鹿児島

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川内原発:保安院、安全対策説明 「支障なし」に疑問噴出--地元2議会 /鹿児島

 ◇住民への説明要求

 「安全上支障ないとするのは確かか」「地震発生確率の評価はおかしいのでは」。13日開かれた薩摩川内市議会全員協議会で、川内原発の緊急安全対策について「安全性が確保されている」と説明する原子力安全・保安院に対し、議員から疑問や更なる説明を求める意見が相次いだ。

 全員協議会で同保安院の山本哲也・原子力発電検査課長が、電源や冷却機能の確保など、緊急安全対策を約40分説明。

 質疑応答では「現段階で、安全上支障がないとするのは国の見解か」と質問があり、山本課長は「経済産業相談話という形で、安全性について支障はないと出され、首相にも報告されている」とその正当性を強調。また、住民に対する説明について同保安院が、説明の場を設けるかの質問に対しては「さまざまな形で説明する場があれば、積極的に説明したい」と前向きな姿勢を示した。

 また、30年以内に震度6強以上の地震が起きる確率について、浜岡原発84・0%▽川内原発2・3%▽福島第1原発0・0%、とした国の評価について疑問が出たが、山本課長は「文部科学省がおそらく、それぞれの個別プレートでどれくらいの頻度で動くかで確率を出したと思う。残念なことにそのプレートが同時に動いた。今、これらの評価を再度、実施すると聞いている」と答えた。

    ◇

 ほぼ全域が川内原発の半径20キロ内に入るいちき串木野市には、原子力安全・保安院川内原子力保安検査官事務所の松本善登所長が訪問。田畑誠一市長と市議会全員協議会に、川内原発の運転継続・再開に支障がないことを伝えた。福島原発事故後の保安院による同市・市議会への説明は初めて。説明は市長と議会別々に1時間半~2時間あり、いずれも冒頭のみ公開された。

 議会事務局や議員によると、保安院側は、福島原発の被害については「地震の揺れで壊れておらず、津波到達まで機能していた」などと話したという。

 終了後、取材に応じた田畑市長は「市民に納得してもらうことが重要。監督官庁として広く説明してほしい」と、保安院による住民説明会実施を求めたことを明らかにした。保安院は検討する考えを示したという。また、1号機の再開には「福島原発事故が収束せず、玄海原発の再開問題もあり、国は一つ一つクリアしてほしい」と述べ、国の更なる対応を求めた。【宝満志郎、村尾哲】

毎日新聞 2011年6月14日 地方版

 
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