2011年06月16日

44万円の充電スタンド

トヨタは『Gーステーション』とネーミングされた電気自動車用の充電スタンドを発表した。ガソリンスタンドの給油ポンプに相当する「給電ポスト」で、28万円の簡易型と44万円のフルスペック。ちなみに大きな違いは給電ケーブルの有無。28万円は電気自動車ユーザーの給電ケーブルを使う。

将来的には給電量による課金も出来る(フェリカに対応)というので、トヨタとしてはプラグインハイブリッドの普及時に備えたインフラとして考えているんだと思う。ちなみに急速充電機能はなく、200V15Aという家庭用電源と同じスペック。つまりどこにでも設置することが出来るというメリットを持つ。

プラグインハイブリッドなら1時間半ほど。トヨタが2012年に発売を予定しているiQベースの電気自動車で(電池容量10kWhくらいか?)、3時間ほどの充電時間となる。果たして設置する側や利用する側のメリットはいかに? まず課金となった場合、電力料金をいくらにするかが問題。

電力料金を原発全廃による値上がりを見越して1kWh=30円と仮定しよう(現在は24円13銭)。プラグインプリウスの燃費を21km/L。電費を7km/kWhとすれば、21km走るのに必要なエネルギーコストはガソリンだと値上がりを見越して150円。前述の通り電気なら90円ということになる。

したがって充電スタンドで30円/kWhなら電気使うメリット大。けれど50円/kWh以上だと、ガソリンで走った方が安くなる。つまり充電スタンドは最大でも1kWhあたり最大20円の利益しか上げられない(1時間だと3kWh程度です)。1日6時間稼働したとして360円。100日で3万6千円。

44万円の充電器なら1200日(3年3ヶ月)でペイする。1日3時間稼働だと6年半。また、これは充電スタンドのコストだけです。その他、クルマ1台分の駐車場コストを必要とする。駐車場が1日360円掛かると永遠にペイしない。さてさて。充電スタンドを設置する人や企業がどのくらいあるか? (国沢光宏)
posted by polishfactory5 at 10:24| Comment(1) | 電気自動車

2011年06月15日

リーフの評価


早くもアメリカでリーフのユーザーレビューが出始めている。内容は極めて興味深い。例えばYahooを見ると平均評価3,5点。このくらいのクルマであれば、個々のユーザーの評価も3〜4点といった感じ。しかし! リーフのレビューをチェックしてみたら、普通と全く違う! もう見事です!

・リーフのレビュー

読者諸兄も予想できる通り、最高か最低か、なのだ(例外もある)。満点のユーザーは「アメージングカー」と評し全ての評価項目に於いて高い点数を付け、最低点のユーザーは「高くてじぇんじぇんダメ!」などと全て低い。リーフの乗り心地や快適性は素晴らしいのに、最低点を付ける人がいる。

酷評してるの、ユーザーじゃないと考える。嫌いなら買わないでしょうから。しかも「i−MiEVの方がずっと良い」(三菱ファンか?)とか「フォード早く!」(フォードファンか?)みたいな黄昏風コメントばかり。逆に”アンチ”の焦りを感じてならない。だってリーフのアメリカ価格、猛烈に安いですから。

補助金を考えれば202万円! しかもアメリカは電気代が安いため、ガソリン代とのエネルギーコスト差を考えるとシビック級のガソリン車より安く付く。「高くてダメ」などというコメント、タダの言いがかりだ。アメリカでもネットの暗黒面は出てしまう。でも情報を得る側もキチンとオタンコを無視します。

それにしても高い評価を付けている人の絶賛度が強烈だ! これほどホメちぎられているクルマは見たこと無い。ニッチマーケットのユーザーにゃ辛抱タマラナイことだろう。そうそう。デザイン評価は日本同様厳しい。世界共通でダメダメなデザインだと言われてます。リーフRCの雰囲気が欲しい。

私がレビューを書くとすれば総合評価5点。ただデザイン評価のみ許されればマイナス5万点を付けたい。市販車としちゃ世界最悪だと思います。親兄弟のルックスと同じで諦めるしかない。(国沢光宏)
posted by polishfactory5 at 08:00| Comment(0) | 電気自動車

お願い

リーフに乗っている人のブログをリンクさせて頂きたいと思っています。面白いブログを教えて頂けませんでしょうか? 自薦、他損を問いません。よろしくお願いします。コメント欄に書き込みして頂きたく。非表示ご希望の方はご指定下さい。(国沢光宏)
posted by polishfactory5 at 00:15| Comment(1) | 電気自動車

2011年06月14日

i−MiEV200万円以下


三菱自動車は夏にもi−MiEVの搭載電池量を減らした廉価版を200万円以下で(補助金分をマイナスした金額)追加するという。搭載される電池はミニキャブMiEV用だと思われるので、東芝の10、5kWhかと。i−MiEVの電費、リーフとあまり変わらないため、7、5kWh/Lだとして航続距離60km。

・フルに使えば80kmほどになるものの、残り2kWhくらいになると「リザーブ」ということで心細くなり実用に耐えないと思う。また、急速充電時は80%充電で9kWhほど。そこからリザーブの2kWhを引けば7kWhで、航続距離53km。

これをどう評価するか、なかなか難しい。東芝の電池、急速充電は15分。したがって急速充電器さえ使える環境にあれば十分実用に耐えると思う。つまり急速充電器の近所をi−MiEVを使うベースに出来るなら、という意味。リーフをしばらく使ってみての印象を書くと「都市部だと走行距離60kmじゃ厳しい」です。

「航続距離60kmでは普通のクルマの代替えにならない」と言い換えてもよかろう。リーフは150kmくらいの航続距離を持つが、それでも何度か「残り走行可能距離20km」を切った。100kmくらい走行する機会などいくらだってある。おそらく普通のi−MiEVの「航続距離100km」で実用ギリギリ、かと。

もう少し詳しく書くと、走行距離が解る集配や配達業務用と言うことです。じゃなければ「島」での足。伊豆大島とか、五島とか奄美大島のように少し大きな島だと走行距離はけっこう伸びる。かといって1回の走行距離が60kmを超えることもない。そういった使い方だと理想的なクルマになってくれます。

ただ島が小さく、1日10km以下の移動しかしない場合、年間の走行距離は3千km程度。これだとガソリンと電気のエネルギーコスト差を考慮してもガソリンエンジンの方が安く付く。また、アップダウンの多い地域も厳しい。ちなみに追加されるi−MiEVはブレーキペダルでの回生を行っているようだ。

そういえば廉価版i−MiEVと同等の航続距離だったスバルの電気自動車は、新宿から台場までの往復も不安だったことを思い出す。撮影するのに苦労した。ということで200万円を切るというi−MiEVも、決定的な販売増に結びつかないだろう。今のi−MiEVが200万円なら‥‥。(国沢光宏)
posted by polishfactory5 at 09:30| Comment(2) | 電気自動車

2011年06月13日

スイフトPHV200万円

日経Webは2013年にスズキが200万円未満の価格でプラグインハイブリッドを発売すると報じた。スズキのプラグインハイブリッドは、スイフトをベースとした試作車がすでに存在し、実証テスト中。詳細なスペックは下にリンクしている「コリズム」でレポートしている。十分成立するシステムだと考えます。

・スイフトのプラグインハイブリッド(深夜電力の誤記があります)

ボディサイズも適度。やはりハイブリッド車はBセグメントが本命だろう。すでに試乗したけれど、想像していたよりずっと自然に走ってくれる。しかも軽自動車用のエンジンをボディ剛性や重量のあるBセグメントに搭載すると、騒音や振動レベルが圧倒的に低くなります。驚くほど質感ありました。

プリウスだとモーター駆動からエンジン始動となる際、明確な騒音&振動の増加が見られるものの、小さいエンジンだとストレス無し。また、アクセル開度でエンジン回転数を上下させる制御になっていることもあり(本来なら一定回転が効率よい)、CVTに乗っているような雰囲気。相当な完成度でした。

その時点でスズキの開発陣に「バッテリーの価格は2012年くらいからイッキに下がる」的な話をしたのだけれど、信じてもらえず。部品コストから「市販車の価格」を計算していくと「とても売れるとは思えない」になるため「大量生産を前提とした市販車は難しいと思います」と言ってた次第。

しかしその後バッテリー価格にメド付いたのだろう。2013年時点でのプラグイハイブリッド用のバッテリー、おそらく1kWhあたり5〜6万円くらいかと。上のリンクでも簡単なコスト計算をしている通り、実際、十分に量販して売れるレベルが見えてきた。日経新聞の記者は、量販計画の確報を得たのだと思う。

ちなみにスイフトの試作車に搭載されているバッテリーの容量は2,66kWhでプリウスの2倍。こんなに少ないとバッテリー寿命が確保しづらい。最低でも5kWhくらい搭載すべきでしょう。まぁそんなことスズキだって認識してますね。30kmくらいEVモードあればベストかと。(国沢光宏)

posted by polishfactory5 at 09:27| Comment(2) | プラグインハイブリッド