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'11/6/14

若年性認知症の6割が離職

 広島県は、65歳未満で発症する若年性認知症について初めて実態調査をした。その結果、症状が出てから診断されるまで平均1年半を要し、6割が発症に伴い仕事を辞めていた。県高齢者支援課は「高齢者の認知症に比べ、医療機関も含めて社会の理解が進んでいない」と分析している。

 県は昨年10月、認知症を診療している県内の医療機関374施設に調査協力を依頼、215施設から回答があった。64施設が延べ521人の患者を診療していた。このうち同意が得られた患者59人とその家族57人に、県の担当者が症状や日常生活の悩みなど聞き取りを進めてきた。患者59人は46〜69歳で男性38人、女性21人。

 物忘れの悪化などで患者や家族が発症に気付いたのは平均56・1歳。一方、若年性認知症と診断されたのは平均57・6歳だった。患者のほぼ半数の30人が2カ所以上の医療機関を受診し、4カ所以上も7人いた。病気に関する情報や専門医の不足で、正確な診断まで時間がかかる実態が浮かんだ。

 現在は9割以上の55人が仕事をしておらず、このうち35人(男性28人、女性7人)は発症が原因で仕事を辞めていた。根本的な治療法は確立されておらず、患者や家族からは「今後の介護費用にいくらかかるか分からない」など経済的不安を訴える声が相次いだ。

 若年性認知症は高齢者の認知症に比べて社会の理解や公的支援が遅れているとされる。県は調査結果を踏まえ、2012年度からの支援策を検討する。




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