東日本を中心にした各地の下水処理施設の汚泥などから、放射性物質が相次いで検出されている問題で、政府は16日、比較的濃度の低いものについては埋め立て処分ができるなどとした新たな方針を示しました。しかし、処分場の確保は、それぞれの自治体に任されるなど多くの課題が残っています。
この問題は、東日本を中心に少なくとも16の都道府県で、各地の下水処理施設の汚泥や汚泥の焼却灰などから放射性物質が相次いで検出されているもので、政府は16日、新たな方針を示しました。方針では、放射性セシウムの濃度が1キログラム当たりで、10万ベクレルを超えるものは厳重に保管、10万ベクレル以下のものは濃度に応じた対策を講じたうえで処分場に仮置き、そして8000ベクレル以下のものは埋め立て処分できるとしています。またほかの原材料と混ぜるセメント用などは、製品として市場に出る前に100ベクレル以下になるものは利用できるなどとしています。しかし、新たな方針では受け入れ先となる処分場の確保や、作業員の安全対策がそれぞれの自治体に任されるなど多くの課題が残っています。さらにセメントなどの原料として利用していた業者が引き取りを拒否し、処理に困る自治体が相次ぐなか、実効性があるのか疑問視する声も出ています。たまった汚泥で放射線量が高くなり、保管場所を「放射線管理区域」に指定した前橋市の堀越功三下水道施設課長は「埋め立てるとなると処分場周辺の住民が本当に受け入れてくれるのか心配だ。『ここならばすぐに処分できる』という場所を示すなど国からもっと具体的な処理の方針が出ることを望んでいる」と話しています。