俳優の玉木宏(31)が、役所広司(55)主演の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」(成島出監督、12月23日公開)でキーマンの一人である新聞記者・真藤利一役を演じることになった。戦争を賛美し、日米開戦をあおる新聞社で働く中で五十六(役所)と出会い、真の世論について考え、苦悩し続ける役どころ。30代に入った玉木が、難役で新境地を開く。
玉木が“正義の”新聞記者になる。戦時中は新聞、ラジオしかメディアのない時代のため、影響力は大きく、新聞各社は世論を味方につけて開戦を後押ししようとした。
玉木ふんする真藤も「開戦すべし!」とあおる「東京日報」の記者の一人だったが、米国との戦争回避派だった五十六と出会い、取材の中で心境が変化していく。戦争賛美の声が圧倒的な数を占め、好戦的な記者ばかりの中、真藤だけが「自分の書いていること、日本の向かう方向性が、本当に正しいのか」と悩む。
新聞記者に対して「真実を正確に、文字や写真で世に迅速に伝える」イメージがあったという玉木。「今はマスメディアの数が多い分、情報が錯綜(さくそう)して大変なことも多いと思う。でも、新聞から得る情報で世の中が動くのは、現在も過去も変わらない。真実を世に明確に伝えることの大切さを、役を通じてあらためて感じた」と話す。
周囲の意見、状況を冷静にとらえ、口数の少ない役どころ。表情と間だけで表現するなど、高い演技力が要求されたが「(真藤は)真実を追い続け、さまざまなことを目の当たりにして体感する。素直な感情で」演じることへの自信をみせた。
玉木の上司で「東京日報」主幹・宗像景清役には香川照之(45)。「新聞の使命は国民の意思を導くこと」と信じ、世論をあおり立てる開戦派だ。五十六と相対する人物に「昭和20年の日本の精神性の代表的な人物。その部分にフォーカスを当て、軍人の感覚を持って」役に臨んだという。
同作は、海軍次官の五十六が連合艦隊司令長官に就任し、パプアニューギニア島上空で撃墜されるまでを描く。戦闘シーンもあるが、国難時におけるリーダーのあるべき姿、「人間・山本五十六」に焦点を当てる。
◆瀬戸朝香ら 豪華共演陣 〇…東京日報の記者たちが足しげく通う小料理店の若おかみ・谷口志津役に瀬戸朝香(34)。マスコミに扇動されて好戦的になっていく世論と、記者たちでにぎわう店内で、冷静な目線で成り行きを見守る役どころだ。また、その店の常連客のダンサー・神埼芳江役を田中麗奈(31)。東京日報の編集部記者を益岡徹(54)、袴田吉彦(37)が演じる。
[2011/6/15-06:01 スポーツ報知]