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■憤懣本舗「不当『解雇』 ミュージシャンの叫び」 2011/06/13 放送

 月曜日は憤懣本舗。

 今回は大阪のライブハウスで、週5日ほど演奏していたプロのミュージシャンたちの憤懣です。

 専属バンドとしてスタッフ同様、店に雇われてステージに立っていたと思っていたメンバーに対し、ライブハウスの社長は突然、契約を打ち切り「雇っていない」と言い出しました。

 一体、何があったんでしょうか。




 2009年、大阪で結成されたバンド「ソウルオブストリート」。

 メインボーカル・小林あゆみ。

 プロデュース&バンドリーダー・田中秀実。

 トロンボーン・山内淳史。

 音楽に情熱を傾けていたメンバー12人。

 ところが・・

 <店の責任者>
 「知らん!オレにふるな!直接言え、ここに!」

 <田中秀実さん>
 「不当そのものですよね」
 <小林あゆみさん>
 「悲しいというか、何というか」
 <山内淳史さん>
 「使ってやっているんだから、文句いうんじゃねえと」

 彼らは突然、仕事を失った。

 せめて給料は払ってくれよ。

 ミュージシャンだって労働者!

 2年前、梅田にリニューアルオープンした「ケントス大阪」。

 専属のバンドが一日に6回ほどステージを披露するライブハウスで、客はチャージを払って入店し、音楽を聴きながら飲んだり踊ったりできます。


      
 プロデューサー兼バンドリーダーだった田中秀実さん。

 オープンを前に社長から依頼され、仲間にかけあってバンドを結成しました。

 <田中秀実さん>
 「(自分が)メンバーを集めます、と。集めて個人個人の給与額を決めて(社長から)じゃあ、これでやってくれるかと。わかりましたと受けたんです」

 メンバーには給料袋に入った明細書が毎月手渡され、そこには社員番号も書かれていました。

 一般にミュージシャンと言えば、出演ごとに契約し報酬をもらう自由業と思われていますが、田中さんたちは店の従業員と同じだと感じていました。

 <田中秀実さん>
 「給料の認識ですね。決められた日数、ステージ、回数もこなしてやっていたんで、給料ですね」

 雇用契約書はありませんでしたが、社長は「専属バンドは自分の子どものようだ」と語っていたと言います。

 ところが、去年5月、初めてメンバーの給料が遅れます。

 店はオープン以来、客は増えても経営は厳しかったようで、メンバーは我慢し給料の15パーセントダウンに応じたと言います。

 ところが、バンドへの風当たりは強くなっていきます。

 <田中秀実さん>
 「売り上げが上がらんかったらバンドのせいや。何もかもバンドのせい。(リーダーの)おまえのせいや。おまえが悪いと」

 学生コンクールで優勝した経歴を持つ音大出身の山内さんにも・・・

 <山内淳史さん>
 「ただ、遊んでいる。ステージで遊んでいるだけの奴になぜオレ(社長)が金を払わないかんのやとか、そういうことを言われ始めて」

 こうした発言にたまりかねたメンバーの1人が、社長とのやりとりを録音していました。

 <問題の社長・レコーダー>
 「ラッパ吹けたら、そんだけ偉いんか。豆腐屋のオッサンでも吹いとるわ。何でもいいんやったら。どこまで言っても自分らレベルが低いんや、やることが。何がビックバンドや。自分らの発表会やないか」

 そうこうするうち、社長は田中さんに対しメンバーのさらなる給料ダウンなど条件の切り下げを命じてきたといいます。

 <田中秀実さん>
 「一番下のやつなんか、手取りが13万円ぐらいになる。そんなもん、そのへんのバイトに行った方がまだ稼げるので、それはのめないと。(社長は)『お、そうか、そうしたらもうええわ』となって」

 こうして一方的に契約は打ち切られ、今年2月末のステージを最後にメンバーは仕事を失いました。

 メンバーによれば、ほぼ2か月分の給料あわせて400万円以上が未払いのままです。

 ついに田中さんたちは、労働基準監督署に訴えました。

 ところが社長は監督署に対し、驚くべき反論をしてきたのです。


 大阪・梅田のライブハウス「ケントス大阪」で、 決められたステージをこなし、従業員と同じ給料袋をもらって働いていた専属バンドの田中さんたち。

 突然、契約を打ち切られほぼ2か月分の給料が支払われていません。

 <田中秀実さん>
 「(社長から)『おまえら辞めるんやろ、辞めるしかないやん』と言われて」

 そこで労働基準監督署に訴えたところ、社長側は監督署に対しこう反論したといいます。

 「彼らには給料ではなく、ギャラ(出演料)を払っていた。労働者ではなく、個人事業主だ」(社長側のコメント)

 え〜〜事業主??

 つまり、バンドのメンバーは会社が雇ったのではなく単なる取引先なので、労基署の出る幕ではないと言い出したのです。

 この言い分は通るのでしょうか。

 同じように事業主とされて、司法の判断を仰いだ女性が東京にいました。

 新国立劇場の専属オペラ歌手だった八重樫節子さん(62)。

 8年前、契約更新を拒否した劇場を相手に裁判を起し、私は個人事業主ではないと訴えました。

 <八重樫節子さん>
 「いろんな種類のオペラに対応していく能力を身につけないといけないので、それは雇われないと身につかない」

 劇場側は年間の出演契約をしていて、ギャラを払っていたので歌手とは雇用関係にないと主張。

 しかし、最高裁は「たとえ他に仕事があってもその仕事を断れない」、「契約内容が一方的に決定されている」など実態は事業主ではなく、雇用関係にある労働者と認定したのです。


   
 <労働問題に詳しい村田浩治弁護士>
 「一方的に不利な状態に追いやられている人たちが集まって、(労働組合に入って)集団で交渉することは出来る。それは労働契約をしている人とは限らないと認めたということ。そこに(最高裁判決の)大きな意味がある」

 ほぼ毎日決めらた「ケントス」の仕事を断れず、店に雇われていたと考える田中さんたち。


 さっそく労働組合に入って、一刻も早く給料を払ってほしいと会社に団体交渉を申し入れて店を訪ねました。

 ところが社長は不在、店の責任者という人物は・・・

 <店の責任者>
 「ややこしいからオレにふってくんな」
 <組合役員>
 「われわれ、はね・・」
 <店の責任者>
 「しつこいな。知らん。オレにふるな。直接行けや。ここへ」
 <組合役員>
 「われわれ、はね・・」

 交渉に応じようとしません。

 さらに・・

 <組合役員>
 「あなたは誰に雇われているのか」
 <店の責任者>
 「新しい、ここの『ケントス』」
 <組合役員>
 「社長は誰ですか」
 <店の責任者>
 「知らん。誰なのかわからん」

 名前はわからないが、経営者が違うと言うのです。

 <店の責任者>
 「関係ないやろ・・」

 調べてみると問題の社長は今年2月末に退任して、「ケントス大阪」の経営を新しく出来た会社に譲っていたのです。

 そして、その新しい会社の経営者は「私の一存では何もお答えできない」と述べました。

 しかしメンバーは、実際には問題の社長が今も店を仕切っていると話し怒りを募らせています。

 <小林あゆみさん>
 「(社長が)払わずに逃げ回っているその心理がわからない。ちゃんと顔を会わせて話してほしいと思う」

 「憤懣取材班」は社長に取材を申し込みましたが、社長は拒否したうえでこう述べました。

 「うちは給料の認識はない。あれはギャラなんです。今の社長に雇われて店のお手伝いはしていますよ。前の会社とは関係ないんです。私の代わりに弁護士が対応しています」(社長のコメント)

 ついに田中さんらメンバーのうち7人は、解雇の取り消しと400万円以上の給料を取り戻そうと、裁判の準備を始めました。

 <田中秀実さん>
 「認めてはいないですよ、解雇を。不当そのものですよね。切ないですね。まさかこんなふうになるとはね」
 <小林あゆみさん>
 「お客さんを喜ばせるために、本当に全力で頑張ってきたんです、リーダー筆頭に。それを見ていたにもかかわらず、こういう仕打ちというか結果になるというのが信じられないというか。メンバーだけでなくお客さんもガッカリして悲しんでいる方がすごい多いので」

 店の常連からも、このバンドの解散を惜しむ声が上がっています。

 そんなファンに応えるためにも、メンバーたちは泣き寝入りしないと結束を強めています。

 (なお、京都や東京などにも同じ名前の「ケントス」というライブハウスがありますが、今回の大阪の店とは関係ありません)




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