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ダレン・ベントが語る「ゴールに迫る動き方のコツ」
2011年06月14日 17:07
前半戦はサンダーランドで8ゴール。後半戦は移籍したアストン・ヴィラで9ゴール。計17ゴールはイングランド人選手最多の数字だ。チームが変わっても、コンスタントにゴールを奪える理由は、ダレン・ベントの優れた“前線での動き方”にある。
インタビュー・文=ベン・ウェルチ 写真=フォトスポーツ
[フェイント]マーカーを走るコースを欺く
最初のアドバイスは『常に2種類の走りを組み合わせろ』ってこと。1つは相手DFを惑わすためのフェイントの走り、もう1つはゴールに向かう全速力のダッシュだ。例えばニアポストに走り込みたい場合なら、最初はファーサイドに向かって走り、DFを誘ってからターンする。当然、ファーに行きたいなら逆の動きをするわけだ。これでDFのマークを完全に外せることはあまりないけど、1メートルでもマークを引き離せれば、チャンスは格段に増える。ポストプレーの時も、一度ニアポストかファーポストに動いてから、次の走りでボールを受けにいくといいだろう。この動きのコツは体をあまり回転させないこと。ターンは1回で十分だ。DFがフェイントに掛かった瞬間、鋭く正確に角度を変えて、最短距離で本当の目的地点にダッシュするんだ。
[分析]相手DFの特徴を知っておく
自分をマークしている相手がどんなタイプのプレーヤーか知ることはとても大事だ。もしパワフルなマンマーカーだったら、中盤まで下がって相手をおびき出すのが効果的だね。相手がそのまま中盤までマークに付いて来るようなら、その後ろには当然、スペースが生まれている。そこをチームメートに狙わせるんだ。逆に相手がスピーディーなタイプだったら、こっちは焦って動かないほうがいいだろう。DFがボールに意識を向ける瞬間を待って、相手の視界から消えることを第一に考えるべきだ。いくらスピードがあったところで、どこにいるか分からない相手を捕まえることはできないからね。マーカーで一番厄介なのは、深い位置で守ってくる守備的MFかな。彼らはFWをマークすることより、FWへのパスをカットしようとする。だから彼らと対戦する時は動きを止めず、常にポジションを微修正する必要がある。パスコースを確保しないといけないからね。
[パスレシーブ]味方のMFからのパスを引き出す
前線でうまくボールを受けるのは難しい。いくつかコツがあるけど、相手DFの背後からプレーを始めるのが最も効果的な方法だろう。つまり、わざとオフサイドポジションから動き出すんだ。パスを受ける時、オフサイドの位置から後ろに走り出して、DFの前に飛び出す感じでボールを受ける。オフサイドにならないようにタイミングを合わせるのが難しいけど、これは相手DFにとって一番対応しにくいやり方でもある。DFとの駆け引きで大事なのは、とにかく彼らの視界から少しでも消えること。DFはオフサイドの位置にいる選手にはほとんど注意を払っていないから、その“習性”を利用するってわけさ。うまくボールを受けることができたら、そのままターンして前を向けばいい。[戦略]敵の一番弱い部分を突く位置取り
FWは常に、相手守備陣のウイークポイントを探していなくちゃいけない。相手の最終ラインに足の遅いDFがいたらスピード勝負を仕掛けていくし、背の低いDFがいたら空中戦の勝負に持ち込む。試合前の研究は欠かせないね。何度か対戦した相手ならよりイメージしやすいけど、初対戦の相手でも試合中に気付くことはたくさんある。相手の弱点を突くと同時に、自分の得意なプレーを生かせるようならベストだ。それから、相手の連係の悪いところを突くのも重要。センターバック同士の連係が悪ければその中間に、センターバックとサイドバックの連係が悪ければその中間に、という具合にポジションを取って、どちらのDFがマークに付くべきか迷うように仕向けるのさ。[フィニッシュ]ボールの勢いを殺さずにシュートする
うまくコースを取って走れば、チームメートからいいパスを引き出すことができる。でも、自分の意図した場所にボールが来てくれるとは限らない。そこで、ファーストタッチの判断とコントロールが大事になるんだ。速いパスやクロスが来た場合は、ダイレクトでシュートするのがベストの選択肢。せっかくスピードに乗っているボールを止める必要はないし、時間を掛ければDFに距離を詰められてしまう。チームメートからのパスが遅い場合は、勢いを付けるためにファーストタッチでシュートできるポイントにボールを落とす必要がある。この時、得意な体勢に持ち込めるポイントが何カ所かあるといいね。いつも同じパターンだと、相手DFにトラップの瞬間を狙われてしまう。ポイントを増やすには……とにかく練習あるのみさ(笑)。チームメートにいろんなタイプのパスを蹴ってもらって、実戦をイメージしながらシュートを打つんだ。[飛び出し]オフサイドトラップを破りGKと一対一の状況を作る
オフサイドトラップを破ってスペースに抜け出し、GKと一対一の状況を作る。これが思い通りに決まると最高だ。僕が今までに見たプレーヤーの中で、この動きに最も優れていたのは(ルート)ファン・ニステルローイだった。彼はそれほどスピードがあるタイプじゃないけど、相手DFとの駆け引きがうまいんだ。ポイントはやっぱり、オフサイドのポジションから動き出すこと。オンサイドになるのはパスが出る瞬間だけでいい。DFの背後に隠れて動き、パスが出るタイミングに合わせて後ろに動く。そして、ボールが出たら急ターンしてゴールへ一直線、というわけさ。単純なコース取りでオフサイドトラップを破ることなんてできない。何度も強調するけど、DFが一番嫌がるのは視界から消えるFWなんだ。これだけは絶対に覚えておくべきだね。
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