昨日は弊社セミナールームにて、クリエイティブパートナーであるGreatWorks社と共同でスマホアプリに関するセミナーを開催しました。お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
本セミナーは2つの「垣根を取り払う」をコンセプトにプログラムを考えました。一つは「国内と国外」もうひとつは「to Cとto B」。AndroidやiOSの世界観はまさにボーダレスであり、もちろん「海外事例バンザイ!」というスタンスではないけれど、ユーザー数、テクノロジーの発展、そこから生まれる事例など国外から学ぶべきことはたくさんある。そこについて、GreatWorks社のトップクリエイターであるTED PARSSON氏からプレゼン頂きました(この内容については別途レポートします)。
もうひとつの「to Cとto B」については、サイバーエージェントの中でもスマホアプリに注力している2つのプレイヤー、アメーバのスマートフォンチームと、アプリ事業を開発している関連子会社アプリボットから、生のデータを元にパネルディスカッション形式で展開しました。スマホアプリだけでなく、広告やマーケティング活動がよりコンテンツやユーティリティツール化していく文脈の中で企業がどのようにコミュニケーションを取っていくか、そのヒントは常にユーザー視点でサービス開発をしている両者から学ぶことができるのでは?と思い企画しました。
もっとうまく話を引き出せる人がファシリテートすればもっと面白い内容になっただろうな・・・という反省しかありませんが、内容を簡単にまとめておきます。今回のパネルでは、多くのユーザーに使われているアプリを企画・開発・運用している両者に、「体制」「企画」「プロモーション」の3つの軸で話を展開しました。
「体制面」においては、両者対照的なカラーが際立ちました。設立から1年も経過していないアプリボットは当然ですが少人数による開発運用体制。35万以上ダウンロードされ、DAUが非常に高い「FreeAppNow」はエンジニア2名+1名という省エネ体制。一方巨大メディアにまで成長したアメーバのスマホチームは70名の体制を敷き、20個ほどのアプリPJが走っている。
意外と知られていないのですが、アメーバのスマホチームが開発しているアプリケーションは「アメーバ」だけではありません。50人の親しい友人とだけコミュニケーションが取れる「tappie」やAndroid版女性向けTwitterクライアント「Guppi」、その他ソーシャルゲームから育成モノ、エンタメものなど多角的に展開しており、中にいる開発エンジニアもかなり強力。
対照的な両者ではありますが、情報共有を部署・会社横断的に行っており、エンジニア同士の風通しも良いのは共通項。一方で少し別れたのは「スピード」に対する意識。「アメーバ」の場合、既にメディアとしてのブランドを背負っているため、クオリティチェック、それも起動、通信速度まで基準を設け徹底的に質にこだわった開発設計・体制を敷いている。一方で、スタートアップに近いアプリボットは時流やマーケットの動向に対する「スピード」の意識が高く、アジリティの高い組織を作っている。
これはどちらかが良い、という話ではありませんが、実際ジブンが作る側に回ると判断が実は難しい。例えばFreeAppNowのように海外で流行りかけているサービス(この場合「FreeAppAlert」のようなサービス)を参考に、日本向けにカスタマイズして、日本最速でリリースすることで今の地位を築いているようなアプリにおいては、早くリリースするアジリティの高い組織、が必要になる。ただもちろんそれには負の側面もあり、クオリティが低ければレビューは荒れ、結果的にダウンロードされなくなってしまう。
実際、リリース直後のFreeAppNowはいくつか課題点があり、レビューは星1つ程度まで落ち込んだこともある、とのこと。しかしそこで諦めず、徹底的にユーザーと対話しながら改善を繰り返すことで(ここもユーザーの声に対応するスピードが求められる)コアなファンを味方につけ、現在では★★★★まで復帰し、仮にバグなどの問題が発生してネガティブなコメントがレビューに付いたとしてもこのコアなファンを自主的にフォローしてくれる、という構図まで出来ているという。ほんとにアプリ開発っていうのは事業だなぁ、と思いました。
「コンテンツ面」における戦略についてはアメーバの考え方が非常に面白かったです。徹底的にユーザーファーストで考え、先に書いたとおり様々な側面からクオリティチェックを行っているアメーバのスマホチームですが、アプリ企画の際に戦略的に「ジャンル」について考える、と。
例えばApp Storeの場合、「エンタメ」カテゴリの1位のアプリは大体日別で30,000DL位されているが、3位のアプリは数百程度@日、くらいしかない。一方「SNS」カテゴリだと、1位のアプリが10,000DLくらい、10位で2,000DLくらい、と言うようになっている。このランキングとジャンルの「妙」をきちんと戦略的に企画会議の俎上に載せ徹底的に考える、というのはマーケティング活動でも有効なことだなぁ(もちろん「ジャンル」にブランドが縛られるのはナンセンスだけど)。
プロモーション側面についても面白い話が聞けました。アプリボット代表の卜部からはアプリ紹介ページの重要性、特にアイコンとスクリーンショットについて話してもらいました。様々なアプリを紹介している会社だから導き出せるところだと思うんだけど、例えば立体感を出したり、テクスチャを工夫するだけでかなりダウンロード数に差がつく、とアイコンの事例を紹介しながら話をしてくれました。
その他Twitterからの流入がダウンロードに寄与するか否か、ぶっちゃけAdMobやAmeAdなどのスマホ広告は効くのか(アプリボットの事例ではAmeAdのダウンロード単価は50円程度と非常に効果的だったとのこと)、レビューサイト至上主義について、など議論させてもらいました。
次回のエントリーでは、GreatWorks社のプレゼン内容をまとめてお送ります。
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