中国“原子力は重要な選択肢”
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中国“原子力は重要な選択肢”

6月14日 19時22分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

イタリアで行われた国民投票で、圧倒的多数で脱原発が決まったことについて、中国外務省の洪磊報道官は、14日の定例会見で、イタリアの国民投票について直接、言及しませんでしたが、「多くの国にとって、原子力は、世界的なエネルギー不足や気候変動に対応するためにも重要な選択肢の一つだ」と述べて、原発を推進するという中国の政策に変わりがないことを強調しました。一方、国営のテレビや通信社は、イタリアの国民投票について、大勢の判明から半日以上がたっても、ほとんど伝えておらず、中国政府が、ヨーロッパで脱原発の動きが続いているという情報が、国内世論に及ぼす影響を懸念しているものとみられます。

中国政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあとも、急速な経済成長を支える電力需要を賄うとともに、気候変動問題では温室効果ガスの削減効果があるとして、原発推進の方針を変えていません。中国国内で現在、稼働している原子炉の数は14基で、建設中の原子炉は27基に上ります。福島第一原発の事故を受けて、中国政府は、国内すべての原発の安全検査を指示したほか、原発の建設予定地では住民向けの説明会を行うなど不安の払拭(ふっしょく)に努めてきました。こうしたなか、南部の広東省では、新たに「嶺澳原発」4号機が近く営業運転を予定しています。「嶺澳原発」4号機は、ことし2月から原子炉を稼働させ、現在は、発電しながら機器に異常がないか確認する試験的な運転、調整運転を続けていますが、当初15日に予定されていた営業運転の開始を、最も長くて2か月延期すると今月10日に発表しました。中国政府は、延期の理由は明らかにしていませんが、関係者は、福島原発の事故後の安全検査などに時間がかかっているのではないかと話しています。さらに中国は、先月、福島第一原発の事故のあと世界で初めて営業運転に入ったパキスタンのチャシュマ原発2号機に技術支援を行うなど、国外でも原発推進に力を入れ始めています。