2011年6月17日0時48分
チェルノブイリ原発事故で汚染されたベラルーシの農村の暮らしを追った映画「ナージャの村」が16日、福井市で上映され、本橋成一監督(71)が講演した。作品は大地の恵みと四季の豊穣さ、そこに暮らす人間の慎ましさを描いた。監督は、「人間の暮らしに核は似合わない。きれいな風景の中から想像してほしいと思った」と語った。
「何故、汚染された土地を離れないのか」。監督の問いに「人間が汚した土地なんだよ。逃げ出すわけにはいかないのさ」と答える老人の言葉で、映画は始まる。
謙虚な老人が弾き続け、鳴らない鍵盤もあるアコーディオンの音を収めたいとの思いが、写真家の本橋監督にメガホンを取らせた。
舞台のドゥヂチ村にはテレビも車もない。「それでいて彼らは貧しいとは全く思っていない」。季節に合わせ、リンゴをもぎ、キノコを狩り、ジャガイモを植える。監督は「こういう暮らしを、こういう人たちが汚染される矛盾を、日本や欧米の人に見せたいと思った」と語り、暮らしの「引き算」を提案した。
初めてチェルノブイリを訪ねた1991年に病院で出会った子どもたちの笑顔と福島の光景が、脳裏で重なった。「おじさんたちが豊かになろうと原発を推してきて『悪かった』ではすまない。福島で同じことが起き、僕たちのツケが子どもたちにいっている」
主催の「みに・キネマ・福井」の高橋忠栄代表は、「美しければ美しいほど、子どもたちが無邪気であるほど、怖さを感じる。映画を見ることで、地道なNOを重ねたい」と話す。(荻原千明)
あまりの過激さに物議を醸した問題作『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』。そんな前作をかる〜く超える、サシャ・バロン・コーエン主演の最新作。