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高齢者の万引き増加、背景に経済的困窮や孤独感…山口
万引きで摘発される高齢者が増えている。かつては罪の意識が低い少年に多い「初発型非行」と言われた万引きだが、山口県内で摘発された年代別割合では、4年前から高齢者が少年を上回って推移。
背景に、経済的困窮や独り暮らしに伴う孤独感などがあるとみられ、県警は「高齢者の社会参加を促す取り組みが抑止につながる」としている。
「年金をギャンブルに使い、お金がなかった」
5月17日、山口市のスーパーで男性(76)が豚肉1パック(販売価格232円)を盗んだ疑いで現行犯逮捕された。男性は独り暮らし。山口署幹部は「寂しさを紛らわすためにギャンブルに走り、万引きしてしまうとは。別の趣味があれば、防げた犯罪かもしれない」と、やり切れない表情で漏らす。
山口市内のあるスーパーでは、毎月3回、保安員が巡回して万引きを監視。毎月数人を現行犯逮捕するが、約8割が高齢者だ。盗む商品は菓子や酒、肉など食料品が多く、金額は1000円程度。5月にも高齢男性を捕まえたが、所持金はほぼゼロだった。「年金暮らしでお金がなく、盗んだ商品で食いつなごうと思った」と語ったという。
店は通常、万引きを警察に通報した後、盗まれた商品の代金は身元引受人に請求する。しかし、このスーパーの男性店長(51)は「最近は身寄りがない高齢者が多く、請求できるケースはまれ」と説明する。
県警によると、2000年に万引きで摘発された年代別割合は、少年(14~19歳)の43・3%に対し、高齢者(65歳以上)は半分以下の20・3%だった。しかし、徐々に差は縮まり、05年に高齢者(28・6%)が少年(28・0%)を上回った。07年以降は高齢者が30%台前半で推移し、20%台後半の少年を常に超えている。
県警生活安全企画課の山本和彦次長は「万引きに年齢は関係なくなった。高齢者も1人で解決できない問題を抱えた時、『誰かに構ってほしい』と起こす行動の一つとして万引きをする」と分析。「高齢者の生きがい作りを推進することで、こうした犯罪を減らすことができるのではないか」と指摘している。(鶴結城)
(2011年6月17日 読売新聞)
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