菅直人首相は14日、今年度の小型追加補正予算の編成を指示し、与野党に広がる早期退陣論を巻き返した。首相は今国会会期の大幅延長も目指すが、月内辞任を求める勢力は菅首相の下での補正編成と政権延命につながる大幅延長に強く反発している。首相が8月までの続投を狙い、最後に切った「補正カード」の効果は見通せない。
■90日程度を視野
首相は14日夕、首相官邸に野田佳彦財務相を呼び、追加補正には東日本大震災からの復旧・復興予備費を創設するなど5項目の盛り込みを指示した。財源は新規国債を発行せず、税収の上振れなどから生じる1.5兆円想定の2010年度決算剰余金などをあてることも指示した。月内に骨格を決めて7月の「できるだけ早い時期」に国会提出する段取りまで言及した。
首相は野党が参院に首相問責決議案を提出し、国会審議に応じない場合も想定。衆院の3分の2以上の勢力で法案を再可決できる60日間を見込んで90日間程度の大幅延長を視野に入れる。周辺は「自民党と公明党が衆院本会議を欠席すれば3分の2のハードルも下がる」と楽観的な見方を示す。
当初、首相は来年1月以降までの続投に意欲を示し、与野党で批判が強まると、がれき処理などを名目に8月までの続投を示した。だが政権中枢からも月内退陣論が出たため、今度は大型の2次補正予算が必要としてきた立場を転換し、自ら「1.5次」と名付けた追加補正を持ち出した。
首相の意向も踏まえ、民主党国会対策委員会の幹部は14日、自民党幹部に「首相は延長は3カ月と言っている」と伝え、感触を探った。安住淳国対委員長は追加補正のほかに赤字国債発行法案、原発賠償支援法案も成立させるため、会期延長が必要と訴えた。
■執行部も「唐突」
首相を支える岡田克也幹事長は党所属の新人議員との懇談で「首相指示は唐突過ぎて野党の反発を買っている。もっと丁寧にできなかったのか」とこぼした。執行部も知らなかった。
大幅な会期延長に野党の理解を得られるメドはない。平田健二参院幹事長は「参院で法案を通すのは難しい。大幅だろうと小幅だろうと、延長してもどうにもならない」と突き放した。
14日夕には岡田幹事長、輿石東参院議員会長らが首相に「野党への根回しなしには難しい」「延命策と受けとられる。これでは党はもたない」などと再考を促した。首相は聞く耳を持たず、党幹部が退出した1時間後に野田氏と財務省の事務方を呼び、正式指示の形をとって後戻りできないようダメ押しした。
民主党執行部内でも「大幅延長と追加補正を首相の下で実行するのは無理だ」との空気が強く、党幹部は「延長幅は暗中模索、決め手がない」と漏らす。追い込まれた首相の「最後のカード」は、与党内を一段と混乱させている。
菅直人、小沢一郎、川内博史、野田佳彦、安住淳、岡田克也、平田健二、東京電力福島
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