決戦前夜

2011-03-26 00:00:00 Theme: 所感

 いよいよ明日に迫りました。今日は前祝でミーティングという名の飲み会でしょうから、私の今回の演奏会に対する思いを先にこの日記を書いておきます。

 博雅会を結成して11年になります。私は代表として色々と考えて演奏活動を続けてきました。当初は学生サークルでした。雅楽を演奏する学生サークル、ということでマスコミに取り上げられた事も多々。メンバーは東京と大阪の融合体。記者に「練習とかはどうしているのですか?」と聞かれて困っていました。そんなの練習できる訳が無いです。貧乏学生の集まりですから500キロの遠距離は絶望的に遠かったのです。ただそれぞれに稽古はきっちりやっていたので、本番前のリハ一発でとても良い演奏が仕上がる。俺達は天才では無いか?と本気で思っていました(今、この頃の演奏を聞くと聞くに堪えないぐらい酷い。穴があったら入りたいです)。

 学生サークルには責任がありません。もちろん演奏もボランティアが基本。ですが私達は協力金、という形でお金を様々な方から頂いてそれを資金に活動していました。それはお客様であったり、主催者であったり。プラスにならなくても、トントンであれば大成功。私達は雅楽を演奏して楽しいし、お客さんもそれなりに楽しめる。主催者は集客に成功して成功。三者三様のプラスであった訳です。毎日雅楽して酒飲んで騒いで、この世の桃源郷のようでした。しかし、当たり前ですがそんな良い時期はそんなには続きませんでした。

 学生は学校を卒業します。私ももちろん卒業しました。そうなれば雅楽どころではありません。私はたまたま御縁があって雅楽演奏・講師を生業にしましたが(まあそうなるために大学四年間をつぎ込んだのですが)、それぞれに立場があります。就職する者、親の後を継ぐ者…。雅楽は辞めないまでも、稽古量は一気に下がります。そうすると実力も下がるのは必至。その下がった実力を認めたく無くて、雅楽自体を辞めてしまった奴もいました。それは責められません。各自が雅楽と向き合って、それぞれに出した結論なのですから。

 私が東京に出て、一時博雅会の活動を休止した時期もありました。今から思えば自分の事だけで精いっぱいだったのです。メンバーの事なんて考える余裕が無かった。でも、皆は待っていてくれました。何年かして、愛媛での仕事が入って再び召集を掛けるとまた集まってくれました。嬉しかった。私の仕事はやはりこれだ、と確信しました。 

今、博雅会は存在し、演奏活動を続けています。十年前からずっといる奴もいれば、今回初めて参加してくれる人もいます。それぞれに思いを背負って雅楽を続けています。その思いを、私は人々に伝える義務があると考えています。雅楽は一人では出来ない。そんな当たり前の事を良く分からせてくれる、そんなメンバーたちです。もちろん、今回の演奏会に参加しない奴もいます。今回はたまたまこのメンバーで臨む、というだけです。もちろんこれからご一緒をお願いする方もおられると思います。雅楽に対して正直に、粛々と稽古を続ける。そういう事が出来る人間であって欲しいし、また私もそうありたい。そんな状態に、あと三十年は続けたいと思います。

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