小説ポケモン図鑑

250:ホウオウ



ホウオウの輝き  投稿者:ソノリン   

何も無い荒れた地・・・砂漠のような場所で、冷たい風が吹き荒れていた。
そこでは、ブラッキーとエーフィが戦いを繰り広げていた・・・。
2匹共もうボロボロになっているようで、傷だらけだった。
そしてそのバトルの様子を、1匹のピカチュウが眺めている。ピカチュウは必死で何か訴えているようだった。
「お願いだから、もうやめてっ・・・!こんな事しても、無意味なだけでしょ!?ねぇっ・・・」
ピカチュウは泣き叫んでいるが、相当2匹が傷つけ合うのが嫌だったのだろうか。
ところが、2匹は聞き入れてはくれなかった。「・・・なんかうるさいのがいるな・・・」ブラッキーは横目で見たが、
ブラッキーは一番強力な技「シャドーボール」を発したのだった!!!技がエーフィ、そしてピカチュウにも当たった。
そしてエーフィとピカチュウは倒れてしまった・・・。「・・・ふん、我の勝ちだな・・・」ブラッキーはニヤリと笑った。
ところが、バトルに勝って嬉しいどころか、ブラッキーは「・・・・・。」黙り込んでしまった。そして、倒れているピカチュウを見る。
倒れているピカチュウは泣いていたのか、涙を流していた。まだ死んではいないのだろうか、まだ生きているようだった。
ピカチュウを眺めていたブラッキーは、段々と悲しくなって来てしまった。そして、ブラッキーの頬を涙が流れた。
「・・・私は・・・一体何をやっていたのだろうか・・・ピカチュウの言う通りだった。無意味な戦いばかりして・・・こんな事をしても何にもならなかったというのに・・・」
そして、エーフィの方を見た。傷だらけで倒れているエーフィ・・・。自分のせいでピカチュウとエーフィを傷つけてしまった・・・。
でも、ブラッキーももう傷だらけでほとんど体力が残っていなかったのだった。いわゆる瀕死状態だった。
「・・・すまない。私も、もう・・・」と呟くと、ブラッキーもドサッと地面に倒れてしまった。
すると・・・パァッと辺りが輝いて、天から光が射して、倒れている3匹を照らした。奇跡が起きたのだろうか・・・?
そして辺りがキラキラと輝き、倒れていた3匹は目を覚まし、起き上がったのだった・・・。
どうやら、3匹の涙のお陰が、改心したブラッキーを見て、天が助けてくれたのだった。
「あれっ・・・僕達、死んじゃったんじゃ・・・」「此処は、天国・・・?」「いや、天国じゃない。さっきの場所だ・・・どうやら、生き返ったらしい。」
起き上がった3匹は、辺りを見回した。あれだけ荒れていて砂漠のようだった地も、草が生い茂り、緑豊かな野原のようになっている。
「これは、どういう事だ・・・?此処は、砂漠だったんじゃ・・・」「僕達、なんで生き返ったんだろう?神様が助けてくれたのかな?」
3匹は、空を見上げてみた。空は晴れ渡り、天からは光が射している。「・・・うん、きっとそうだねっ」と言うと、ピカチュウは微笑んだ。
「さっきは、本当にすまなかった。私が悪かったよ・・・でも、もう争いは無意味な事だって気付いたんだ。だからもう争うのはやめよう・・・」とブラッキーが呟く。
そして3匹は、緑豊かな野原を駆け回って遊んだのだった。他のポケモン達も集まって来て、花が咲き乱れ、そこはポケモン達の楽園になった。
そんな平和な楽園のような場所で暫く暮らしていたポケモン達だったが、ある日の事、突然ピカチュウはこう言ったのだった。
「・・・此処にいるの、もう飽きて来ちゃったな。なんかつまらないし、何もする事ないし・・・旅に出ようと思うんだ。」
ポケモン達は皆、驚いてピカチュウを見つめる。「え、えぇっ・・・何言ってんの!?此処には食べ物もいっぱいあるし、何も不自由してないじゃないか。なんでそんな事・・・」
「でも、僕もう決めたんだ。旅に出ようって・・・みんな、今までありがと。また戻って来るから、じゃあねっ・・・」とピカチュウは決心したようだった。
「・・・そんなに言うなら、無理に止める事はできない。しょうがないな。行ってらっしゃい、ピカチュウ・・・」とポケモン達は、言った。
そしてピカチュウは、りんごとか必要な食べ物をいっぱい袋に詰め込むと、それを担いで、出発したのだった・・・。ポケモン達は皆、手を振ってピカチュウを見送った。
暫く歩いていたピカチュウだったが・・・いくら歩いても、何も見えて来なかった。お腹が空いていてりんごをほとんど食べてしまっていたので、食べ物ももう少ししか残っていなかった。
「おかしいな・・・何もないよ・・・」とピカチュウは呟き、戻ろうかと思ったのだったが、戻ろうとしても道がわからなくなってしまっていた。
そして持っていた地図を見るのだが、地図もボロボロで、ほとんど字が見えなかった。「こんな地図じゃ、わかんないよ・・・どうしようかなぁ・・・」とピカチュウはとても困っている様子だった。
すると、びゅうっと風が吹いて、ピカチュウが手に持っていた地図が飛ばされてしまった!!!「あぁっ・・・!地図が・・・!!!」地図は、あっという間に飛ばされて見えなくなってしまった。
「困ったなぁ、これじゃあ道もわからないし・・・どうしよう・・・」ピカチュウは段々と心細くなって来た。
「みんなの言う通り、旅なんて行かなければ良かった・・・あぁ、これからどうしよう・・・」ピカチュウは涙目になって来た。
お腹も空いているし、袋の中を見てみると、りんごももう1個だけしか残っていなかった。ピカチュウは、最後に残ったりんごをかじった。
そこら辺には人影がないようで、他にポケモンもいないようだった。すると、突然寒気がして、空から雪が降って来たのだった。
「わぁ、雪だ・・・」とピカチュウが呟くと、雪はどんどんと降り積もり、そこら辺は雪景色になってしまった。
一面真っ白な雪景色の中を、ピカチュウはたった1匹で立ち尽くしていた。雪はどんどんと降り積もり、このままでは雪に埋もれてしまう・・・。
そして吹雪になってしまったようで、冷たい風の中を、ピカチュウは歩き出した。「うぅ、寒い・・・でも行かないと、死んじゃう・・・」
でも物凄い雪の中を小さなピカチュウたった1匹で進めるわけもなく、道もわからないので、ピカチュウは遂に雪の中に倒れ込んでしまった。
「僕、このまま死んじゃうのかな・・・さよなら・・・」と呟くと、ピカチュウは段々と意識が遠くなっていった。
どのくらいの時間が経っただろう・・・雪の中に倒れていたピカチュウは、ふと意識を取り戻した。僕は・・・まだ生きている。
こんな所で、死ぬわけにはいかない・・・あまりの寒さのせいで、意識がおかしくなっていたらしい。ピカチュウは、雪の中を立ち上がった。
あの激しい戦いから生き返ったじゃないか・・・それに、仲間達だっていっぱいいるし、みんな帰りを待ってるんだ・・・!!!
「よしっ!僕は、行くぞ〜っ!!!」とピカチュウは叫ぶと、吹雪の中を精一杯の力を振り絞り、歩き出した・・・。
すると・・・キラッと遠くの方が輝いて、何かがこっちに向かって飛んで来るではないか・・・!!!「!!??なんだろう、あれは・・・?」ピカチュウは目を疑った。
見ると、1羽のホウオウが、空を飛んで来る・・・「まっ、眩しいっ・・・」あまりの眩しさに、ピカチュウは目を瞑った。
キラキラと黄金に光り輝くホウオウの羽からは、光の粒が落ちて来て、雪が積もった地面に降り注ぐ・・・キラキラキラ・・・
すると不思議な事に途端にあんなに吹雪だった雪は止み、雪が降り積もっていた地面も、雪が溶けていって元の地面に戻った・・・。
「クエーッ!!!」と一声叫ぶと、ホウオウは遠くに飛んで行ってしまった・・・。
ピカチュウが目を開けると、「い、今のは一体・・・?」吹雪はもう止んでいて、雪も溶けてなくなっている・・・。
さっきのホウオウが、助けてくれたのだろうか・・・?ピカチュウは空を眺めていた・・・。
そして逆方向に戻って、ずーっと長い道を歩いて行くと、ピカチュウはポケモン達がいる元の楽園に戻って来たのだった・・・。
「あれっピカチュウ・・・もう帰って来たのかい?」「うんっ・・・もう旅なんてやめたし、ずっと此処で暮らすからっ・・・!」
「ピカチュウはあんなに旅に行きたがってたのにねぇ・・・まぁいっか・・・無事に帰って来たんだしっ」と、あははは・・・と、ポケモン達は皆で笑い合ったのだった・・・。

--------------------------------------------------------------------------------

この作品は最近書いたのではなくて、かなり前に書いた ポケモン小説です。
なので私的にはあまり気に入ってい ないのですが、とりあえず投稿させて頂きます。