放射線量に関する市長・秋山浩保から市民の皆様へのメッセージ
放射線による健康への影響、特に子どもや妊婦への影響に対する不安が大きくなっています。柏の葉にある東京大学柏キャンパスや国立がん研究センターによる放射線量の計測値など、確かに相対的に高い数字が出ているので、不安は大きくなる一方です。
このような状況において、市民の不安を少しでも解消することが市の役割ですが、これまで日本の原子力政策が国中心で進められ、放射線等を取り扱う業務を市では行ってきていないことから、残念ながら市には放射線に関する専門家がいません。そのため、様々な情報や専門家等の助言をもとに検討し、東大や国立がんセンターの情報とあわせて専門家としての「人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はないと考えています」というメッセージを、柏市の判断として市民の皆さんにお伝えしてきました。
しかし、放射線への不安はおさまりません。放射線は目に見えませんし、仮に影響があったとしても何年も経った後と言われています。健康へのダメージを実感しにくいので、どうしても最悪の状況を想定し不安になってしまいます。子どものことであれば、一層です。
また、放射線による健康への影響については、非常に高い放射線量についてはある程度分かっていますが、低線量の放射線による影響については専門家の中でも様々な意見があり、全体としてどうしてもあいまいな表現になってしまっています。
「健康に影響があるとは考えにくく、問題はない」レベルであっても、放射線が微量でも計測できる以上、「100パーセント安全です」と言い切ることはできないので、不安はおさまりません。さらには、諸説の中で、一部の危険性をことさら強調するメッセージを見たりすると、不安は拡大してしまいます。
そのような状況の中で、「他より数字が高いから、とにかく不安」、「皆が不安になっていると、自分も同じ気持ちになる」という不安の連鎖が広がっており、今までのように、東大等のメッセージを引用しているだけでは、その不安を解消することが難しいという認識を持ちました。
そこで、より専門性の高い機能を持ち、今回のような広域的な課題に対処すべき千葉県に、測定およびその結果と考え方の提示を、5月17日に東葛6市で要請しました。また、複数の専門家による指導のもと、6市でも専門業者による測定を行っていく準備を進めています。測定に関しては、機器をしっかり調整しなければ、測定の誤差が大きくなるため、専門業者に委託します。
6市による要請の結果、千葉県による計測が5月31日、6月1日に行われました。柏市では、市内3カ所の公園で測定が行われましたが、その結果、柏市として、より詳細に市内の状況を皆さんに示すことが必要であろうと判断し、専門家の指導のもと、職員による測定を本日6月6日より開始しました。対象は柏市が管理する学校や保育園などです。
なお、6市による計測は、その地域傾向をより正確に把握することで、今後の対応等の基準にしていくことを目的として行うもので、市職員による計測とは数値的に一概に比較できないことをご了承ください。
いずれの結果についても、随時報告してまいります。
平成23年6月6日 秋山 浩保