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福島第1原発:浄化システム 漏れた水は6立方メートル

 東京電力福島第1原発内から出た高濃度の放射性汚染水を浄化するシステムで水漏れが見つかり試運転を停止した問題で、東電は17日、水漏れは米キュリオン社のセシウム吸着装置内にある安全弁の破損が原因で、漏れた汚染水は約6立方メートルと発表した。作業員が弁の操作を誤ったのが破損につながったという。東電は水漏れ部分を修理し、全体の試運転を再開した。近く10万立方メートル以上ある高濃度汚染水を処理する本格運転に入る。

 浄化システムは、吸着装置のほか、仏アレバ社の除染装置など四つで構成されている。16日夜に水漏れが見つかった吸着装置の「スキッド」(縦2.5メートル、横8メートル、高さ3メートル)と言われる箱型の設備には、放射性セシウムを吸い取る鉱物ゼオライトが入った「ベッセル」という装置が四つ入っている。

 調査の結果、装置内部の圧力を逃がす安全弁の役割を果たす「ラプチャーディスク」という部分が破損し、ここから水が漏れたらしい。汚染水は四つのベッセルを経由して処理される仕組み。配管の一部が閉じていたためベッセル内の水が行き場を失って内部の圧力が高まり、ラプチャーディスクが壊れたとみられる。試運転の際、周囲では放射線を防ぐ遮蔽(しゃへい)板の取り付け作業も行われていた。東電は、その作業の際に、作業員が配管の弁を誤って閉じたために圧力が高まった可能性があるとみている。

 汚染水の表面放射線量は毎時数マイクロシーベルトで、汚染水を処理する排水管に流した。【中西拓司、種市房子】

毎日新聞 2011年6月17日 19時34分

 

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