2011年4月14日20時9分
農林水産省は14日、福島県に割り当てた今年産米の生産数量目標の一部を他県に回す調整に入った。沿岸部の水田の津波被害や、福島第一原発から漏れた放射性物質による土壌汚染の影響で、目標達成が難しくなったため。
筒井信隆農水副大臣がこの日の記者会見で明らかにした。福島県の今年の生産数量目標は36万3680トン(6万7720ヘクタール)。県はこのうち3万5千トン(6500ヘクタール)分の作付けを他県に回す「都道府県間調整」を農水省に申し立てた。津波と土壌汚染の被害から暫定的にはじいたもので、今後の作付け禁止地域の設定次第では、数量が変わる可能性もあるという。
農水省はすでに、宮城県が申し立てた1万600トン(2千ヘクタール)の他県への振り分け作業を進めている。福島、宮城両県で調整が必要な数量は計4万5600トン(8500ヘクタール)で、今年産米の全国の生産数量目標795万トンの約0.6%にあたる。
ただ、いまは田植え直前で、他県が十分に作付けを引き受けられず、コメの供給が減る可能性もある。仮にそうなっても、政府保有の備蓄米約100万トンに加え、民間在庫もあることから、農水省は、当面コメ不足に陥る心配はないと説明している。