民主党執行部は、週明け22日にも両院議員総会を開く。当初は今春の統一地方選敗北後、小沢一郎元代表や鳩山由紀夫前首相ら非主流派のグループが「菅降ろし」のために開催を要求。しかし、ここに来て党執行部も、退陣時期を明確にしない菅直人首相にしびれを切らし、総会を通じ退陣圧力を強めようとしている。開催すれば、党所属議員から首相への退陣要求が噴出するのは必至で、「菅包囲網」の中で迎える総会になりそうだ。
民主党の両院議員総会の表向きのテーマは、統一地方選の総括。岡田克也幹事長ら党執行部は首相への退陣要求で総会が混乱しかねないとして、開催を懸命に引き延ばしてきた。しかし、今や状況は一変。週明けの20日には復興基本法案が成立するとともに、「税と社会保障の一体改革」案もまとまる見通しで、岡田氏らは総会を「首相の花道」の場にしようともくろむ。
岡田氏らの方針転換には、首相が退陣時期を明確にしない限り、与野党協議のシナリオが描けないという焦りがある。首相は再生可能エネルギーの固定価格買い取り法案の成立を持ち出すなど続投意欲をちらつかせており、「岡田氏は頭を抱えている」(党幹部)。現在進行中の子ども手当などを巡る民主、自民、公明3党の協議にも障害となりかねない。
民主党内でも両院議員総会での首相発言に注目が集まっている。17日に岡田氏と会食した笠浩史文部科学政務官は「総会は党がまとまるようにやってほしい。みっともない姿を見せてほしくない」と要望。総会で首相に退陣時期を明示させ、党内が円満にまとまる場にしてほしいとの考えを伝えた。これに対し、岡田氏は「しっかりやる」と応じた。
岡田氏は会期延長後の国会開会中の首相交代に言及するなど、首相の早期退陣論にかじを切った。今や両院議員総会は、執行部が非主流派の手も借りて首相に退陣時期の表明を促す構図になりつつある。小沢グループの幹部は「岡田氏も首相を辞めさせたいから、総会を開くのだろう。首相と岡田氏の殺し合いだな」と語った。【野口武則】
■首相退陣時期を巡る主な政治日程
6月19日 政府・民主首脳会議で、国会延長の会期幅を協議?
20日 子ども手当の修正を巡り、民主、自民、公明3党政調会長会談
会期延長で与野党幹事長会談
「税と社会保障の一体改革」案とりまとめ
復興基本法成立
21日 復興担当相決定?
会期幅議決
22日 国会会期末(延長)
民主党両院議員総会?
毎日新聞 2011年6月17日 20時30分