名古屋グランパスが、札幌から期限付き移籍中のMFダニルソン(24)を完全移籍で獲得する交渉を進めていることが16日、分かった。札幌が設定している移籍金(契約期間中の移籍に伴う違約金)は600万ユーロ(約6億8000万円)と高額だが、合意ラインは3億円前後とみられる。
グランパスは2009年オフに、ダニルソンを獲得。当初は完全移籍を目指していたが、移籍金が高額だったため、札幌から借りる形の期限付き移籍となった。J1初優勝に大きく貢献した昨季に続き、今季も期限付き移籍を更新。グランパス側は、レンタル料1000万円、年俸4000万円という「賃貸」の形が望ましいが、ダニルソン株が上がって、事情が変わってきた。
すでに欧州などのクラブからオファーを受けた札幌がグランパス側に買い取りの意思を確認をしたことをきっかけに、交渉が始まった。グランパスは24歳のダニルソンが、今後しばらくは柱としての活躍が見込めるため、完全移籍での獲得を決断。ただし7億円近い移籍金を用意するつもりはない。主力選手の年俸が高くなり資金に限界がある。札幌にも、設定された移籍金にこだわっている余裕はないからだ。ダニルソンが戻ってきてもJ1ベストイレブンにふさわしい待遇が用意できないほどの財政事情で、できるだけ高く、早く他クラブに売りたい意向。札幌との契約期間は来季終了後の13年1月。契約満了となれば、違約金は発生しない。ギリギリになれば、ダニルソンがフリーになるまで我慢するので、ビジネスはより難しくなる。
欧州や中東のクラブが大金を用意すれば、グランパスは断念するしかないが「欧州のクラブは、Jリーグの選手を取るときは契約切れを狙っている。違約金を払ってまで取るだろうか」とクラブ関係者は言う。グランパスは半値の3億円前後で合意ラインを探り、欧州の移籍市場が本格化する夏までに、完全移籍を決めたい意向だ。
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