Ikusa: It's Showtime Lyon に行って来ました。 - Ikusa

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キックボクシング団体のIt's Showtimeを先週末見に行ってきました。

K-1と言う世界最大の立ち技団体が休止している今、やはり一番注目が集っているのはオランダのサイモン・ルッツ氏(Simon Rutz)が主催しているIt's Showtimeでしょう。そしてなんと今年はスペインとベルギー大会を主催して今後ポーランド、ロシアやアメリカを目標としている団体がこの5月14日自分の住んでいるリヨン市(フランスの中部)に大会を主催したので行って来ました。

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今回は"Kader Marouf presents It's Showtime"と言う大会名でKader Marouf氏(カデール・マルーフ)は元ボクサーで現在フランスの立ち技団体プロモーターでもある。フランスで大会を主催するには立ち技連盟(FFSCDA, Fédération Francaise de Sports de Contact et des Disciplines Associées)の元で行われるのが義務、そして今回は連盟に加盟しているマルーフ氏をスーパーバイザーとしてIt's Showtimeは行われたのである。

今回のリヨン大会は世界中注目が集っていた、なぜならK-1の悪魔王子あるいはゴールデンボーイのバダ・ハリ(Badr Hari)がオランダでのクラブのドアマンへの暴行事件や試合中ヘスディー・ゲルゲスへの違反行為などのゴタゴタから一年ぶりの復活戦であるからだ。
個人的には2年ほど日本で様々なK-1の大会を取材したのでファイター達数人とは顔見知り、と言う理由でこの大会は日本以来再開の場と言う機会でもあった。

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5月13日(金)マルーフ氏のスポンサーでもあるカジノ内で計量と記者会見が行われた。そこにはK-1 World Max 2冠王者のジオルジオ・ペトロシアン(Giorgio Petrosian)、K-1ファイターのダニエル・ギタ(Daniel Ghita)、タイロン・スポーン(Tyrone Spong)などがいた。他には地元リヨンのミカエル・ピスキテッロ(Mickael Piscitello)、ヨハン・リドン(Yohan Lidon)、ジョナタン・フォボー(Jonathan Fauveau)やIt's Showtimeファイターのクリス・ヌギンビ(Chris Ngimbi,70キロ級王者)、ヴェンデル・ローチェ(Wendell Roche)などがいた。とりあえず今大会のカードの顔ぶれはハンパではない。唯一残念だったのはダニエル・ギタの対戦相手のアンデルソン・ブラドック・シウバ(Anderson "Braddock" Silva)が怪我をして出場できなくなった事であろう。 :(

計量は午前11時に始まり皆パス、一番大変だったのは73キロ級タイトルを争うヨハン・リドンであろう。最初の軽量では73.3キロでダメであり、30分後の最軽量ではなんと73.4キロと体重が増していたのだ。本人によると筋肉が固まって増したとか。とりあえず午後1時の再々軽量で何とか73キロジャストでクリア。ちなみにバダ・ハリとタイロン・スポーンは計量欠場。

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午後の記者会見ではマルーフ氏とルッツ氏が記者会見を開きフランスで久々のビッグスケールの立ち技大会を紹介していた。しかし一番注目を集めたのは午後2時半あたりに珍しくスーツ姿で登場したバダ・ハリであろう。フランスではモロッコ系の移民が多くハリは彼らにとってヒーローでもあるのだ、特に彼らは社会的には結構「悪ガキ」のイメージが定着しているのでハリみたいな強くて悪魔王子に引かれるのは当然。今回のIt's Showtimeは多分そのモロッコ観客を狙っていたのかどうかハリ以外にフィクリ・アメジーアヌ(Fikri Ameziane)、モサッブ・エル・アムラーニ(Mosab El Amrani)、シャヒッド・ウラッド・エルハッジ(Chahid Oulad El Hadj)と言うモロッコ人ファイターが出ていた、実はこの4人みんなオランダ国籍もっているんです。

バダ・ハリは悪のイメージを変えたい意識かどうか、今回スーツ姿で会見にきて相手のグレゴリー・トニー(Gregory Tony)に笑顔で肩を叩いていた、以前の記者会見ではにらみつくのが当たり前だったハリに何がおきた?しかし以前より体重が確実に増していた、と言うより体つきに変化があった、これが一年のブランクの結果なのか体重増加が目的なのかは本人のみが知っている。アリスター・オーフレムなみのバケモノ変化だけはしないでほしい。 :D

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自分はモロッコに長く住んでいたのでバダ・ハリとは日本で会った時アラビア語で話して顔も覚えてくれたので今回も「お前ここで何してるんだ、フランスに戻ってきたのかよ?」みたいな事言われました、チームメイトのメルビン・マヌーフ(Melvin Manhoef)にも :D 。再開と言えばK-1や日本の総合格闘技団体を海外で放送しているHDNetの実況担当のマイケル・シャベロー氏(Michael Schiavello)も今回来ていてIt's Showtimeとの数年契約を結んだそう、K-1危うし? :blink:

他には会場に来ていた「ミスターパーフェクト」ことアーネスト・ホースト(Ernesto Hoost)とも会って覚えてくれていました、二人で小日本語会話もしてK-1記者会見のときとはちょっと違う雰囲気でした。ダニエル・ギタとホーストの弟子でもあるタイロン・スポーンとも少し話しましたがやはり日本でまた戦いたいと言ってました、おまけにかなりの日本通。最後にちょっとお話したいのがジオルジオ・ペトロシアン、彼には挨拶しに行った際「日本では戦いたいけれど実はまだK-1から去年のファイトマネーが支払われていないんだ、何とかこの事を伝えてくれよ」と言われました。なのでK-1の責任者の方々、このブログを見ていたらペトロシアンを払ってください。 :unsure:

今までK-1大会を取材していたときは唯一フランスのメディア者だったが今回のは唯一の日本人だったと言う一味違った記者会見でした。


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5月14日(土)大会の当日リヨンは雨、にもかかわらず観客は会場のPalais des Sports(パレ・デ・スポール)の前に殺到。しかし前日チケットの売れ行きが良くないと聞いていたが中に入ってみると確かに3分の2しか埋まっていない様子、やはりフランスの観客にチケット50ユーロ(およそ6000円)は高かったのかも、それも50ユーロか160ユーロ(約2万円)しか選択がないとは・・・前日マルーフ氏が記者会見後招待券の束を配っていたのがなんとなく分かった。

しかしIt's Showtimeのセットは豪華、ダンサーもセクシー。絶対にいい大会になると確信していたが実はフランスの観客は席は勝手に変えるは、セキュリティーは雑で皆なんかやりたい放題でした。記者の物としては記者席があっという間に一般客で埋まりつくされたが一番痛かったのはインターネットが無かった事、会場の責任者に聞いてみたところ「主催者が前もってインターネットが必要だと知らせてくれなかったので用意していない」と言われた、ありえない・・・ :angry: 結果速報するはずだったのができずとりあえず売店で買ったフライドポテトをかじりながら試合を見て結果をワード上打っていました。

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試合内容に関してはメインのハリ、ギタとスポーンはかませ相手に簡単に勝利。特にギタは経験ほとんど無しアメジアーヌの攻撃にビクともせず簡単にローキックを打ち込んで勝ちました。しかし一番ひどかったのはなんと待ち重ねたバダ・ハリの試合。ハリはリングインしたときから様子がおかしかった、何故かコーナーのロープに架かっていきなり気分が悪そうな姿勢でバケツに嘔吐した後何回もつばを吐いた。試合開始後いつものハリだったら相手に突進攻撃するはずだが今回は順調にはじめトニーの攻撃を難しくかわした。

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一分ぐらい発つとようやくエンジンがかかったのか攻撃を仕掛けてトニーを簡単に追い詰めるがトニー自身にやる気が全然見えない。逆にハリの攻撃に押されると自分からリングに沈むように何回もスリップしていた。この調子では病気(?)のハリでも簡単に倒せるどころかハリのフックが最初に当たりダウンをとられた後トニーはアッパーやジャブなどを食らうと戦いを逃げるようにしゃがんでリングに沈んでいった。これで計3回カウントされTKOでバダ・ハリの勝利。しかし観客はトニーの演技か戦闘意識の無さに馬鹿にされた気分で大ブーイング、ハリ本人も勝利に満足しておらず祝福しに来るチームメイトたちを立ち退けて挨拶をしに来たトニーを一振りで「来るな」と言っていた感じでした。試合後にマイクで思ったような試合ができなかったと観客に謝っていました。

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今回の大会はレベルが高く良い試合が多かったが2つのタイトル戦は見もの。最初にクリス・ヌギンビが70キロタイトルを保持。その後地元のヨハン・リドンが新生でまだ19歳のマラット・グレゴリアン(Marat Gregorian)から勝利を奪った、決め手となったのは3ラウンド目リドンがハイキックを当ててそのまま頭良く試合の流れを勝利まで持っていた時。

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他にはミカエル・ピスキテッロ対ヨハン・フォボーは再戦であり前回のような激しい戦いには達しなかったもの結果はフォボーの勝利。しかし彼はイスラエルを代表して戦っていると言う事で大半アラブ系の観客からものすごいブーイングを浴びていました、政治をスポーツにもってきちゃだめだよ。ヴェンデル・ローチェ対ユクセル・アヤディンもローチェが有利見られていた試合だがあやでぃんの頑丈さが目立ち延長戦に入りアヤディンが勝利。ジオルジオ・ペトロシアン対シャヒッド・ウラッド・エル・ハッジは結果的には金的でノーコンテストで終わったが何かシャヒッドが演技しているように見えていた、ぜひ再戦が見たい。

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個人的に一番良かった試合は65キロ級ムエタイルールで行われたフシーヌ・ベーヌイ(Houcine Bennoui)対モサッブ・アムラーニ(Mosab Amrani)でした。この試合はアルジェリア対モロッコという隣同士の国を代表する二人の争いと言う背景があったがムエタイ対キックボクシングのスタイル対決でもあった。ベーヌイのムエタイスタイルはアムラーニのキックボクシングスタイルを完全に圧倒し肘やキックなどをうまく使い分けた。最終的にアムラーニは3ラウンド攻撃を受け4ラウンド目再開のときリングに倒れ起き上がれなかった。

結果としてはもの久々のレベルの高い大会であり主催者側も納得していたようだ。

結果:

第一部

1) ムエタイルール3分5ラウンド: セドリック・ミュラー対アイドゥン・トゥンサイ
勝者セドリック・ミュラー(判定3-0)

2) ムエタイルール3分5ラウンド: ミカエル・ピスキテッロ対ヨハン・フォボー
勝者ヨハンフォボー(5R, TKO ピスキテッロのケガ)

3) 95キロ: ヴェンデル・ローチェ対ユクセル・アヤディン
勝者ユクセル・アヤディン(延長戦 判定3-0)

4) 65キロムエタイルール3分5ラウンド: フシーヌ・ベーヌイ対モサッブ・エル・アムラーニ
勝者フシーヌ・ベーヌイ (4R, TKO アムラーニのケガ)

第二部

5) 70キロ級: ジオルジオ・ペトロシアン対シャヒッド・ウラッド・エルハッジ
ノーコンテスト(ペトロシアンの攻撃がシャヒッドの金的を直撃)

6) 70キロ級タイトル戦: クリス・ヌギンビ対ウィリー・ボレル
勝者クリス・ヌギンビ (2R, KO) タイトルを防御

7) ヘビー級: ダニエル・ギタ対フィクリ・アメジアーヌ
勝者ダニエル・ギタ (1R, KO)

8) 73キロ大タイトル戦: ヨハン・リドン対マラット・グレゴリアン
勝者ヨハン・リドン (判定3-0)

9) ヘビー級: タイロン・スポーン対イゴールミハイレビッチ
勝者タイロン・スポーン (1R, KO)

10) ヘビー級: バダ・ハリ対グレゴリートニー
勝者バダ・ハリ (1R, KO)

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これでおしまいと思ったら大違い!この大会の裏話をいたしましょう!

大会後は関係者などとお話ができました、結構顔見知りなのでいろいろと情報を聞けました。

まずはトニーに関してですがどうやら彼のこの日の戦いぶりはフランスの立ち技連盟(FFSCDA)の逆鱗に触れたようで「トニーはこれからフランスで試合をできないようにさせてやる!」とある方は言ってました。実はトニー、7日前にフランス国内のボクシング大会に出たそうなんです、そして大会の準決勝で試合中に肩にケガを偽ってバダ・ハリ戦に出たとか。しかし大事な試合の一週間前にボクシングの試合に出るとは無責任な、その時はプロモーターのマルーフ氏は心配し、立ち技連盟はメディカルサスペンションをトニーに下そうとしたがトニー本人は「大丈夫だから出してくれ、ケガは嘘だったんだ」と言うスポーツ精神に反するような事まで認めたそうです。なのでトニーのIt's Showtimeの試合を見た連盟の方達は「負け方がわざとらしい」と言って多分トニーに処分を与える気でしょう。たしかにボブ・サップみたいな試合の終わりかたでした。

モロッコ系のファンが多く、モロッコの国旗も会場の所々においてあったが。やはりバダ・ハリ効果。

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マルーフ氏は何故かピスキテッロやリドンのセコンドも勤めていた、中いつの立場であるプロモーターがこういうことをすると結構ファンから批判を浴びますよ。

サイモン・ルッツ氏とカデール・マルーフ氏の間に亀裂が・・・ルッツ氏が大会後に不満を吐いていたそうです(確認済み)。問題は主催かまたは金か?マルーフ氏は11月にもう一度It's Showtimeをフランスで開催してジェロム・レバンナ対バダ・ハリを計画しているのに。

一番の事件は多分It's Showtimeの選手と一緒の打ち上げパーティー。実は160ユーロ(約2万円)のチケットにはリングサイド席+アフターパーティーの券が付いていたんですが問題が発生!まず大会が終わったのが夜中12時辺りでパーティー会場がリヨンの郊外にあるナイトクラブ、それも車が無ければいけないような場所で。そしてどうやら160ユーロチケットを買った人の中で大半はクラブに入れなかったそうです。チケットを購入した人の数がクラブのキャパシティーより多く、人数制限に引っかかりは入れなかった人が多かったようです。怒った観客の人たちはクラブのドアマンたちに喧嘩を売る覚悟でいてわざわざ警察が来るハメに。その時マルーフ氏の携帯は繋がらず結局チケットの払いもどしをしてもらうために警察に集団告訴したそうです。っと言っても名前と住所を書いて後は警察に任せると言うだけ、あんまり期待しない方がいいと大半は思っていたみたいです。


自分にとっては良い大会だったのでIt's Showtimeまた行きたい!

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