東電の「尾瀬」売却が浮上 代わりに誰が自然守るのか

2011年5月13日 19時49分 (2011年5月13日 22時22分 更新)

またこうならないのか

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   尾瀬の湿原地帯などを東京電力が売却する可能性が浮上してきている。原発事故の補償金ねん出を迫られているためだ。売却しないとしても、自然保護にかかる年2億円もの費用をどうするのか。

   東電は、尾瀬国立公園の約4割に当たる土地の所有者だ。世界的に有名な湿原の尾瀬ヶ原や尾瀬沼といった特別保護地区については、約7割も占める。

年2億円の保全費用を出せない可能性も?

   それは、かつて尾瀬原ダムと呼ばれた大規模な水力発電計画があったからだ。自然保護運動が高まる中、計画は消滅し、東電は現在、毎年約2億円をかけて湿原にある木道の管理などの保全活動をしている。

   ところが、原発事故の余波で、その尾瀬すらも売却対象の1つに浮上と報じられている。もし売却されれば、どのようにして自然を守るのかが焦点になる。

   東電所有地のある群馬県の大澤正明知事は、2011年5月11日の会見で、「尾瀬のような自然をもっと大事にしていくべきだ」と強調。売却については、「絶対に阻止したい」との考えを示した。

   県の尾瀬保全推進室では、東電が所有地を売却するかについて、「新聞報道でも、『売却は考えていない』とコメントが出ていますし、こちらも特に聞いていません」とする。こうした状況から、県が所有地を買うという話も出ていないという。また、年2億円の保全費用を出せない可能性についても、聞いていないとしている。

   東電側は、報道のように、所有地の売却は考えていないのか。

   広報部の担当者は、取材に対し、それはあくまで現時点のことであることを明らかにした。そして、今後の資産処分計画の中で売却が決まる可能性について、「まったくないとはお答えできません。今後のことは、まだ何も決まっていませんので」と言っている。

「国が買うか、入山料を取ればいい」

   ただ、現時点で売却を考えていない理由として、東電広報部では、尾瀬が利根川最上流の水源地であり、下流の水力発電所に欠かせない事業用資産であることを挙げている。

   売却しないとしても、毎年2億円の保全費用をねん出できるのか。

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