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【教育動向】失職は11人だけ? 初の「教員免許更新制」
「教員免許更新制」の初の更新をめぐって、昨年9月の段階(※外部のPDFにリンク)で、最大約2,000人の教員が失職する可能性があったことは、1月の記事で紹介しました。しかし文部科学省の調査によると、冬休みに駆け込みで免許更新講習を受講したり、初回だけの特例である2か月延長を申し出たりして、実際に免許が失効する見通しであるのは27人にとどまりました。ここまでは、新聞報道などもされているところです。ところが、よくよく文科省に尋ねると、学校を去る者はこのうち11人だけだというのです。どういうことでしょうか。
27人のうち、引き続き職にとどまる16人の内訳は、▽「認定こども園」で幼稚園教諭から保育士に転じるなど、教員免許を必要としない職に配置転換する者が9人▽管理職が4人▽普通免許状のほかに「臨時免許状(※外部のPDFにリンク)」を持っていたため、助教諭として教員を続ける者が2人▽必要な講習は受講していたものの、手続きミスでいったん免許が失効し、4月になってすぐに再交付を受けられる見通しの者が1人……ということです。
このうち管理職は、もともと申請すれば、更新講習の受講が免除されたはずです。別に免許がなくなっても、「民間人校長(教頭)」などと同じように、職は続けられるのですが、本来なら先生方に更新をすすめるべき立場の人たちが、手続きミスで自分の免許が失効しまったというのでは、ちょっと格好が悪い話です。
ただ、最終的にどのくらいの先生の免許が失効し、失職したかは、期限延長者などの状況も含めて見ないと、確定しません。さらに東京都では、公立学校の講師や、私立学校の教員の状況を把握していないため、実際に教壇を去る先生は、調査よりも多くなると思われます。
また、今年度から採用されるはずだった講師などが、必要な更新講習を受講しておらず、採用が取り消しになるというケースもあるようです。現在は、大学などの講習の開設数に限りがあるため、受講者を現職教員や採用内定者、講師のリスト登載者などに限っており、「ペーパーティーチャー」の場合、採用の見通しが立った段階で改めて講習を受ければよいとされています。ただ、それでは、リストの中だけでは賄いきれなくなって急に登載者を増やさなければならないというような状況には、対応できません。
なぜそういった事態が起こるかというと、教員免許があくまで、自動車免許などと同じく「個人の資格」であって、更新も基本的には「自己責任」だからです。
更新制は、先生が定期的に最新知識を身に付けることで、「自信と誇り」を持って教壇に立ち、「社会の尊敬と信頼」を得られるように、という
趣旨(※外部のPDFにリンク)で導入されました。しかし、ますます仕事が忙しくなるなかで、講習を受ける時間(2年間で30時間)をねん出できるかどうかだけが問われるのでは、本当に自信や信頼が得られるものか、心配になります。講習の内容が実際の指導に役立っているかどうかも含めて、今後、制度の検証が求められます。
(提供:Benesse教育情報サイト)
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