8月6日の平和宣言に国外に住む被爆者の体験や思いを盛り込んでもらおうと、在外被爆者を支援する豊永恵三郎さん(75)=安芸区=が、韓国、ブラジル、米国の被爆者6人の体験記を広島市に提出した。豊永さんは「在外被爆者は、医療費助成に上限があるなど差別的な扱いを受けている。松井一実市長に在外被爆者の思いを知ってほしい」と話す。
松井市長は平和宣言に被爆者の体験を盛り込むことを決め、20日まで公募している。「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」広島支部長などを務める豊永さんは、各国の被爆者に体験記の応募を呼びかけ、自らの被爆体験記とともに提出した。
そのうち、在韓被爆者の郭貴勲(カクキフン)さん(86)が記した文章には、日本が植民地支配した朝鮮半島から徴兵され、広島で被爆したことや、日本政府が在外被爆者に健康管理手当を打ち切るなどの差別的な扱いを続け、裁判闘争をした体験などが記されている。【樋口岳大】
毎日新聞 2011年6月17日 地方版