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【社会】

浄化水、海へ放出も

2011年6月14日 朝刊

 福島第一原発の事故で、東京電力は十三日、1〜4号機の高濃度の放射能汚染水を浄化した水を、将来的に海へ放出することも検討していると明らかにした。具体的な時期や方法は未定で、放出の際には「関係省庁、地元自治体に事前に説明する」と説明している。

 東電は福島第二原発でも、津波の浸水で原子炉建屋などにたまった低濃度汚染水約三千トンの海洋放出を計画しており、水産庁や地元自治体が「緊急性があるのか疑問だ」と反発。放出の時期や量によっては再び批判を浴びる可能性もある。

 現在の浄化計画では、最大約二十五万トンの汚染水を浄化プラントに通し、油を分離してセシウムを特殊な鉱物などで吸着し、塩分を除いて淡水化。処理した水は原発敷地内の仮設タンクに保管する。タンクは既に一万三千トン分を用意し、今後も毎月約二万トン分を整備していく。

 処理水について東電の松本純一原子力・立地本部長代理は十三日の会見で「(タンク保管を)永久に続けるわけにもいかない。いずれかの段階で海洋放出はあると思う」と述べた。

 原発では通常運転時も、法令で定められた濃度限度以下なら、機器の洗浄水や作業着を洗濯した水などの放出が認められている。セシウムでは一立方センチメートル当たり〇・〇六〜〇・〇九ベクレル。汚染水の濃度は同一〇〇万ベクレル程度だが、東電は技術的には濃度限度以下までの浄化が可能とみている。

 ただ、年間の放出総量は原発ごとに管理目標値が定められている。福島第一原発では四月に判明した2号機取水口付近からの高濃度汚染水漏れで、既に今年中に放出可能な総量を超えている。

 汚染水をめぐっては、東電は四月初めにも、福島第一の高濃度汚染水の保管場所を確保するため、別施設の汚染水一万トン超を海に流した。

 

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