福島第1原発事故を踏まえた県内原子力施設の緊急安全対策に関し、経済産業省原子力安全・保安院は16日、県と県議会に対して適切に実施されていると説明した。この中で定期検査中の東通原発の運転再開についても「安全上の問題はない」と言及。これに対し、蝦名武副知事は「(原発事故後)国や事業者の対応への不安が県民に広がっている」と指摘し、事故の検証と県民への説明を国が責任を持って行うよう強く求めた。
 県庁を訪れた山本哲也同院原子力発電検査課長は蝦名副知事に、事業者の報告や立ち入り検査の結果を踏まえて東通原発の運転再開に支障がないとする国の判断を示した。建設中の大間原発に関しては「燃料を搬入する段階で緊急安全対策を指示する」とした。
 また真先正人同院核燃料サイクル規制課長は、六ケ所再処理施設についても「事前確認試験の再開に問題はない」と安全性を評価。本格運転前に改めて立ち入り検査をする方針を示し、安全対策強化を推進する国の姿勢を強調した。
 一方、県は原子力施設の安全性を独自に検証する県原子力安全対策検証委員会(委員長・田中知東京大学大学院教授)を19日に東京都内で開催し、今回の国の判断を専門家に示す考えだ。
 同院の説明後、蝦名副知事は報道陣に「われわれは検証委員会の意見を十分尊重し、慎重の上にも慎重に判断したい」と述べるにとどめ、東通原発の運転再開については「事業者が安全性をどのように構築し、県民に理解してもらうかにかかっている」とした。
 同院はこの日、県議会に対しても同様の説明を実施。29日の県議会原子力・エネルギー対策特別委員会で質疑に応じる予定だ。