2011年3月11日9時9分
小惑星探査機「はやぶさ」が地球に持ち帰った微粒子に、宇宙に長期間さらされた痕跡である「風化」が確認された。宇宙航空研究開発機構の委託で分析中の研究者が10日、米国で開催中の国際会議で発表する。微粒子が小惑星「イトカワ」の物質であることを裏付ける証拠だという。
はやぶさのカプセル内にあった微粒子約50個は、大阪大や東北大など全国の研究機関で分析が進んでいる。これまでに、微粒子内に鉱物の斜長石やカンラン石のほか、地球では珍しい特殊な硫化鉄の結晶があることが確認できた。イトカワの撮影画像から割り出した特徴とも一致した。微粒子の表面では、宇宙を飛び交う高エネルギーの放射線にさらされ結晶が壊れる「宇宙風化」も起きていた。
微粒子を加熱して出てきたヘリウムやネオンのガスも、地球の大気中のものと性質が違った。微粒子が地球で混入したものではない裏付けだ。
微粒子には今のところ、有機物は見つかっていない。もし有機物があれば、宇宙になぜ生命が誕生したのかを調べる資料にもなりうるため、九州大などが今後も分析を続ける。(小宮山亮磨)