龍笛随想(1)
いよいよ週末は富山・小矢部での演奏会です。我々のみの公演では無く、小矢部市で邦楽をお稽古する団体の発表会にゲストで出演します。わずか40分の出演時間ですが管絃・歌物・舞楽と三種類四曲を演奏します。北陸方面の生徒さんには、久々の博雅会の北陸での演奏ですので是非見に来て頂きたいですね。東京・大阪の生徒さんでさすがに富山までは…という方は記録のDVDをお楽しみに。これで怒涛の一ケ月三公演のスケジュールから逃れられます。
さて、今日は笛の話。実はこの前のレッスンでちょっと褒められたのです。…褒められた、というのは私の受け取り方なんですが(笑)滅多にない事なので少々テンションが揚がっています。私は褒めて伸びる子なんですよ(笑)。
この五年ほど取り組んでいる課題があります。それは笛を吹く際に力を抜く、と言う事。私の笛を聞いた事がある方は分かると思いますが、私は一拍目、通常「吹き込み」と言われる部分にそれはそれは思いっきり息を入れる人です。それは、何と言うか25年前に笛を吹きだしてからずっとこだわりを持っている部分でもありました。当時習っていた先生の吹き方に良く似ているのかも知れません。ともかく、最初の一撃で仕留める!…という感じの笛です。15年ほど前、私と親しくしていた友人(仮にA君としましょう)は、私の笛に感銘を受けて下さり、私の真似をして下さっていました(別に私が先生、という訳では無いのですが)。A君は非常に器用で、私と同じように鳳笙も吹けるし舞も舞うし絃だって打物だって。その部分もリスペクトして頂いていたのかな?とも思うのですが。そのA君がとある笛の大先生のレッスンを受ける事になり、最初にまずダメ出し。言われたのが「能管みたいな吹き方だね」と。この話を聞いた時に、私はそのA君に申し訳ないのと同時に、一寸ショックでした。今まで貫いてきた理念のようなものが間違いであった、と気付いた瞬間でもありました。しかし、私はそれ以外の吹き方を知りません。どう直して良いかも、またその方法も稽古の仕方も何も分かりません。結果、私の笛はそんなに変わりませんでした。月日は流れ、今度は同じ事を私が直接指摘される機会がありました。それも篳篥の先生にです。当時、月イチで先生に笛を見てもらい出した時期でもあったので、今しか無い!と思って意識的に先生の息の入れ方や納め方などを研究しました。色々と友人のアドバイスもあり、五年経って少しその成果が出てきたようです。特に、その篳篥の先生に指摘されたのは音取の吹き方だったのですが、この音取というのがポイントだったのです。曲を吹いてしまうと流れに流されてしまう部分も明確に浮き出ます。私の弱点は息が入り過ぎることだったので、如何にコントロールするか?という点がポイントでした。方法としては、息を押さえるのでは無く違う部分に使う、という事だったのですがそんなに簡単に上手くはいきません。が、最近は大分慣れてきてコツが分かってきたような気がします。結果が出てきて素直に嬉しい(笑)
私のお勧めは、音取もそうですが延管絃。これは非常に良い稽古になります。長い息を必要とする箇所も多いのでロングトーンにもなります。私の最近のイチ押し曲は壱越調「廻盃楽」です(笑)。