ぶって姫“下痢地獄”一晩寝かせた?厄介な相手とは…

2011.06.16


 姫井由美子氏【拡大】

 福島県内の避難所で振る舞われたエジプト料理を食べた被災者69人が、今月4日、下痢や腹痛などの症状を訴えた。当日は、ワリード・アブデルナーセル駐日エジプト大使をはじめとした同国大使館関係者と、日本・アフリカ連合友好議員連盟の事務長を務める姫井由美子・民主党参院議員が炊き出しを実施。県は、料理から検出された「ウェルシュ菌」が原因の食中毒とみて詳しく調べている。

 何とも残念な食中毒が発生したのは、田村市の旧春山小学校。別の場所で調理されたグリーンピースご飯とエジプト家庭料理の鶏肉とパプリカの煮込み、ハイビスカスのジュースとエジプトのデザートなどが、避難住民や町職員ら118人に提供された。姫井氏のブログによれば、4日午後に約200人分を大型バスに積み込み都内を出発し、夕食に提供した。

 このうち、19〜90歳の男女69人に下痢や腹痛の症状が翌5日夕までに出た。医療機関に搬送された人は出ず、翌日までに全員が回復。9人から食中毒の原因となるウェルシュ菌が検出されたほか、夕食として出された炊き出しの鶏肉とパプリカの煮込みの残りからも検出されたという。

 聞き慣れないこのウェルシュ菌、実は身近で意外と厄介だ。

 料理研究家の原るみさんは、「給食施設のように、カレーやシチューなど、数日前に大量に加熱調理し、大きな器のまま室温で放冷されていた食品に多い」と話す。

 「この菌は調理した物が、冷める間に増殖します。作った翌日のほうが味がしみておいしいといわれる料理も、この時期は気をつけたほうがいい。不自由な避難所の生活で、睡眠不足などから、体の抵抗力が低くなっていることも影響していると思います」

 よりうまみが増すといわれる「一晩寝かせたカレー」も非常に危険。やむを得ず事前に加熱調理した場合は、菌の発育しやすい50度前後を長く保たないように注意し、保管の際は小分けして急速に冷蔵することという。

 ワリード大使は、エジプトの民芸品のお土産を一人一人に用意したほか、震災孤児5人を夏休みにエジプト旅行へ招待することも表明。帰京時には、多くの被災者がバスが見えなくなるまで手を振るなど友好ムード満点だっただけに、何とも残念な事態となった。

 ■ウェルシュ菌  人や動物の腸管、水中など自然界に広く分布。熱に強く高温でも死滅しない。主な症状は腹痛、下痢。

 

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