ワシントン(CNN) 米原子力規制委員会(NRC)のメンバーは16日、米上院で証言し、東京電力福島第一原子力発電所のような事故が米国内で起きる可能性は「非常に小さい」とした。その一方で、米国内に104基ある商用原発の安全基準を引き上げる可能性もあるとした。
NRCは福島の事故を受け、全米の原発に対し、従来の想定以上に大きな自然災害や長時間にわたる停電に備え、複数の災害が複数の原子炉を襲う可能性についても検討することを求めていく意向を示した。
NRCのジョージ・アポストラキス委員は、福島第一原発の事故が残した教訓の一つは「謙虚さ(の重要性)」だと述べた。
「安全解析を専門分野とする人間として言うと、もはや驚くようなことは起きないだろうという過信が我々の間にあったと思う」とアポストラキス委員は述べた。
一部のNRC委員からは、さらに徹底した防護策と、自然性街などの危険を従来よりも大きく想定することを求める声も上がった。
現時点で大半のアメリカの原子力発電所の緊急時対応計画は、1つの原子炉で問題が起きた場合を想定している。だが、福島第一原発では稼働中の4つの原子炉全てが地震とそれに続く津波の被害に遭った。
「もしこの事故から学べる総合的な教訓があるとすれば、それは将来起こるあらゆる問題を予測することはできないということだと思う。あらゆる地震、あらゆる津波を予測することはできないが、何が起ころうともそこから復旧できなくてはならない」と、ウィリアム・マグウッド委員は述べた。
現在、NRCでは福島第一原発の事故の分析を進めており、報告書は7月19日に発表される予定だ。