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イタリアの国民投票結果を歪曲報道するNHKと大越健介
昨夜(6/14)の報ステは、相馬市の酪農家の自殺問題がトップニュースで、かなり長い時間を割いて取材映像を流した。堆肥小屋の壁に白墨で書かれた遺書が生々しく、さらに実姉による原発批判と政治批判が強烈で、番組のメッセージを伝えていた。この事件について、ネット上に報道各社の記事があるが、報ステで放送された情報に較べるとどれも短い。30頭の乳牛を飼育していた54歳の酪農家は、経営を拡大するべく堆肥小屋を新設したばかりで、そこに原発事故が起きて原乳を出荷できなくなったため、資金繰りが苦しくなり、廃業を余儀なくされていた。酪農家仲間の声が取材され、皆、同じように自転車操業を続けていて、体力のない者から落後せざるを得ないこと、JA福島から農家に補償の仮払いがあったが、国・東電による正式な補償が決まらなかった場合は、JAに返済するよう義務づけられている事情が紹介された。この事件は、またしても、NHKの7時と9時のニュースでは一言も触れられなかった。しかし、このニュースで想起させられたのは、NW9で続けて取材されている南相馬の同じ酪農家のことである。経営と立場がきわめてよく似ている。南相馬の酪農家の方は、確か中3の長男がいて、地元の中学校が再開されないため、家を離れて親戚のいる福島か郡山の学校に転校して暮らしていた。
そして、同じように搾った原乳を捨てていた。自家で牧草を堆肥にしていた点も同じである。その牧草から放射線量が計測され、先行きに不安を感じている状況も同じだ。相馬の酪農家が廃業を決意したのは、資金繰りの問題に加えて、堆肥についての絶望もあったのではないかと想像される。大越健介も、NHKの報道部のスタッフも、この相馬の酪農家の自殺を聞いたとき、直ちに取材でコンタクトのある南相馬の酪農家のことが念頭に上ったはずだ。なぜ、相馬の酪農家の事件を番組で取り上げなかったのか。NHKの欺瞞と非情に憤りを感じる。イタリアの国民投票のニュースについても、NW9と報ステでは報道が天と地とも違っていて、そのコントラストに驚かされる。NHKの報道は、イタリア国民の選択の意義を不当に矮小化するもので、世界の脱原発の流れを冷視する反動的な論調が際立つものだった。事前の予想を超える高い投票率の結果と、94%が脱原発の意思を示した事実は重く、欧州全体の世論にも重大な影響を与えたに違いないが、NHKはその基本的事実には注目せず、独伊二国が仏から電力を輸入しているという背景ばかりを強調し、欧州全体では原発依存が続いていると決めつけ、欧州の脱原発の動向をひたすら過小評価するのである。明らかな政治的思惑による情報操作だ。
大越健介は、欧州全体のエネルギーバランスは日本と同じだと言い、経産省所管の財団法人の「専門家」を登場させてコメントを言わせ、「急激な転換はよくない」という言葉まで吐いて、高まる脱原発の気運を牽制し、原発維持へと世論を誘導するのである。あまりに開き直った反動報道に唖然とする。一方、テレ朝の報ステは、欧州各国で原発の是非を問う国民的議論がなされ、最高裁が国民投票の選択を指示するまで至っているのに、事故を起こした当事者国の日本が、未だに何の国民的議論も始めていないと五十嵐浩司が日本の鈍感と怠惰を批判、報道として常識的なコメントに纏めていた。ここでは、大越健介に反論して3点を加えよう。第一に、最も重要な点だが、日本と欧州では地震という環境条件が違うという問題がある。この点をNHKの報道は意図的にオミットしている。日本の地震の頻度と規模は、欧州各国のそれとは比較にならない。もし、地震の自然条件が同じなら、欧州と同じ電力生産でも悪くないと言えるかもしれない。しかし、次にM8の大地震が起きるのは、ドイツでもイタリアでもフランスでもなく、この日本なのである。活断層の上にある原発が危険なのだ。原発は単にエネルギーの経済問題ではなく、国民の生存と健康の脅威の問題だ。その点を大越健介は巧妙にスリ替え、日本における原発の特別な危険性を隠蔽している。
地震国という特殊条件を入れたとき、欧州と日本とは原発を同じ土俵では論じられない。第二に、エネルギーバランスの内実についても、決して日本と欧州とは同じではない。EUでは自然エネルギーの比率が20%近いのに対して、日本では9%に過ぎない。原発を未だに電力生産の主要な柱に位置づけ、原発村の利権の論理で政策が動かされる日本と、完全に方向転換をしたドイツとでは、今後、明らかに自然エネルギーのシフトのスピードで差がつき、5年後のバランスに影響しているだけでなく、自然エネルギー関連の技術開発力の差となって現れていることだろう。欧州には、原発村の利権という病巣がない。日本ほど問題が根深くない。官僚の報道機関であるNHKは、これまで一度も「原発村」の存在に言及したことがなく、利権共同体の悪弊が今度の事故を惹起したという認識を言わない。大越健介が、公共放送の電波を利用して、脱原発に対して「過激なイデオロギー」だとか、「原理主義」というレッテルを貼って不当に貶めるとき、その政治的動機は、資源エネルギー庁と原発村の利権を温存するため、国内世論が脱原発に傾斜するのを阻止するところにある。第三に、NHKは原発80%のフランスについて、原発推進国としているが、その状況にも変化が起きている事実を伝えない。最新の世論調査では8割が原発廃止に賛成と答えていて、来年の大統領選を前に、フランス社会党内で論争が起きるのは必至だ。
もし仮に、フランス社会党が脱原発を方針化し、大統領選に勝利して政権を握れば、欧州の脱原発の流れは揺り戻しができない怒濤の状態になる。おそらく、現在20基を稼働させている韓国でも、欧州の動向に影響されながら、近い将来、国内で脱原発の運動が高まるだろう。来年の大統領選の争点の一つになるだろう。地震のリスクは日本と同じではなくても、使用済み核燃料の保管と処分の問題は共通だ。むしろ、国土の狭い韓国では切実だろう。あんな狭い国土で、どこに大量の使用済み核燃料を貯蔵する場所を見つけるのか。韓国の場合、その政治や産業やエコの基礎条件を考えたとき、国論に点火すれば、日本より早く激しく脱原発にダッシュし、瞬く間に自然エネルギーの普及に成功して競争力のある輸出産業にしている可能性がある。21世紀に入って、世界はますます小さくなっている。良くも悪くも、国家間の垣根が取り払われていて、一国で起きた問題は、すぐに国際問題となり、他国の政策争点になって政治を動かす因子になる。今世紀に入って以降、韓国はアジアの中の先進国の優等生を演じてきて、国際社会の中での地位と評価を築いてきた。自信を持っている。韓国は、欧州など先進国の潮流に特にセンシティブであり、したがって、脱原発への転換も素早いと私は予想する。国民と政府と産業界の間で、日本のような屈折した対立はなく、自然エネルギーを国家戦略化する方向へ迅速に動くのではないか。
by
thessalonike5
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2011-06-15 23:30
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東日本大震災
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