題があるのか私にはよくわからないのですが。
Posted by hoge at 2011年05月23日 23:32
 自分もかの2番発言から、蓮舫の事は気に食わないと感じておりました。が、これはひどいと今回の件に関しては思いました。
 おそらくは、蓮舫の事が嫌いな人間の思い込みから発生したデマなんでしょうけど、「人間は自分が信じたい事しか信じない。事実や真実は糞食らえ」ってなとこがあるなと、改めて実感。

 判断材料が無かったり、信じるに足らない怪しい話があると、判断を保留するものですが。
 中には「そんなもんどうでもいい」と己の感覚や(こうあってほしいという)願望のみが先走り、そこから捏造したデマを事実と吹聴する人も居る。
 で、時にはそのデマを事実と信じ込む人間も出てきて、次第にデマが事実とされてしまう。陰謀論者や莫迦予言やら、インチキ宗教やら偏見な思想やらがまかり通り、支持されてしまうのは、人間にこういう困ったとこがあるからなんだろーなあ……と、ちょっと思ってしまいました。
Posted by 塩田多弾砲 at 2011年05月24日 09:55
>みなみけ好きさん

「善光寺が発した静かな怒り」は、ソースがまったく見つからないそうです。

http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-159.html

「アインシュタインの予言」が捏造というのも本当です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BA%88%E8%A8%80

「在日の生活保護」「在日特権」も、ちゃんといくつもの根拠を示したうえで(リンク先までちゃんと読みましたか?)、なおかつ断定を避けて「思われる」と書いてますよね。
 何か問題でも?

>要は事実を認めなくないってことでは?

 その言葉はあなた自身に向けられるべきですね。
Posted by 山本弘山本弘 at 2011年05月24日 13:12
まだ震災から二ヶ月半程度ですが、光文社新書から「検証・東日本大震災の流言・デマ」(荻上チキ)という本まで出ていますね。
読んでて正直胸くそ悪くなる一冊です…(著者の方は何も悪く無いのですが)。
Posted by 通りすがった人 at 2011年05月25日 01:45
>toorisugariさん
申し訳ない、この場を借りてお答えします。
蓮舫議員の点だけに関して言えばそれで問題ありませんが、私は彼女のことだけに限った話ではなく、デマを流して特定の誰かに対する誹謗中傷を行う側に回らないで欲しい、情報は可能な限り発信元に近づけて、信頼性の高いものを引用して欲しいと言いたかっただけです。

厳しい物言いになりますが、前回の件でtoorisugariさん自身が「大惨事に便乗するクズども」の一部になりかかっていたのです。
何の疑問も抱かずにデマを流す側になってしまえば、名誉毀損罪か侮辱罪、または業務妨害で逮捕されたり訴えられたりすることがありえたのです。

怪しいと感じたり、刺激的または過激な見出しの情報があった場合は、深呼吸して冷静にものを見つめるようにしてください。私からはそれだけです。
Posted by 59630 at 2011年05月25日 20:04
 みなみけ好きさんのコメントがありましたが、あまりにもナンセンスなうえ、在日韓国人差別を助長する内容であったので削除しました。
「兵役がないのは在日特権」とか言われましてもねえ(笑)。じゃあ日本人全員、特権じゃないですか。
Posted by 山本弘山本弘 at 2011年05月29日 13:09
 >59630さん
 ご返答有難うございます。
 もっと情報の受け取り方・根拠の調査を気を付けることを心掛けなければ、結局他人を傷付けたり迷惑をかけるだけですものね。
 私もそれを怠ってしまった、そしてこれからもあり得ることだと自覚していきたいと改めて思います。それでもやってしまうのかなぁ…(弱気)
Posted by toorisugari at 2011年05月29日 14:57
>toorisugariさん
いやいや、デマを流してしまったならそれはそれで、きちんと訂正して(特に当事者に対して)謝罪すれば、それで済む話なんです。
デマを恐れて何も言えなくなるのも、それはそれで問題ですから(当然、一番駄目なのは訂正も謝罪もしない人です。もっとも、そんな人ははなから相手にされないでしょうが)。

大事なことは間違いは間違いとはっきり認めて訂正できること、そんな身も蓋もないことですよ。
Posted by 59630 at 2011年06月05日 11:28
 >59630さん
 そう言っていただけるのは励みになります。有難うございます。(だいぶ日にちが経ってのコメント、失礼しました)
Posted by toorisugari at 2011年06月17日 11:00
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