今回の大震災はいい教訓になっただろう。幸い人口の少ない地域だったせいで、まだ息の根が止まるレベルまではギリギリ達していない。それ故に今回のことを教訓にして、現在悪手だったとしても好手に変えられるチャンスでもあったが、どうやら悪手のあとに悪手をまた打つつもりのようだ。唯一良かったのは、先に東日本側に巨大津波が起きたことで浜岡原子力発電所がやり玉に挙がったことだ。なにしろ事故が起きればこちらの方が被害は遥かに大きいからだ。
残念ながら良かったのはこれだけ。あとは無意味なバラマキが行われだしている。まず間違っているのは阪神・淡路大震災のような大都市圏ではないのに安易な復興を考えていることだ。人口が減少している地域なのだから、常識で考えて仕事はどんどん減っていく。将来的に地元に残れる人はあまりいないのだから、現在仕事を失っている人は都会へ誘導しなくては駄目だ。とくに高齢者は今後仕事をすることもないのだから、都会へ移動させるために400万とか500万もする仮設住宅の提供(7万戸で総計3620億円計上)をやめることだ。それでも地元に残りたいのなら全部自己負担の自己責任でやってもらうしかない。若い人も多くは将来的に都会へ出ていかなくてはならないだろう。それなら親が今回のことで仕事を失っていた場合は都会へと移動させなくてはならなかったはずだ。
被災者が仮に100万人いたとして、1人あたり100万円を渡せば1兆円となる。そういう飴を用意し、そして仕事を斡旋して都会へ移住させることをやるべきだったはずだ。そうすれば仮設住宅なんて2年限定の高額な商品を用意する必要もない。せいぜい地元に仕事が残っている人限定に仮設住宅を供給すべきことのはずだ。
津波に襲われる場所に住むのは禁止にして、地盤の良い場所を探して高台を整備するなどの復興計画を出すなど、街をコンパクト化して効率化するチャンスでもあったはずだ。しかしながら復興計画は俺から見たら完全頓挫。500万円ぐらいする仮設住宅を今後もどんどん立てていくつもりらしい。おまけに解体費用が100万もするとか。しかも2年限定だ。それなら賃貸の方が遥かに安上がりで済むということが分からないらしい。
災害を利用して、できる限り都市圏へ人口を移動させて効率化させるチャンスを不意にし、非効率なまま復旧すれば、より公共投資の費用がかさむことになる。そしてその費用は10兆から20兆円になるとされている。もちろん福島第一原発事故を抜きにした数字だ。いったいどこにそんな費用がかかるのか不思議でならない。そもそも仮設住宅は7万戸も必要なのかという話だ。瓦礫の撤去だってそれほど費用が必要とも思えない。
まさか今更防潮堤をいっぱい作るということなのだろうか?だとしたら土建屋は大喜びだろう。しかし田老町の防潮堤は80年の貨幣価値で50億円。当時の大卒初任給は12万円弱で現在は約20万の単純計算で考えれば、現在だと90億円かかる。しかし、10メートルの高さでは役に立たなかったから、20メートルを作ることになるだろう。そうなったら今までの建設面積だと骨細の建築物となって津波の威力に耐えられないから、横にも太さを増さなくてはならない。しかも重みも増すから場所によっては沈まないように地盤を改良する必要まで出てくるかもしれない。それ故に建設費が倍になる程度では済まない。
そんなことをするぐらいなら、最初から高台に住んでおけば確実である。高台を造成した方が、土地を売ることで赤字も多少は補填できる。菅政権も高台の構想はあるようだが、復興の道筋は低地にいた人を高台に上げるだけで、それ以上でもそれ以下でもなさそうな気配だ。高齢者が今更土地を買って住宅を建てるとも思えないし、それなら仮設住宅などに入れずに都会の賃貸の方が費用もかからないし、確実にそういう人の人口分が減ることが分かっていれば、造成地も縮小できる。
いずれにしても、10兆とか20兆円も必要だとは到底思えない。政府が被災者の土地を買い上げるとか、そういうことをしない限りは阪神・淡路大震災よりちょっと多く見積もって5兆円程度で済むのではないか?
1次補正予算約4兆円で、基礎年金の国庫負担を引き下げで2兆5000億円、子供手当て上積み見直しで2000億円、予備費8000億円、その他もろもろ合わせて4兆円捻出できたのだそうだ。しかしこれはあくまで1次補正予算であり、福島原発のこともあって、こんなもんじゃ済まないのは確かではある。仮に福島第一原発だけで10兆円必要だとして、これをどこから捻出するのかが議論されており、復興債だとか増税だとかいろいろ言い出している。中には無駄を省くことで捻出するという意見もある。
子供手当て、高校無償化、高速道路無償化、戸別補償などを無くせば5兆円捻出できるとされている。しかし元々が超大赤字であり、無駄削除で捻出というのも虚しい限りである。
今年は様々な産業に震災の影響が及んだことにより、多くの企業が利益を減らしてしまうだろう。そしてそれが更なる政府の赤字を呼び込むことになる。
家計純金融資産は2010年9月時点で1077兆円。政府債務は908兆円。今のところ不透明ながら、これが逆転するのは2014年と予想されている。1996年では差額が440兆円ぐらいあった差が現在は勢いよく縮まりつつある。このまま進めば買い手はいなくなる。そして金利の上昇は一定レベルを超えると加速度を増していくことにもなる。
国債価格は上限が決まっているため、バブルが長続きする傾向にある。そしてこれを支えているのは超金融緩和を続ける金融政策と、BIS規制による奇妙なルールである。今のところ国債をどんなに買ってもリスクウェイトがゼロで自己資本比率を毀損しないから安全資産として買われている傾向にあるだけの話に過ぎない。
S&Pが日本国債をシングルAに格下げすれば世界的な自己資本比率規制に抵触し、リスクウェイトを20%積まなくてはならなくなる。そうなると、以前ほど日本国債を買い支えることが難しくなる。そんな中でもどんどん国債を刷り続ければ、国債の価格が下がり出して金融機関は減損処理をしなくてはならなくなる可能性もある。そうなったら金利の上昇は加速度を増していくと想像される。それを抑えるために日銀が買い支えれば、円そのものの価値が暴落してしまうだろう。
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世界的にはインフレの状況がより鮮明になってきていますが、
今後円安になるようなことが起きると、国内の物価上昇は免れません。
問題はその時どうなるかですが、、、
どうなるのでしょう?
背筋が寒くなるばかりです。