前半は11日の磐田戦同様、相手を圧倒した。キーワードは3つある。(1)ボールを持たない選手が相手DFライン付近でサイドから中央、中央からサイドへと斜めに走る「ダイアゴナルラン」(2)右から左、左から右へとパスを送る「サイドチェンジ」(3)最前線の選手にボールを当ててサイドへ散らす「ポストプレー」。この3つがすべてそろって、グランパスの基本でもあるサイド攻撃が効果を発揮した。
特にダイアゴナルランでは中村、小川の2人が何度もサイドから中央へと走り込んで相手のDF陣を中央に寄せ、サイドにスペースをつくりだした。前半の2得点はいずれもこうしたボールを持たない選手が数多く動いていたことが実ったものだ。1点目は藤本が右サイドを破り、2点目は増川のクロスに小川、ケネディ、中村、田中隼の4人が前線で動きだしていた。引いて守りカウンターを狙う新潟のようなチームを崩すには、最高の攻撃だった。
ただし、この日は中3日ということもあるが、後半は全体的にすっかり運動量が落ちた。これからの連戦や夏場を考えれば、1試合耐えられるような走りの質が要求される。また、前線の選手に当てるくさびのパスが、闘莉王や増川ら最終ラインから多く出ているのも少し気になる。低い位置からのくさびは相手もカウンターを狙ってくるからだ。この試合でも何度か、そんなピンチの種があった。攻撃を組み立てるときにダニルソンの位置からくさびのパスが出るようになれば、危険度も低くなり、さらに相手を圧倒できるはずだ。 (中京大監督、元グランパスDF・西ヶ谷隆之)
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