暴力団による抗争とみられる発砲事件が相次いでいることから、福岡県警は15日、夜間でも撮影できる「高性能防犯カメラ」20台を導入し、組事務所周辺などに設置する方針を明らかにした。警察が防犯目的でカメラを導入するのは警視庁、愛知県警に次いで3例目。暴力団抗争の抑止や捜査目的では全国初という。県は本年度一般会計当初予算案に約4200万円を計上した。
県内では、指定暴力団の道仁会(久留米市)と九州誠道会(大牟田市)の抗争とみられる発砲や爆発物事件が続発。3月に久留米市で道仁会系組員が乗った車が銃撃され、4月には福岡市西区の自宅マンション駐車場で誠道会系組幹部が刺されて死亡した。今月8日には、大川市で誠道会系組幹部が乗る車が走行中に別の車から銃撃されるなどしている。
県警によると、防犯カメラは1台約200万円。高画質で、暗闇でも鮮明な映像が録画できるほか、強い光が当たった場合でも車のナンバーなどを識別できる機能もあるという。抗争は目撃情報が得られない深夜や未明の発生が多いため、事件の抑止や解決に役立つことが期待される。
防犯カメラは、抗争事件で狙われる可能性が高い組事務所や組幹部宅の周辺に設置する。簡単に脱着できる構造で、状況に応じて設置場所を移すこともできるという。
県警組織犯罪対策課は「撮影範囲を必要最小限にするなど住民のプライバシーに最大限配慮しながら運用し、市民生活を守るために抗争を抑え込みたい」としている。
防犯カメラは東京・歌舞伎町で街頭犯罪を防ごうと、警視庁が2002年、50台を設置したのを機に、全国の自治体や商店街に広がった。
=2011/06/15付 西日本新聞夕刊=