公的買い取りPF債権、処理進まず

 韓国資産管理公団(KAMCO)は、貯蓄銀行の不動産プロジェクト融資(PF)による不良債権6兆1599億ウォン(約4590億円)相当を買い取ったが、その10分の1も処理できずにいる。3年以内に処理できない不良債権は再び貯蓄銀行が引き取ることになっており、ただでさえ経営に行き詰まった貯蓄銀行にとっては大きな負担となりそうだ。

 KAMCOがハンナラ党の金成植(キム・ソンシク)国会議員に提出した資料によると、KAMCOは2008年から昨年まで貯蓄銀行65行から不良債権を買い取ったが、今年4月までに市場で売却された不良債権は全体の6.3%の3878億ウォン(約290億円)相当にとどまっている。特に41行の不良債権はまったく買い手が付かなかった。

 KAMCOが3年以内に処理できない不良債権は、貯蓄銀行が買い取ることが契約で定められている。このため、処分できずにいる5兆7000億ウォン(約4250億円)の不良債権が貯蓄銀行の手に戻され、経営に致命的打撃を与えかねない状況だ。今年12月に3000億ウォン(約220億円)、来年3月に1兆2000億ウォン(約890億円)、来年6月に3兆7000億ウォン(約2760億円)が期限切れを迎える予定で、既に貯蓄銀行は対応に苦慮している。

 不良債権が最も多いA貯蓄銀行は、不良債権6359億ウォン(約474億円)相当をKAMCOに引き取ってもらったが、これまでに処理が完了したのは435億ウォン(約32億円)で、まだ5924億ウォン(約441億円)が未処理のまま残っている。B貯蓄銀行も不良債権4439億ウォン(約331億円)のうち、処理が完了したのはわずか388億ウォン(約29億円)にすぎない。両行とも業界5位圏内の貯蓄銀行で、経営破綻の可能性が指摘されている。両行を含め、2000億ウォン(約150億円)以上の不良債権がKAMCOに残っている貯蓄銀行は11行に上る。KAMCOは取り付け騒ぎにつながる恐れがあるとして、銀行名を明らかにしていない。

 不良債権処理が進まないのは、買い手が付かないためだ。貯蓄銀行のプロジェクト融資は主に不動産開発初期に土地を購入するための「ブリッジローン(つなぎ融資)」が大多数だ。KAMCO関係者は「どうにかして処理しようとしているが、不動産景気の低迷で事業が中断したケースが多く、一部の債権は紙切れ同然となっている」と話した。

 金融当局は貯蓄銀行に対し、不良債権の引き取りに備え、貸倒引当金を積むよう指導している。しかし、経営難の貯蓄銀行は引当金を計上できずにいる。これを受け、金融委員会は不良債権の処理期限を3年から5年に延長する方針を固めた。しかし、時間を稼いでも、結局爆弾を抱えることになるのは同じだとの指摘が出ている。

 このように不良債権の処理は進んでいないが、金融監督院は今月末までに貯蓄銀行による1兆5000億ウォン(約1120億円)のプロジェクト融資不良債権を追加でKAMCOに買い取らせる計画だ。同院関係者は「ひとまず急場しのぎにはなる。不動産景気が回復しない限り、貯蓄銀行は不良債権に耐えなければならない」と述べた。

孫振碩(ソン・ジンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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