LGエレクトロニクスの新製品テレビの発表会で登壇しました

 5/28に台湾いりしてCOMPUTEX/台湾、6/3に台湾から帰国して、6/4からE3/ロサンゼルスへ…。やっと今週、半月ぶりに日本に帰国しました。

 その直後、6月15日は、LGエレクトロニクスの新製品テレビの発表会で登壇しました。

 AV WATCHではさっそく記事が上がっていますね

lg35.jpg
LG、偏光3D/新IPSの「CINEMA 3D」など新液晶テレビ
-最上位「NANO FULL LED」は直下型LEDで最薄8.8mm

http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20110615_453130.html

 最近は、三菱のRDT233WX-3Dのレビューもやりましたし、偏光方式の3Dの新製品の登場が目立ちますね。東芝のレグザZP2も偏光方式です。ZP2については、月内に大画面☆マニアでご紹介出来るかと思います。

 「善司さんは、偏光方式推進派なの?」という質問を受けたのですが、そもそもボクは新技術と技術の進化に興味があるだけなので、別に何々信者とか何々推進派というのはないですね。

 愛車歴を言えばホンダの次、マツダですし、パソコンの機種歴もソニー、デル、富士通、とメーカーにはこだわりはないですし。まぁ、X68000のイメージが色濃く残っている自分としては「シャープ派?」の印象が強い人もいるでしょうけど(笑)、あの時代でも実はPC88/98やらEPSON互換機まで持ってましたからね。

 まぁ、コンサルティングとかマーケティングとか、そっち方面の仕事をしてらっしゃる方は分かると思うんですが、クライアントの商材の良さを引き出すための論調を生み出すということは、こういう仕事では必須なんです。
 その意味では、プラズマテレビの暗さを「プラズマは明るすぎない」というセールストークでカバーする術をうみだした人は天才だと思います。広告代理店とかは、ほんと、その手の天才はたくさんいますよね。

 ボクには、そこまでの才能はないですが、今回はクライアントが三菱→LG…と偏光方式3Dに関連した仕事が続いたので、偏光方式の良さについてあの手この手の手段のアピールを用意して、それが連続しただけのことです。

(プレゼンは、まずまず好評だったようで、LGエレクトロニクスの李揆弘社長から直々に「社員教育に転用したい」という、直々のご挨拶まで頂きました)

 フレームシーケンシャル(アクティブシャッター3Dメガネ)方式には、そっちはそっちでその長所、美点がありますから、そっち方面から依頼を受ければ、その優位性を訴えることは出来ます。

 LGエレクトロニクスとしても、「あっちが悪くてこっちが良い」という主張はしたくないようで、対等の目で見て、ユーザーには、どっちか好きな方を選んで欲しいというのが本音だと言っていました。

 要するに不当な先入観で見て欲しくない…ということですね。

 そういえば「アクティブシャッターメガネには偏光板がないだろ」とかなり強い論調で訴えている方がおられるようですが、アクティブシャッターメガネにも偏光板は入っています。

 そもそも、液晶シャッターメガネの液晶はTN型です。この方式では液晶分子自体に遮光特性はありません。なので偏光方向が直交する偏光板を光の入射側と出射側に配して液晶走を挟み込んでいます。
 もし、信じられないようでしたら、一番分かりやすい確認方法がありますよ。
 アクティブシャッターメガネを2つ持っていたらメガネの電源オフ時でいいので、2つのレンズを90°直交させて重ね合わせてのぞいてみてください。黒くなります。偏光板が入っている証拠ですね。

 ソニーのブラビアの3Dモデルもメガネはアクティブシャッター方式です。これには偏光板がない!と言い張っている人がいますが、実はそうではないです。
 ブラビアは、液晶パネル表示面側に3Dメガネの偏光板に相当する偏光方向の偏光板を取り付けた工夫をしているんですね。ですから、ブラビアの3Dメガネの出射側には、これと直交する偏光方向の偏光板の偏光板を付けています。ブラビアの3Dメガネも前述の2つのメガネを直交させて覗く実験をしてみましょう。暗くなるのが分かります。偏光板が入っている証拠です。

 僕の話が信じられないというひともいると思うので、フレームシーケンシャル方式のアクティブシャッターメガネを採用するシャープのプレゼンを示しておきましょう。偏光板が採用されていることを記載しています

 それと、「偏光方式の解像度情報が、フレームシーケンシャルの二倍あるなんてウソだ」という指摘が先ほどの指摘に書かれていますが、その通りです。ボクも二倍とは言っていなくて、実は、解像度情報はフレームシーケンシャルR100:L0で、偏光方式R50:L50で、両方とも言ってみれば同一時間軸上では半分なので等価だよね…という論調をいいました。

 まぁ、実は、フレームシーケンシャル方式に限らず、DLPとかプラズマとかもそうですが、時間積分的なアルゴリズムでは時間方向に人間の視覚の残像効果を応用します。ですから静止画としての解像度は確かにフレームシーケンシャル方式の方が上です。

 未来の話をしますと、偏光方式は、Active Retarderというフル解像度の偏光方式を実現する技術の用意がありますが、その前にもう一つ、中間段階の技術が1つ2つあります。

 これらは、いずれ、機会を改めて何かの記事でまとめたいと思っています。

 それと、ボクは、暗算はとても苦手ですが、理系です(笑)
(文系の人はもっとうまい文章が書けます)
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Comments

西川善司 | 2011/06/18 02:08
とても素晴らしい質問とたとえだと思いました。あれがとうございます。

3D映像を2D映像に置き換えた、たとえ話ですね

2Dに置き換えると、

偏光方式が1920x540の60Hzプログレッシブ

アクティブ方式が1920×1080の120フィールド・インターレース

という例え話だとおもいます

 ただ、後者は、横スクロールする映像では、コーミング(櫛状ノイズ)が見えてしまいますよね。
 しかし、動きがそれほどでもなければ後者はフル解像度が知覚出来ます。これが長所ですね。

 実際、3Dになっても、両方式にはそういう長所、短所があると思います。

 静止画に近いケースでは、フレームシーケンシャル方式の方が解像感は、視覚の残像効果の手助けもあって確実に上ですし、時間積分方式はそれを期待しての方法ですからね。

 一方、動きの激しいゲーム映像なんかは、今回のプレゼンで引っ張り出してきた運動視差の話題も含めて、偏光方式が向いていると思います。常に両目がものをみるというのは自然なことですから。

 あまり画面が激しく動かない人物主体の映画なんかはフレームシーケンシャル方式の方がいいと思います。

 昔、言われた液晶対プラズマの長所短所…みたいな感じで、好みで選ばれたり、得意なところに棲み分けていったりするんだと思っています。

 または、そのうち、技術革新でそれぞれの短所が克服されていく…という感じだと思います

 今、あーだ、こーだ、言っているのは立ち上げだからでしょうね。

 ただ、AV技術の歴史を振り返ると、時間積分的なアプローチは中継ぎの中間技術という感じがします。

 プラズマは色表現がサブフィールドを用いた時間積分でしたが、廃れましたし、単板式DLPもAV用途では同様の運命をたどりつつあります。

 そもそも2D映像も時間積分的なインターレースは嫌われて、プログレッシブに移行しようとする力が働いていますし。

 量子化というデジタル技術そのものが時間積分じゃないか…という根本的な疑問はありますがね。
ぽっくん | 2011/06/17 15:02
いつも楽しく読ませてもらっています。

該当の記事中に気になることがありまして、
解像度の比較の中で、「偏光方式は解像度は低いが両目」、「フレームシーケンシャルは解像度は高いが片目」なので情報量は一緒という話がありましたが、これって「320x240の60fpsノンインターレースの画面」と「320x480のインターレースの画面」が単位時間あたりの情報量は一緒なので等価。と言っているような気がして、少し違和感がありました。

情報量と解像度は交換可能なものなのでしょうか?

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