東電“様子見”?原発停止で月当たり「1000円値上げ」試算

2011.06.14


電気も家計もさらなる節約が必要か【拡大】

 電気代が原発停止で1000円も上昇!? 日本エネルギー経済研究所(東京)は定期検査中の原発が再稼働せず、火力発電で賄った場合の電気料金を試算。各家庭で月当たり約1000円もハネ上がるというのだ。原発への不安はもちろん大きいが、デフレ不況下で家計の圧迫も深刻だ。

 同研究所は、石油や液化天然ガス(LNG)などの燃料消費量が上昇し、コスト分を単純に料金に上乗せして試算した。それによると、2012年度の標準的な家庭の電気料金は月当たり18・2%、1049円も高くなる。

 東京電力福島第1原発事故を受け、原発立地地域では安全性への懸念から検査中の原発の再稼働を受け入れていない。12年春には全原発が停止する可能性がある。

 もっとも、試算した同研究所は、日本のエネルギー政策を主導してきた経済産業省エネルギー庁の所管だ。報告書では、電気料金上昇による経済成長への悪影響を指摘。原発反対派の専門家には「経済を“人質”に、原発を動かし続けたい意図が見え隠れする」との声もある。

 また、毎日新聞は14日、同紙が入手した東電の内部資料によって同社の財務試算を明らかにした。財務試算は政府の東電支援策の前提となっている。原発から火力発電に切り替えた燃料費の増加分を電気料金に上乗せし、12年度から約16%、標準的な家庭で月当たり約1000円値上げ。この収益を損害賠償にあてる内容だ。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏は「家計にとって1000円の出費増は痛い。しかし、原発事故の重大さを考えれば今は仕方がないのかもしれない。ここ数年は現体制のままとしても、将来的には電気料金が下がるシステムを構築すべき。電力自由化が進めば競争原理が働き、値下げの方向へ向かう。上げることばかり考えるなんて冗談ではない」との見解を示した。

 1000円アップの試算は、庶民の反応を知るためのアドバルーン作戦なのかもしれないが…。

 

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