映画館のカラーが、まだはっきりしていたころの話。東京・日比谷なら大作は有楽座、文芸ものはみゆき座(ともに当時)といった色分けがあった。
名画座も同じ。劇場の中央に大きな柱があった銀座並木座は日本映画ファンには懐かしい映画館。溝口健二や小津安二郎、熊井啓監督らの作品に触れられるまさに日本映画の学校だった。
最も印象深いのは蠍(さそり)座(74年閉館)だ。新宿伊勢丹のはす向かいの地下にあった。入り口の階段を数段下りると、映写機が回る音が聞こえた。鉄製の重い扉を開けると、壁はコンクリートの打ちっ放し。数十人しか入らない狭い空間は薄暗く何とも怪しげで、大人の世界をのぞき見た感覚だった。ここで見た大島渚、寺山修司、増村保造監督らの映画はより自由で、実験的で、妖艶なものとして体に染みついた。
今はシネコン(複合型映画館)全盛の時代だが、心に残る映画は見た映画館と一緒に記憶に残る。出会いの場所は、椅子の広さや背もたれといった快適な環境も大事だけれど、個性が失われるのはさみしい限りだ。【鈴木隆】
毎日新聞 2011年6月8日 12時36分
6月15日 | メタボ解消 |
科学の力 | |
映画パンフ | |
津波への備え | |
6月14日 | 想像力 |
陶芸展 | |
おやじ狩り | |
6月13日 | 別れ方 |
夢の技術は | |
老医師の茶わん | |
6月11日 | さぬき大使館 |
復興 | |
家族との時間 | |
モラトリアム | |
6月10日 | ジェット音 |
農業体験再び | |
トラフグの湯 | |
6月9日 | 堀多恵子さん |
原点 | |
母校 | |
6月8日 | キクメン |
1行の記事から | |
蠍座 | |
いのちの電話 | |
6月7日 | “間借り” |
「答え」探し | |
流言 | |
6月6日 | ローン借り換え |
再生の物語 | |
密輸トンネル | |
6月4日 | 「B級」は褒め言葉? |
「貴重ノ術」 | |
めどが立たない | |
たばこの被害 | |
6月3日 | 茶の湯で婚活 |
想像すること | |
親の悲しみ | |
6月2日 | 輪島塗 |
誰かが | |
記憶のない遺産 | |
6月1日 | かみなりおやじ |
茹でガエル | |
映画女優 | |
NIMBY | |
5月31日 | 仮設住宅 |
講習会 | |
32年後の問い掛け | |
5月30日 | 生きて帰って |
作兵衛さんの絵 | |
心の「占領」 | |
5月28日 | 国鉄マンのうどん |
消えた崖 | |
格安航空 | |
「福島」に込めた願い | |
5月27日 | アフリカに呼ばれて |
田植え | |
トントンセット | |
5月26日 | 九州新幹線 |
修学旅行 | |
CT検査 | |
5月25日 | 大相撲の魅力 |
甘え | |
映画人の思い | |
寛容の精神 | |
5月24日 | きららちゃん |
追いつけない | |
ダフ屋も呼び寄せた | |
5月23日 | 母の大阪駅 |
長い目で | |
書店主の願い | |
5月21日 | ちゃんぽん係長 |
「福島の原子力」 | |
ラジオ | |
福島からの声 | |
5月20日 | なにわ牛 |
農業体験 | |
発症の地 | |
5月19日 | 推理作家の愛した寺 |
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ステテコ | |
5月18日 | 型破り |
住宅再建 | |
カンヌ流 | |
乗り越えた時 | |
5月17日 | 春の悲しみ |
日本に元気を | |
独りぼっちじゃないよ | |
5月16日 | 火災警報器 |
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パレスチナ人の廃村で |