(cache) 環境放射能を測る:財団法人 日本分析センター・Japan Chemical Analysis Center

魚に含まれるストロンチウム90の分析

試料の調製

1.灰試料の化学的前処理(ストロンチウムの分離)

酸分解

灰試料に王水を加える

(1) 酸分解

灰試料に王水を加えて成分を分解し、硝酸や塩酸で溶解処理します。

炭酸塩沈殿生成操作

炭酸塩沈殿生成

(2) 炭酸塩沈殿生成操作

酸分解された試料溶液に水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性とします。さらに炭酸ナトリウムを加えて、炭酸塩沈殿を生成します。

(3) シュウ酸塩沈殿生成操作(ストロンチウムとカルシウムの分離)

シュウ酸塩沈殿生成操作

シュウ酸塩沈殿を乾燥・加熱分解

炭酸塩の沈殿に塩酸を加えて溶解し、これにシュウ酸を加えてシュウ酸塩の沈殿を生成させます。
この操作では、ストロンチウム及び同属のカルシウムなどが沈殿として、他の金属類から分離されます。沈殿物を乾燥・加熱分解したのち、塩酸で溶解します。


2.イオン交換法によるストロンチウムの精製

イオン交換分離

イオン交換分離

イオン交換法とはイオン交換樹脂を利用してカルシウム等の妨害元素を分離除去する操作です。
試料溶液中のストロンチウムなどをイオン交換樹脂に吸着させます。次に溶離液Aでストロンチウムより分配係数の小さなカルシウムなどを溶離し除去します。最後に溶離液Bでストロンチウムを溶出します。(右図参照)
ストロンチウムの溶出液は蒸発乾固したのち、希硝酸に溶かします。次に スカベンジング操作 によりイットリウム90(90Y)を除去したのち、2週間以上放置して、90Yの生成を待ちます。


水酸化鉄共沈法による放射能測定試料

沈殿による90Yの共沈分離

3.放射能測定試料の調整

イットリウム90(90Y)のスカベンジング操作後、2週間以上経過した試料から ミルキング操作 によりイットリウム90(90Y)を水酸化鉄沈殿に共沈分離し、その放射能を測定します。

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