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【社会】

浄化装置全体を試運転

2011年6月16日 夕刊

 東京電力は十六日、福島第一原発にたまっている高濃度の放射能汚染水を浄化するプラントの試運転で、仏アレバ社の装置が放射性物質を一万分の一以下に減らす効果があったと発表した。

 アレバ社の装置は薬剤で放射性物質を沈殿させる方式で、低濃度汚染水を使って試験した。放射性のセシウム134は一万八千分の一、同137は一万七千分の一に減り、ほぼ予想通りの結果。既に試験を終えた米キュリオン社の鉱物ゼオライトを使った装置も、セシウムを三千分の一程度に減らしている。

 プラントは二社の装置と、汚染水から油、塩分を取り除く装置など主に四段階に分かれ、十六日未明から全体の試運転を始めた。十七日昼まで連続運転し、不具合がなければ同日夕から本格稼働させる。一日に千二百トンの汚染水で放射性物質を千分の一から一万分の一に減らす処理を行い、浄化した水を原子炉に戻す「循環注水冷却」を目指す。

 原発の建屋地下には原子炉に注入した冷却水が漏れて十万トン以上の汚染水がたまり、一日五百トンずつ増加。汚染水を移している集中廃棄物処理施設も収容予定量に近づき、十六日午前で移送を止めた。プラントが動かなければ月末にも漏出する水位に達する。

 汚染水は一ミリリットルあたり一〇〇万ベクレル以上の放射性物質を含む。通常運転時の原子炉内にある水の一万倍以上の濃度。これほど高濃度の汚染水を浄化した例はなく、計画通りの性能が出るかは本格運転後に確認する。

 

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