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特集松山市「裏金」疑惑2011年06月14日(火)

孫請け 参考人招致決定 社長、応じる意向 市議会特別委

 松山市発注工事の孫請け会社を舞台とした「裏金」捻出疑惑で、市議会の市発注工事解明調査特別委員会(宇野浩委員長、16人)は13日、裏金づくりに加担したと報道機関に証言した孫請け会社「エー・エス・ケー機工」社長(56)を参考人として委員会に招致することを決めた。社長は愛媛新聞社の取材に対し、招致に応じる意向を示した。
 社長は2001〜03年の市発注工事をめぐり、市の元職員の主導で裏金を捻出したと報道機関に証言。6日には県庁記者クラブで匿名を条件に会見し、稲葉輝二副市長や元職員の実名を挙げて「工事代金から裏金をつくって(元職員に)手渡した。政治資金として(当時助役の)稲葉副市長に渡すと聞いた」と発言していた。
 委員からは「会見では職員の実名も多数出たと聞く。まずは説明を求め、質問したい」などと社長の招致を求める意見が相次ぎ、全会一致で決定。下請け業者や元職員など幅広い関係者の招致を求める意見や、「稲葉副市長は『事実無根』と抗議したが、経過の詳細を特別委で弁明してほしい」などと副市長に理事者としての出席を求める声も出た。
 社長は取材に「呼ばれることは別に構わないが、元職員と下請け業者も同時に招致してほしかった。委員会ではこれまで見聞きしたことを証言するだけだ」と話している。
 委員会終了後、宇野委員長は報道陣に対し、社長名や住所を確認した上で招致方法や日程について議会事務局と調整すると説明。社長が招致に応じた場合、「秘密会にはしない」と述べ、公開する方針を示した。
 また、5月25日の前回会合で決定した愛媛新聞社の招致について、宇野委員長が冒頭で「議長から編集局長宛てに出席要請書を郵送したが、欠席との回答があった」と報告。会合後、再度要請する可能性を報道陣に問われ、宇野委員長は「ないと思う」と話した。
 愛媛新聞社は「記者の招致は最も重要な職業倫理である取材源の秘匿を脅かす」などとして要請を拒否した。(公共工事裏金疑惑取材班)

◆公的機関 初の聞き取り 調査ようやく前進へ◆
 松山市発注工事の「裏金」捻出疑惑で、市議会の市発注工事解明調査特別委員会が13日、孫請け会社社長の参考人招致を決めた。社長は応じる構えで、裏金づくりに関わったとされる関係者が初めて公的な場で証言する公算が大きくなり、特別委主導の調査がようやく前進しそうだ。
 「疑惑は市公営企業局の構造にまで発展した」。同日の委員会では企業局への批判が集中。松岡芳生氏(新風・民主連合)は「(市側は)民間同士の話から抜けられていない。(社長の会見など)疑惑発覚当初とは状況が変わり、現在もあるのではないかと疑惑が出ている。これは相当根深い」と指摘。大木正彦氏(同)も「企業局にゆがんだ体質があることは事実だと思う」と述べた。
 梶原時義氏(ネットワーク市民の窓)は「企業局がやるべきことをやらないから特別委が招致した。反省すべきだ」と批判した。
 これに対し渡辺滋夫公営企業管理者は「あくまで疑惑の範囲。わたしたちは正しいと思っている」とした上で「(社長から話を聞くことは)今でも犯罪捜査と思っている。自分たちが(招致)すべきかどうかは議会の動きをみて考えたい」とし、基本的には従来の主張を崩さなかった。
 一方、これまで社長の単独聴取に否定的な見解を示していた松山維新の会や公明など与党会派。松下長生氏(無所属の会)から「いまだにマスコミ報道が信じられない」との意見が上がったが、参考人招致には全員が賛成した。

◆副市長の抗議文届かず◆
 松山市発注工事「裏金」捻出疑惑で、記者会見して証言した孫請け会社「エー・エス・ケー機工」社長に対し、実名を挙げられた稲葉輝二副市長(74)が送付した抗議文書が、宛先不明で返送されていたことが13日、分かった。
 発送した稲葉副市長の代理人弁護士によると、文書は社長の勤務先に送付したという。「引き続き(社長に)渡せるよう手段を検討したい」としている。
 一方、社長は愛媛新聞社の取材に「郵便局に受け取りに行ったが、宛先の住所に住む証明がないと言われ持ち帰れなかった。(抗議文書は)受け取りたい」と話している。
 稲葉副市長は9日、代理人弁護士との連名で「社長の発言内容は全くの事実無根で、市政に極めて大きな混乱を与えたばかりか、私個人の実名を挙げ、名誉を大いに傷つけた」とする文書を内容証明付きで送付していた。

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