★ 西日本の政令都市A市で24時間介護保障に

★過疎地で介護事業所がない問題を解決した北海道の事例

★障がい者制度改革推進本部の設置を閣議決定

11・12月号
2009.12.15
編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
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2009年11−12月号    目次

   

4・・・・西日本の政令都市A市で24時間介護保障に
11・・・24時間介助の重度知的障がい者に生保他人介護料大臣承認
15・・・過疎地で介護事業所がない問題を解決した北海道の事例
19・・・法改正なし・追加予算なしでできる、入院時の介護制度
26・・・障がい者制度改革推進本部の設置を閣議決定
30・・・全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内
36・・・CIL(自立生活センター)を作りたい方へ



西日本の政令都市A市で24時間介護保障に

 福祉関係では悪名高い西日本の政令都市A市で交渉していた全身性障害者のBさんに対し、1日24時間の重度訪問介護が認められました。政令指定都市では11箇所目。
 支援費制度以前は、規模が多きすぎる政令指定都市は行政内部で意思決定にかかわる課長クラスの人が多すぎて意思がそろわず、24時間介護保障の制度はできにくかったのですが、最近は全国的に制度が伸びてきたため、状況が変わってきました。
 交渉したBさんに記事を書いていただきました。他の地域の方も、同じように交渉して地域の制度を改善してください。 (紙媒体のみ全文掲載。HPでは抜粋を掲載します)

A市での介護保障交渉の経過

 きっかけは、重度障害者である私が、地域で一人暮らしをしようと、決意したことからはじまった。それまで私は家族と同居していたが、両親の介助の負担は大きく、高齢化に伴い、十分な介助をうけることが困難になりつつあった。しかし、当時、障害区分認定は区分5と、実状(全てのことに24時間にわたって介護が必要)とかけ離れた評価を受けていたし、家族との同居がネックとなって、制度上、十分な介助時間は支給されていなかった。そこで2009年3月より、介護保障協議会の制度係と連絡をとりつつ、一人暮らしのための準備を開始した。

2009年3月
 障害区分認定の再調査の通知を受ける。私が一人暮らしを実現するには24時間の介助保障が必要であるが、当市では未だ24時間の介助は認められていない。交渉して制度改善する最初の1人になるわけで、少なくとも区分6であることが、行政内部での決定に重要で、これからの交渉の最低条件となると思われた。私の障害を考えれば、区分6が妥当なはずだが、これまでどういったわけか、区分は5とされていた。(109項目の個々の障害が重すぎると逆に区分が軽くなる「逆転現象」に陥っていたと思われる)。まずは区分6と正確に認定されることが最初の関門になる。区分が5とされていた理由は、聞き取り調査の際に間違いがあったか、認定の逆転現象が起こったかが考えられた。

中略
(中略部分は紙媒体のみ全文掲載。)

2009年5月
 区分は6に決まった。

2009年8月
 3ヶ月にわたって何十件かの物件をあたり、やっと新しい家をA市D区にみつける。いよいよ24時間保障の本格行政交渉に入る。

2009年8月27日
 新居の仮契約。

2009年8月下旬
 新たな住所のD区役所窓口に介助者とともに出向く。重度訪問介助への変更と、24時間の介助時間を要請する。担当の職員は、前者は可能かもしれないが、後者(24時間)は無理だと答える。とにかく、一度、手続きに則って聞き取り調査をさせてほしいと言われる。

2009年9月1日
 D区役所に電話する。「当市では24時間の介助保障は前例がなく、区役所では決定できないはずだから、市の課長と直接話させて欲しい」とアポイントメントを要請。D区は「調整する」と約束したのに一向に連絡がないので、夕方、D区役所に連絡すると「自分で直接するように」と言われる。

2009年9月3日
 障害者団体の代表と私と介助者の三人で、市の障害福祉課に課長を訪ねてアポなしで交渉に向かう。課長はいたが、担当係長が不在。構わず交渉に入る。私の窮状を訴えて、緊急で対応してもらわないと生命と健康に関わる旨を説明。続けて24時間の介助内容の説明にうつる。課長はしばらく、黙って聞いていたが、途中で「必要性と、緊急性はわかったので区役所の方には早急に対応するように伝える」ことを約束して退席した。このとき、「あくまで決定権限はD区の福祉事務所にあり、市(本庁)はこれに従うのみである」ことと、「市としては本当に必要性があれば、24時間の介助も認めないものではないこと」を明言。とにかく、「手続きに則って区の担当者の意向聴取を受け、審査会の意見聴取、支給決定を待ってくれ」と言われる。決定権限の所在を確認できたので一旦引き上げた。

2009年9月4日
 区役所にて、区の担当者二人と、私と介助者(途中、障害者団体代表合流)で意向聴取。まずは一人で暮らさなければならない窮状を説明。今後の生活プランと、それに伴う介助時間の必要性と緊急性を説明した。A4数枚にわたる分単位の24時間介助内容を書いたものを読み上げながら、一つ一つ内容を説明。途中、体調が急変し、異常発汗などが起こるも、ある意味、こちらの主張に説得力を与えるものとなる。説明は3時間近くに及ぶ。いくつかの質問の後、深夜の時間帯における介助行為(実働時間数)の少なさを指摘され、同市では24時間介助保障の前例がないなかで、窮状を勘案すると、深夜の実働時間数を合算したものでプランを立てたいと提案される。(見守り時間を除いて、ヘルパーが実際に動いているこま切れの時間を足し合わせた時間を支給決定時間にしたいとの提案)。しかし、それでは生命の安全を保持できない旨を説明して断る。

2009年9月7日
 前回の聴取で、深夜介助の認否が問題となることが判明したため、急遽、深夜介助の必要性と重要性を記した資料を作成してD区役所に持参。さらに重度訪問介護の正しい運用のため、厚生労働省が2009年3月12日に障害福祉関係主管課長会議において出した注意文書(編注HP参照)を見せながら説明する。
 後日、区役所担当者へ連絡すると、やはり24時間の介助保障は同市初のため、市(本庁)の担当係長と福祉事務所長と協議するという情報を聞く

2009年9月10日
 協議の前に、深夜介助について、D区の担当者に渡した資料と同じものを持って、市(本庁)の担当係長にもアポイントなしで説明に出向く。協議の直前のわずかな時間だったが、説明をする。

2009年9月11日
 D区の担当者から、「市としては、24時間の介助保障を認めることが決まった」と連絡がある。早急に審査会を開催し、意見聴衆の後、正式に決定通知すると。

2009年9月16日
 D区の担当者より審査会の結果が電話で告げられる。審査会はプラン妥当と判断。ただし、今後の利用状況に関して報告してほしい旨を告げられる。

中略
(中略部分は紙媒体のみ全文掲載。)

2009年10月1日
 支給決定通知が届く。

まとめ
 想像していたよりも早く主張を認めてもらえたのは、なにより障害のある当事者が自ら、窮状を効果的に訴えることができたからだと思う。緊急の必要性を、当事者が自らの口で主張し、説明することが大切で、行政の人間に窮状を如何に理解してもらえるか、がポイントだと感じる。また、複雑な行政の組織や論理に誤魔化されないためには、的確な知識とアドバイスが必要である。今回、この点を介護保障協議会から随時得られたことが大きかった。
 同市で24時間の制度保障の道が開けたことは大きな一歩だと思うが、まだまだ十分とは言えない。今後も障害のある当事者が、安心して地域で自立した生活を送れる環境になるよう、声を上げて生きたいと思う。



24時間介助の重度知的障がい者 Nさんの自立生活
生活保護他人介護料大臣承認が取れました

茂田喜子(NPO法人自立生活センターK2 理事)

はじめに

  Nさんが親元を離れて一人住まいを始めてこの5月で丸3年になります。
  Nさんは重度の知的障がいがあり言葉を持ちません。小中学校はずっと地元の普通学級に通い、卒業して自立生活センターK2に来るようになったのでK2の最古参のメンバーの一人です。普通高校合格をめざした3年間の浪人中や定時制高校在学中もずっとK2に通所し、通学支援もしてきました。

一人住まいと利用している制度

 高校卒業後、本人・ご家族の希望と、どんなに重度でも自分らしい生活をと考えるK2とで一人住まいを目指すことになり、2006年5月30日よりK2の自立体験室を利用して自立体験生活をはじめ、9月に生活保護を申請、本格的に家から独立して一軒家を借り一人住まいを開始しました。生活保護とそれに伴う他人介護料の一般基準は(K2ではこれまで10名の全身性障がい者とともに一人住まいを支え、生保や他人介護料の大臣承認を取っていたので)スムーズに認められ、同時に他人介護料の大臣特別基準も申請いたしました。
  しかしながら、柏市の障害福祉課では「Nさんの一人住まいをしたいという意思が確認できない、施設で訓練をしてから地域に出るべきだ」ということで障害福祉サービスは外出介護108時間しか認めてもらえませんでした。
  Nさんには24時間介助が欠かせません。身体に障がいはないので一人で動けますが食事・トイレ・入浴・外出など生活全般に介助を必要とします。
  また言葉でコミュニケーションが取れないため、仕草や顔つきなどから推し量り確認するようにしていますが、介助者にはNさんの気持や行動がすぐに理解できないことが間々あります。Nさんは自分の意思がわかってもらえない時などパニックを起こし自傷・他傷をします。Nさんの介助者になるには長時間の研修を必要とします。介助料の支払は毎月20万近くの赤字が続きました。
  K2では柏市と話し合いをしたり、厚労省に電話で催促をしたりしました。もともと他人介護料は身体障がい者の方々の運動で認められてきたもので、特別基準ともなると必要とする診断書の項目も身体障がいに基準があるものでした。医師に特別な意見書を書いていただいたり、Nさんの生活の様子や介助の実態も書面に書いて出しました。特別基準を申請するとこれまで身体障がい者の場合遅くとも年度末までに返答があったのに、Nさんについては問い合わせのたびに「特別なケースなので検討中です。」という返事が続きました。そしてやっと2年後の2008年9月に認められたのです。
  厚労省に知的障がい者では初めてですかとたずねたところ、「古いことはわからないけれど近年ではNさんだけです。知的障がいで認められるということではなく、Nさんには必要ということで認めました。」といわれました。身体障がい者だけでなく3障がい一緒という自立支援法の唯一の良い点が働いたのでしょうか?
  そして柏市でもやっと居宅介護サービスがこの1月から認められることになりました。身体介護33時間、家事援助29時間、外出介護60時間(休暇月90時間)です。まだまだ満足できる数字ではありませんが旧法で最重度の人にかかる費用を基準にしたとのことです。重度知的障がい者の一人住まいを認めサービスを出したということに一歩前進として受けることにしました。Nさんは今10人あまりのヘルパーを利用して暮らしています。

Nさんの日常生活と介助体制

  Nさんの週日の過ごし方は大体朝7:00ごろ起床、入浴・朝食後9:00ごろ介助者とともに車で出かけます。昼食を外で済まし、13:00にいったん帰宅、交代した介助者とまた出かけ、17:00に帰宅、入浴・夕食等を取り、21:00ごろ就寝します。
  日中は車に乗っていろいろなところに出かけています。出かける先は、プール・公園・スーパー・百貨店・動植物園・公民館などです。Nさんに出かける先を確認して同意を得ていくようにしていますが、介助者主導でいくこともままあります。電車やバスに乗るのも大好きです。昼にいったん帰宅するのは介助者が半日交代のローテーションになっているためです。日中は作業所等でずっと過ごせるようになればとも試みましたが今のところ無理なようです。
  Nさんの今の楽しみの1つは入浴です。1日に2,3回2〜3時間一人で入浴を楽しんでいます。乏しい生活費の中でガス代と水道代が痛いのですが。

 K2はNさんとこの3年あまりの生活で一人住まいを支える楽しさがよりわかってきました。自分の意思で物事を処理できる身体障がい者の介助とは違っていろいろなことがあり、最初のころは夜中に電話があるとNさんに何かあったのかと心配したり、外出先や近所の家とのトラブルで謝りにいったり、介助者が彼の要求に応えられずに怪我をさせたりとさまざまなことが起こりました。これからもまた違った困難が出てくるかもしれません。でもこの3年間で彼が出来ることがずいぶん増えたし、興味を持つ幅が広がっています。彼の生き生きした顔を見ることが出来、介助者が皆、彼を好きになり彼との時間を楽しんでいて、彼もまたそれぞれの介助者の特性をうまくつかんで生活していっています。

  K2には身体障がい者だけでなく精神障がい者も知的障がい者も一人住まいをしています。彼らは自立する前から比べ数段と落ち着き、何より自分の生活を大切にし、充実させています。
  成人したら親元から離れ地域の中で自分の生活を築くという当たり前の生活をより多くの障がい者が自分で選ぶような社会になるようK2もよりいっそう努力していきたいと思っています。

制度係より

 厚生労働省保護課は長らく全身性障害者以外の他人介護料の利用を認めていませんでしたが、今回、保護課内で協議され、大臣承認の適用を認めました。他の地域でも、同じように申請を出してみてください。
 K2が支援して行った申請では、知的障害者に詳しい医師に大臣承認の定形の診断書とは別にA4で1枚の意見書(自由に書いてもらう診断書のようなもの)を書いてもらい、また、K2からは、知的障害特有の介護の内容や今までの自立までの経緯などをA4で2枚にまとめ、提出しました。

 その内容を、同じように取り組む団体に説明可能です(同じように知的障害者の1人暮らしの支援等を行っている団体で、大臣承認介護料の申請を行いたい団体むけ)。K2か当会の制度係までお問い合わせください。



政策研究集会報告(第1回目)
 過疎地で介護事業所がない問題を解決した北海道の事例

 12月初旬に行われた障害者政策研究集会2日目午後の自立支援分科会のパネラー(発題者)の現場報告を数回にわたって掲載します。1回目は、北海道オホーツクの過疎地の町へ往復5時間かけて最重度障害者へのサポートを行ったCIL北見の報告です。
 当日は与党議員も参加し、現場の情報を聞いて帰りました。

CIL北見の現場報告より

自立生活センター北見の支援について

 こんにちは。自立生活センター北見です。
 北見は北海道の道東(オホーツク側)に位置していて、人口12万6千人の市です。
 自立生活センター(CIL)代表の渡部がALSという進行性の全身性難病で、自分が地域で生きていくことが難しいと感じ何かないだろうかと探していた時に、知人から全国障害者介護保障協議会・自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会を教えてもらい、指導と協力をいただき発足することができました。
 CILとして活動し始めたのは19年の10月で、まだ経験の浅い団体です。 今定期的に支援し続けているのが、北見市から車で片道3時間かかる施設の脳性麻痺の方と、北見市から車で片道2時間30分かかるA町のALSの方です。 脳性麻痺の方はピアカンや自立生活プログラムの大切さを伝えながら、1〜2ヶ月に1度の訪問と電話やメールなどで信頼関係を作っていっているところです。
 ALSの方は知人からの紹介で、CILが発足する前からメールのみで連絡を取っていました。
 同じ病気の方に接触したことがなく、病気の受け入れも全くできないでいる印象でした。
 何度もメールのやり取りをする中で、「思い切って会いませんか」と切り出しやっと会うことができました。A町は人口4000人の小さな町です。


(A町は北見市から車で2時間半の場所)

 お会いしたときには家族ばかりが一生懸命説明はしてくれましたが、本人が口を開くのはほんの少しでした。
 それから1カ月に2度ほどの訪問と電話とで信頼関係を作り、今困っていることや家族との関係などを細かく聞きながらの支援が続きました。 A町にはヘルパー事業所が1つ(町社会福祉協議会)しかなく、夜間や日曜などの対応もありません。
 全身性障害で全介助にも関わらず、最初は身体介護185時間のみでの対応。
 家族同居ですが、家族もへとへとで不平不満を漏らしていました。
 代表の支援を何度も受け、どう生きていきたいかをご本人が少しずつ話せるようになり、長い時間ヘルパーが入ってほしいのと言われ、重度訪問介護にしてほしいとA町と話し合いをしました。 そして、重度訪問介護278時間になりましたが、それでは暮らしてはいけないとA町と交渉をしました。
 交渉するためには、必要な理由などを明記した書類作りなどのお手伝いをし、当事者が言う内容をメモを取っていったり、本人が足でスイッチをクリックしてパソコン入力するのをサポートしたり想像以上に時間のかかる作業でした。(これらの作業に夏は往復5時間、冬はその倍かけて通いました)
 粘り強い交渉の結果、時間交渉が本人の希望通り(毎日16時間)に決定されましたが、他事業所(社会福祉協議会)はヘルパーがいないのでそんな長時間のサービス提供はお手上げだと言われました。そこで4月から北見から車で移動往復5時間かけてヘルパーが出向き、1日の提供時間13時間×週3回のサービス提供が始まりました。
 提供をしながら、現地在住のヘルパー募集も進めました。
 CIL代表とALSのご本人とのロールプレイの成果もあり、本人が社会福祉協議会に粘り強く要望を続け、日曜提供を受けてくれるようになりました。 北見からの通いでの週3回のうち、金曜、土曜と続けて提供するので、CIL北見がA町に家を借り金曜日のサービス提供が終わったらヘルパーが宿泊して土曜の提供にすぐ行けるようにして、工夫しました。
 A町で求人し、現地採用で無資格のヘルパー人材を採用し、CIL北見の負担で飛行機で東京までいって重度訪問介護の資格取得をさせ、ヘルパーの空白時間を安定してサービスに入れるようにしました。もちろん、介護技術は高度な技術が必要なので、それを覚えるまではCIL北見のベテランヘルパーと2人体制で覚えてもらわなければなりません。技術的に、当事者もヘルパーももう大丈夫だと言えるくらいまで、ずっと遠方からの支援も続きました。
 北見からの交通費も一度も頂いたこともありませんし、借りた家の賃貸料金も頂いたこともありません。
 遠方支援にはお金がかかります。
 そして過酷な勤務でも頑張っていくには、「どんなに障害が重くても自分の決めた場所で安心で安全な生活を自分の責任で送ることができる社会を作る」という理念がわからないと難しいと思います。
 当事者も重度であればあるほど自分で環境を整えていかないと、生きていくことが難しいのです。
 人口密度が低い所に住んでいる方達は、支援を受けられない方がいっぱいいます。
 遠方支援でもお金の問題が解決して、支援できる人材がいて、人の時間提供があればどんなに人口が少なかろうとどんなに重度であろうと、自分が思い描く人生に近づけていけるのではないでしょうか。
 少なくとも私たちはそう信じていますし、1人でも多くの当事者があきらめることのない人生が送れるよう今後もできる限りの支援を続けていきたいと思っています。



新政権へのメッセージ    法改正なし・追加予算なしでできる、入院時の介護制度

〜ヘルパー制度を最重度障害者の入院中にも使えるように〜

 当会は大臣や政務官・関係議員に入院時介護の緊急要望(法改正不要の項目など)を9月に行いました。24時間介護を使う最重度の全身性障害者はベテランの慣れたヘルパーの介護でないと熟睡することもできないため、肺炎になっても入院できずに(入院したらヘルパーがつけられないので体力が落ちて死んでしまう)自宅で高熱で闘病している状況です。
 改めて、現状の制度改善の障壁になっている部分を解説します。

要望項目1

法改正も不要(事務連絡を出すだけで可能)で、追加予算不要ですぐにできること

・最重度の重度訪問介護利用者が一時的に肺炎などで入院する時に、市町村が認める最重度の利用者には、ヘルパーが付き添えるように。
 病院内の付き添いは市町村が特に認めれば重度訪問介護の対象だと事務連絡で書けば実施可能(コミュニケーション支援や個々人に応じた特殊な介護方法を病院スタッフに伝えるなどは、病院の制度対象外なので併給可能というのが従来の厚生省意見)。なお、毎月の支給決定時間の範囲での病院付き添いなので、新たな予算は国も市も必要ない

解説
 入院の介護制度がある東京の20市区やその他の全国10か所では、重度訪問介護の利用の全身性障害者が、一時的な肺炎や検査入院するとき、いつも使いなれているヘルパー(1日2〜3交替で24時間体制)をつれて入院します。重度の全身性障害者の場合、寝返り1つをとっても、その体制にあわせて体が変形していたり等の理由で、ミリ単位で決まった体位に調節しないと、寝ることもできません。排せつ方法や水分補給方法や着替え方法も同様にその人なりのコツがあります。なので、慣れているヘルパーでないと、まともに介護ができません。たとえ、日本1の医者や看護士がいる病院でも、適切な介護はできず、慣れたヘルパーがいないと、入院中一睡もできない事態になります。肺炎など死ぬか生きるかの瀬戸際で入院した場合、慣れていない者が介護をすると、体力の維持ができずに入院で病状が却って悪化し、死に至ります。
 命にかかわる問題です。1人暮らしで身寄りもなく24時間の介護の必要な障害者が入院中も介護者を連れて入院するのは、日本では、命がけなのです。
 どうしても入院せざる得ない最重度の全身性障害者は入院する時にボランティアを頼み込んでヘルパーを連れて入院していますが、現状では入院中に重度訪問介護などは使えないため、自治体と交渉して、一部では入院中に制度が使えるようにしています。自治体単独制度でヘルパー制度で入院中も使えるようにしている自治体や、新しく始まった地域生活支援事業のコミュニケーション支援の制度で入院中に付き添えるようにしている市も10か所ほどあります。(国は、看護の業務と重ならないコミュニケーション支援名目でのつきそいなら、地域生活支援事業で実施していいと回答しているため) 

 しかし、言語障害のコミュニケーションの支援などはもともと重度訪問介護の目的に含まれています。国が事務連絡を1本出して、入院中の重度訪問介護利用を認めると宣言すれば、すぐにでも使えます(市町村が認める最重度者で、肺炎など一時的な入院に限定すればいい)。
 言語障害のコミュニケーション支援はわかりやすい例ですが、言語障害がもともとない筋ジストロフィーや頚椎損傷の最重度障害者の介護方法は肺炎などで入院しているときには体力的に事細かに伝えることのできない病状なので、こういう場合もコミュニケーション介助の対象と考えることで、入院することでかえって悪化する全身性障害者をなくすことができます。


(ここまでが要望書に書いた内容)

入院中の介護制度の実現の運動の歴史

・80年代 東京都の単独制度の全身性障害者介護人派遣事業(97年よりヘルパー制度の国庫補助事業)では、入院中も付き添いOKだった(市町村が認める最重度者のみ)  (障害者団体の説明・交渉によって必要性を都が認めていた)

・90年代 東京以外の何箇所かでも市単独制度として入院の介護制度が始まる      

・90年代半ばに出た、完全看護開始時の通知(厚生省の病院を管轄する局の通知)では
「(付添婦は廃止するが)家族の経済的負担にならない方法ならば、児童や知的障害者「等」には付き添いをつけていい」という例外措置あり。
・・・・ここでいう知的障害者等の「等」には「入院時も介護者が不可欠な全身性障害者も当然含まれる」と厚生省の当時の担当者が当会との交渉の場で回答。

・これを受けて、ヘルパー制度で入院中も病室に入れるように障害福祉課と交渉。
 結果、「ヘルパー制度で病室で介護しても良いが、国庫補助はつかない」 という回答になる(97年ごろ)

・障害者自立支援法開始
 それまでの国庫補助事業であったヘルパー制度が、国庫負担になり、自治体の裁量で制度を運用するのは法的にグレーに。

・また、自立支援法開始で包括補助金の地域生活支援事業で市町村が障害福祉事業なら何でも行ってよくなり、入院介護制度を地域生活支援事業の中のコミュニケーション支援の中で実施する市町村が数箇所出てきた。
(厚生労働省の障害部自立支援室が「コミュニケーション支援でやるのなら看護師の仕事と重複しないからOKです」と自治体に回答したため)
 しかし、コミュニケーション支援名目では言語障害の障害者しか対象にならない。1日数時間しか対象にならないなどの問題。  

・「コミュニケーション支援ならよい」と回答した根拠は、診療報酬の通知に「家族の経済的負担にならない方法ならば、児童や知的障害者「等」には付き添いをつけていい」という記述とともに「ただし、看護師の仕事を代替するものであってはならない」との記述があり、さらに同じ通知に看護師の仕事の1つとして「清拭・食事・排泄の世話等療養上の世話」が書かれているため。

・しかし、コミュニケーション支援に限定するのは問題。ヘルパー制度本体を入院中も制度対象にするのが筋。

つまり、以下のようにすれば解決する
(ヘルパー制度で入院してもヘルパーが病室で使える)

 1 診療報酬の通知の下に事務連絡を出し、「慣れたヘルパーの介護が不可欠な最重度の全身性障害者への特殊で高密度の介護は診療報酬で想定していないので、市町村が特に認める最重度障害者の場合は、障害ホームヘルパー制度のヘルパーが病室で障害者に付き添って介護等を行ってもよい(ただし当該患者への病院による看護の提供の水準を下げてはならない)」と書く。  

2 障害福祉課からも事務連絡を出し、「市町村が特に認める最重度の障害者の場合は、重度訪問介護などで病院の中でヘルパーが介護してよい」と書く

なお、各自治体で行われている入院時の介護制度は、地域で住んでいてヘルパーを長時間使っている障害者が肺炎での入院や呼吸器をつけるための検査入院時に使えるものです。施設の代わりに病院に社会的入院をしている障害者を対象としたものではありません。 肺炎などの場合は長くて数ヶ月の入院になりますが、基本的には短期入院を対象にして、市町村が認める場合は延長OKということになります。

 

完全看護の通知との関係について

当会のHPには以下の解説記事と通知を載せています。再掲載します。

入院介護制度の交渉について(完全看護の通知の解釈)

 地域で暮らしながらヘルパーを毎日長時間使っている最重度障害者の一時入院中のホームヘルパーによる入院中の介護については、各地で交渉が行われ、制度が実現している市町村もあります。
 完全看護開始時の通知(現在は診療報酬の通知)では、「知的障害を有する患者等」には付き添いを例外的に認めるという項目があり、厚生省保険局では、 「この「等」に最重度の全身性障害も当然含まれる」と障害者団体との話し合いで解説してきています。

該当通知部分抜粋

 これを受けて、90年代には、厚生省障害福祉課として「ヘルパー制度でヘルパーが病院に介護に入るのはOK。ただし、国庫補助はつけない」という方針を出しています。
 現在では、地域生活支援事業(市町村判断で障害福祉なら何をやっても自由の制度)ができたため、厚生労働省障害保健福祉部の地域生活支援室(地域生活支援事業の所管)では「コミュニケーション支援ということであれば、入院中の重度全身性障害者等に地域生活支援事業(国庫補助対象)の付き添い人をつけるのはOK」という見解になっています。
 「コミュニケーション支援」という建前がついているのは、上記の通知に、付き添い者が看護要因の看護を代替してはならないとされており、看護には以下の内容が例示されているため、「身体介護は対象外でコミュニケーション支援ならOK」ということになっています。

該当通知部分抜粋

(HP掲載の解説記事は以上)

この通知はすでに廃止されて現在は以下の通知に衣替えになっていますが内容は変わっていません。
「知的障害を有する患者等の場合」も同じことが書いてあります。

現行通知 http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1h.pdf#page=18

この通知の構成は以下のとおりです

平成20年3月5日保医発第0305002号
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」
 別添2 「入院基本料等の施設基準等」
  第2 「病院の入院基本料等に関する施設基準」
    4 「入院患者の数及び看護要員の数等については下記のとおりとする。」
          (6) 「看護の実施は、次の点に留意する。」
             ア
             イ


看護は、当該保険医療機関の看護要員のみによって行われるものであり、当該保険医療機関において患者の負担による付添看護が行われてはならない。ただし、患者の病状により、又は治療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医師の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えない。なお、患者の負担によらない家族等による付添いであっても、それらが当該保険医療機関の看護要員による看護を代替し、又は当該保険医療機関の看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない。


@病状の観察、A病状の報告、B身体の清拭、食事、排泄等の世話等療養上の世話、C診察の介補、D与薬・注射・包帯交換等の治療の介助及び処置、E検温、血圧測定、検査検体の採取・測定、検査の介助、F患者、家族に対する療養上の指導等患者の病状に直接影響のある看護は、看護師又は看護師の指示を受けた准看護師が行うものである。
看護補助者は、看護師長及び看護職員の指導の下に、原則として療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)のほか、病室内の環境整備、ベッドメーキング、看護用品及び消耗品の整理整頓等の業務を行うこととする



障がい者制度改革推進本部の設置を閣議決定

  政府は、12月8日に「障がい者制度改革推進本部」の設置を閣議決定しました。また、推進本部の下部組織として「障がい者制度改革推進委員会」を立ち上げる予定です。
  この推進本部と推進委員会は、政権交代前の通常国会で民主党が提出した「障がい者制度改革推進法案」(以下「旧法案」)に盛り込まれ、今年の衆院選の民主党マニフェストでも公約されていたものです。
  旧法案やマニフェストなどの情報を総合すると、推進本部や推進委員会の特徴として、以下のことが考えられます。

○障害者権利条約の批准のための国内法整備

 国連障害者権利条約が2006年12月に採択され、2008年4月に発効しています。しかし、日本は2007年9月に署名していますが、まだ批准していません。
  今回の推進本部と推進委員会は、権利条約批准に必要な国内法整備を最大の目的として設置されるため、5年間に期限を区切って設置されます。

○障害者政策全体の立案

障害者関連施策は非常に多岐にわたるので、従来は、

  • 福祉政策(自立支援法など) → 厚生労働省障害保健福祉部
  • 雇用政策 → 厚生労働省高齢・障害者雇用対策部
  • 教育政策 → 文部科学省
  • 交通政策 → 国土交通省

という具合に縦割り行政になっています。
  これに対して、推進本部と推進委員会は、個別政策の立案に直接携わることになります。また、各政策分野の検討のために、推進委員会の下部組織として「各課題別専門員会」が設けられる予定です。

○政策決定への当事者参加

 推進本部は全閣僚で構成しますが、推進委員会は20人程度の民間委員によって構成され、実質的には推進委員会で政策決定されることになります。そして、委員の過半数は障害当事者が選任される予定になっています。
  また、推進委員会の事務局にも、障害当事者などの民間人を登用する予定になっています。この点も、従来の各省庁ごとの審議会(たとえば社保審障害者部会)と異なります。

 ただし、旧法案の作成を手伝った参議院法制局の見解によると、推進本部や推進委員会が、個別省庁(厚労省や国交省)の頭越しに政策を立案し、各省庁に実行を命じる権限を持つには、閣議決定ではなくて法律を根拠に推進本部や推進委員会を設置しないといけません。
  しかし、今の連立政権は政権交代したばかりで、衆議院選挙での公約実現のために多くの法律を制定しないといけない状況です。このような中で、推進本部や推進委員会の根拠法案を年明けの通常国会に提出できたとしても、審議と可決に漕ぎ着けられるかどうかは、内閣提出法案全体の中でどれくらいの優先順位に位置づけられるかにかかっています。

以下の関係資料HPへのリンクは当会HPの解説記事からもリンクしています。

■今回の閣議決定の内容(内閣府HPへのリンク)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/pdf/kettei.pdf

■旧法案における「障がい者制度改革推進本部」の位置づけ(民主党HPへのリンク)
http://www.dpj.or.jp/news/files/090409img.pdf

■民主党マニフェストの関連項目(民主党HPへのリンク)
※26番目の項目で言及されています。
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html

■民主党政策集INDEX2009の関連項目(民主党HPへのリンク)
※「障害者自立支援法を廃止し、新たに障がい者総合福祉法を制定」の項目で言及されています。
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/12.html#障害者自立支援法を廃止し、新たに障がい者総合福祉法を制定

■旧法案での関連条文(参議院HPへのリンク)
※第4章で推進本部と推進委員会について規定しています。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/171/meisai/m17107171015.htm

■国連障害者権利条約の日本政府による仮訳(外務省HPへのリンク)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/Gaiko/treaty/shomei_32.html

■国連障害者権利条約の川島聡氏・長瀬修氏による2008年5月30日付仮訳(日本障害フォーラムHPへのリンク)
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/index.html  
※介護保障の観点では、特に第19条が重要です。

旧法案

第四章 障がい者制度改革推進本部
(設置)  
第二十二条  障がい者制度改革を総合的かつ集中的に推進するため、内閣に、障がい者制度改革推進本部(以下「本部」という。)を置く。
(所掌事務)  
第二十三条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
  一 障がい者制度改革の推進に関する総合調整に関すること。
二 障がい者制度改革推進計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
三 障がい者制度改革の総合的かつ集中的な推進のために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
(組織)  
第二十四条 本部は、障がい者制度改革推進本部長、障がい者制度改革推進副本部長及び障がい者制度改革推進本部員をもって組織する。
(障がい者制度改革推進本部長)
第二十五条 本部の長は、障がい者制度改革推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
  2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
(障がい者制度改革推進副本部長)
第二十六条 本部に、障がい者制度改革推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
  2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
(障がい者制度改革推進本部員)
第二十七条 本部に、障がい者制度改革推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
  2 本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。
(障がい者制度改革推進委員会)
第二十八条 本部に、障がい者制度改革推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。
  2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
   障がい者制度改革推進計画の案に関し、本部長に意見を述べること。
   前号に掲げるもののほか、障がい者制度改革に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。
  3 委員会は、委員二十人以内で組織する。
  4 委員会の委員は、障がい者、障がい者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。この場合において、委員の構成については、委員会が様々な障がい者の意見を聴き障がい者の実情を踏まえた協議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。
  5 委員会の委員は、非常勤とする。
(資料の提出その他の協力)
第二十九条 本部(委員会を含む。以下同じ。)は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
  2 本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(本部の事務)
第三十条 本部に関する事務は、内閣府において処理する。
(設置期限)
第三十一条 本部は、その設置の日から起算して五年を経過する日まで置かれるものとする。
(主任の大臣)
第三十二条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
(政令への委任)
第三十三条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

 



全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

(介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会から名称変更しました)略称=広域協会
フリーダイヤル  0120−66−0009
フリーダイヤル FAX 0037−80−4446

2009年5月より重度訪問介護の給与に12%加算手当開始(条件あり)
(区分6むけ時給1250円の方は、加算がつくと、+150円で時給1400円に。)

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます
対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所のみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような登録のみのシステムを支援費ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は求人して人が集まる金額にアップする個別相談システムもあります。

利用の方法
 広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から障害や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行いヘルパー制度の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。 介助者への給与は身体介護型で時給1500円(1.5時間以降は1200円)(東京都と周辺県は時給1900円。1.5時間以降は1300円)、家事型1000円、重度訪問介護で区分により時給1100(区分5以下)・1250円(区分6)・1450円(最重度)が基本ですが、長時間利用の場合、求人広告して(広告費用助成あり)人が確保できる水準になるよう時給アップの相談に乗ります。(なお、2009年5月より重度訪問介護のヘルパーには12%の手当てを加算します。(手当ては、厚生年金に入れない短時間の方のみ。また、契約時間120時間未満の利用者の介護者は加算がつきません)。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、重度訪問介護研修修了者などのいずれかの方である必要があります。(3級は障害の制度のみ。介護保険には入れません)。重度訪問介護は、障害者が新規に無資格者を求人広告等して確保し、2日で20時間研修受講してもらえば介護に入れます。

詳しくはホームページもごらんください http://www.kaigoseido.net/2.htm

2009年10月よりさらに大幅時給アップ(東京ブロックほか)

 

 補正予算による基金事業を財源に、2009年10月より臨時手当がつきます。各地で額は違いますが、広域協会東京ブロック(東京都と千葉県西部、埼玉県南部、神奈川県北部、山梨県東部)では、以下のように臨時手当により時給がアップします。

<09年10月以降の時給体系>(東京ブロック(東京都と千葉県西部、埼玉県南部、神奈川県北部、山梨県東部))

重度訪問介護(最重度) 1830円(基本給1450円+保険手当170円(※2)+臨時手当210円)
重度訪問介護(区分6) 1610円(基本給1250円+保険手当150円(※2)+臨時手当210円)
重度訪問介護(区分5以下) 1440円(基本給1100円+保険手当130円(※2)+臨時手当210円)
身体介護型(※1) 1.5hまで時給2110円(基本給1900円+臨時手当210円)
1.5h以降時給1510円(基本給1300円+臨時手当210円)
家事援助型(※1) 時給1210円(基本給1000円+臨時手当210円)
介護保険身体介護型(※1) 1.5hまで時給2090円(基本給1900円+臨時手当190円)
1.5h以降1490円(1300円+臨時手当190円)
介護保険生活援助型(※1) 時給1190円(基本給1000円+臨時手当190円)

(※1)身体介護型に3級ヘルパーやみなし資格者が入る場合、時給が70%(東京地区以外の場合1.5時間まで1050円、1.5時間以降840円)、家事援助・生活援助は90%(900円)になります。

(※2)保険手当は、当会で重度訪問介護を120h以上利用している利用者のヘルパーのうち、社会保険非加入者に対して支給されます。常勤の4分の3以上稼動して社会保険に加入した場合、手当の支給はありません

 

自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます
求人広告費助成・フリーダイヤルでの求人電話受付代行なども実施

 全国広域協会の利用者の登録介助者向けに重度訪問介護研修を開催しています。東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能で、2日間で受講完了です。(東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でOK。残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。障害の身体介護に入れる3級ヘルパー通信研修も開催しています。通信部分(2週間)は自宅で受講でき、通学部分は東京などで3日間で受講可能。3級受講で身体介護に入ることができます。3級や重度訪問介護の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、研修参加費・東京までの交通費・宿泊費・求人広告費を全額助成します。(3級は身体介護時給3割減のため、働きながら2級をとればその費用も助成対象です)。求人広告費助成・フリーダイヤル求人電話受付代行、必ず人が雇える効果的な広告方法のアドバイスなども実施。

このような仕組みを作り運営しています
仕組み図

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 
みなさんへお願い:この資料を多くの方にお知らせください。 介護保険ヘルパー広域自薦

登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、2000年4月時点)

名前 (所属団体等)
花田貴博 (ベンチレーター使用者ネットワーク)
篠田 隆 (自立生活支援センター新潟)
三澤 了 (DPI日本会議)
中西正司  (DPIアジア評議委員/全国自立生活センター協議会)
八柳卓史  (全障連関東ブロック)
樋口恵子  (全国自立生活センター協議会)
佐々木信行 (ピープルファースト東京)
加藤真規子 (精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)
横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)
益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)
川元恭子  (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)
渡辺正直  (静岡市議)
名前 (所属団体等)
山田昭義  (DPI日本会議/社会福祉法人AJU自立の家)
斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)
尾上浩二  (障害者総合情報ネットワーク)
森本秀治  (共同連)
村田敬吾  (自立生活センターほくせつ24)
光岡芳晶  (特定非営利活動法人すてっぷ)
栗栖豊樹  (CILてごーす)
佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会)
藤田恵功  (土佐市在宅重度障害者の介護保障を考える会)
田上支朗  (NPO重度障害者介護保障協会)

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の自薦の利用についてのQ&A 求人広告費用を助成・ヘルパー研修の費用や交通費・宿泊費を助成

 自薦ヘルパーの確保は、みなさん、どうしているのでしょうか?
  知人などに声をかけるのでしょうか?

 多くの障害者は、求人広告を使っています。多いのはコンビニなどで無料で駅やコンビニなどで配布しているタウンワークなどです。掲載料は1週間掲載で1番小さい枠で2〜3万円ほどです。
  重度訪問介護は、かならず8時間程度以上の連続勤務にし、日給1万円以上で広告掲載します。無資格・未経験者を対象に広告を出します。
  全国広域協会では、求人広告費用も助成しています。(広告内容のアドバイスを広域協会に受け、OKが出てから広告掲載した場合で、雇った介護者が一定時間介護に入ったあとに全額助成)長時間連続の勤務体系を組めば、かならず介護者を雇用できるようにアドバイスいたします。
  また、求人広告は利用者各自の責任で出すものですが、問い合わせ電話はフリーダイヤル番号を貸付します。電話の受付も全国広域協会で代行します。   

  つぎに、数人〜数十人を面接し、採用者を決めます。採用後、自分の考え方や生活のこと、介護方法などをしっかり伝え、教育します。
  その次に、たとえば重度訪問介護利用者は、雇った介護者に重度訪問介護研修(20時間)を受講させる必要があるので、東京本部や東海・関西・西日本の関係団体などで、重度訪問介護研修(東京で受講の場合は2日間で受講完了)を受講させます。
  全国広域協会では、研修受講料・交通費・宿泊費も助成しています(自薦ヘルパーが一定期間介護に入ったあとに、全額助成します。)
 (障害のヘルパー制度で身体介護利用者は、3級研修を受講することが必要で、2週間の自宅学習のあと2泊3日で東京や西日本に受講に行く必要があります。3級は時給が3割ダウンです。働きながら2級研修を地元などで受講します。3級や2級の受講料は一定期間働いたあとに全額助成します)
 (介護保険で身体介護利用者のヘルパーは、2級を受講する必要がありますので、無資格者をいきなり雇用するのは困難です。2級限定の求人を出すしかありませんが、2級を持っている労働人口が無資格者に比べてとても少ないので、かなり給与が高くないと、求人しても人が集まりにくいです。最重度の場合は介護保険を受けていても、上乗せして障害の重度訪問介護などを利用できますので、まずは障害の制度部分のみで自薦ヘルパーを雇用して、働きながら2級をとり、介護保険も自薦にするという方法があります。この場合でも2級受講料を一定時間後に助成します)

ヘルパーの保険や保障も充実

 全国広域協会を使う障害者の自薦ヘルパーの怪我や物品損傷などの保険・保障は?

 民間の損害保険に入っているので、障害者の持ち物や福祉機器を壊したり、外出介護先で無くしたりしても、損害保険で全額保障されます。
 また、ヘルパーの怪我は労災保険で、治療代や収入保障が得られます。病気で連続4日以上休むと社会保険から(常勤の4分の3以上の人に限る)保障されます。通院・入院などは民間の損害保険からも給付が出る場合があります。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に 障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。

 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)。

 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。

 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。

 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。

 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。

 2003年度、支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体などのNPO法人が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になりました。全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになりました。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行い、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになりました。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。

全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。

自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながりがります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)

例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります)

自薦登録の受付けは全国共通フリーダイヤルで全国広域協会で受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。

自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。

 これにより、将来は2000市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、今年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで支援費のヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。

 
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