建設中に設計ミスによるひび割れが見つかり、一度取り壊して造り直していた宮崎県日南市北郷町の東九州自動車道・広渡川2号橋で、再び橋桁にひび割れが生じたことが分かった。発注者の国土交通省宮崎河川国道事務所は橋の強度にかかわる見過ごせない問題として、15日にも専門家による検討会議を開き、補修が可能かどうかなどを協議する。設計ミスでやり直した公共工事で、再び問題が判明するのは異例だ。
この橋は全長265メートル、幅12メートルの鉄筋コンクリート製。関係者によると、今回のひび割れは再工事が7割ほど進んだ今年4月末、橋桁の車道に接する部分で見つかった。橋桁は強度を保つため内部に十数本の鋼材ケーブルを通している。このケーブルに沿った部分に幅0・2―0・3ミリ、長さ1メートルなど複数のひびが見つかったという。
問題視した同事務所は5月、専門家と現場を調査。施工業者の間組(東京)に対し、ひびが橋の強度や耐久性に与える影響などを詳しく分析し、解決策を提示するよう指示した。
橋は、事業費約10億円で2008年9月に着工した。10年2月に完成予定だったが、建設が7割進んだ09年4月、今回とは異なる橋桁側面に複数のひびが見つかり、工事を中断した。原因は桁の厚み、鉄筋量の不足などの設計ミスと判明。間組が10年3月から数億円の自己負担で取り壊し、造り直していた。
再工事の橋は当初計画より1年半遅れの今年7月に完成予定だったが、今回のひび割れで大幅に遅れそうだ。
=2011/06/12付 西日本新聞朝刊=